
小説・一刻塚−(NO3)
内堀には警察のボートが二隻三隻と堀の底を浚っていた。
「先輩、現場を見せてくれませんか」猿渡は額の汗を拭いながら顔を上げた。
「うん、いいだろう。でもさっきの約束は守ってくれよ」。
「いつでも守っているじゃないですか。先輩の許可が出るまでは書きませんよ」。
そして黄色いテープをくぐって現場に入った。
十数人の鑑識班が地面を這う様に犯人の遺留品を探していた。「どうだ、何か出たか」筒井は全員を見渡す様に訊いた。
「いえ、今の所何も残されていません。殺害現場はベンチですね、座って休んでいたか飲酒して眠っていた所を襲われたと思われます」。
「何か野犬とか動物がいた形跡はないのか?・・・」。その問いに首を振った。
「いえ、猫の毛一本採取されませんでした。ただ此を見て下さい」と、鑑識班の捜査員はベンチに歩いた。
そして、ベンチには遺体を形取った枠があり。その中の血の手形を指さした。
「この手形は遺体の下にありました、非害者の手ではありませんでした。犯人が残した物と思われます。大きさからして女性か子供の様です」。
「通報の前に誰かが遺体を発見していたと言う事か?・・・」
「いえ、そうは思われません。遺体は動かされていまらから犯人が業と残したとしか考えられません。まるで墨で手形を写すようにハッキリ残っていますから」。
「そんな馬鹿な。それで指紋は?・・・」
「いいえ、血の手形からは採取されませんでした。背もたれのプラスチックの部分からは被害者や無数の指紋は取れました。いま犯罪者記録と照合しています」。
そして現場を離れた、すると筒井が足を止めて振り向いた。
「猿渡、S銀行と言うとお前の彼女の勤め先だったな?・・・」
「ええ、麻代の銀行ですけど。それが何か?・・・」。
「被害者はそこの行員だ。聞いた事ないか森川優子と言う名前を」。
「エ〜ッ!・・・そうですか。でも麻代は秘書課ですから行員は知りません。そうですか、S銀行の女子行員ですか」。
すると、猿渡の携帯が鳴った。着メロから彼女の麻代からだった。
「じゃあ私は先に行くから、検死が済んだら電話する」と、筒井は署に戻った。
電話の麻代は事件の被害者を知り、ショックを隠せず涙声で知らせて来たのだった。猿渡は仕事を終わったら会う事を約束して携帯を切ると中央署に戻り、乗って来た自転車にまたがると大岩町にある市立図書館へ向かった。
そして十分、図書館に着くとパソコンの前に座った。事件の事を調べる為に長野、群馬、山梨で起こった類似した事件の新聞記事を検索した。
第一の被害者は宮本志保23才、独身。近くにあるS小学校の事務職員だった。
長野市の善光寺裏にある第二次世界大戦時に戦闘機の零戦で戦死した慰霊碑の前で無残にもバラバラの惨殺死体で発見されていた。
第二の犠牲者は群馬の高崎市在住の浜崎知江19才コンピューターの専門学校の生徒だった。高崎観音の付近で長野の犠牲者同様に殺害されていた。
第三の犠牲者は山梨の身延町にある寺、日蓮上人開基の日蓮宗根本道場で総本山。
久遠寺へ向かう山道の中腹にある休憩所の東屋で発見された。
女性は身延山参道の土産屋の娘で望月春奈20歳、稼業を手伝う娘だった。
そして第四の犠牲者は静岡市内安東町在住の森川優子19才、この春に高校を卒業してS銀行に就職したばかりの銀行員だった。
しかも被害者が自分の彼女間宮麻代と同じ銀行の行員に驚きを隠せなかった。
猿渡は新聞記事をコピーしながら犯行現場に行ってみようと思っていた。
「おい猿渡、やっぱり此々か」その声は筒井警部補だった。
「どうしんです?・・・何か分かったんですか?」。
「うん、さっき話した三件の事件だけどな。詳しい捜査資料を取り寄せたんだ」そういいながら筒井は腰を降ろし、手にした封筒から資料を出して広げた。
猿渡は驚いて筒井を見た。こんな捜査資料を見せてもいいのかと思いながら覗いた。「この三人は全くの他人で面識は一度もない、ただ三人は三人とも一日に殺害されてるんだ。五月六月七月、そして今日は八月一日だ。
その一日に関する事も調べたが全く関連性がない。でも九月一日にも殺しが起こる可能性は大だ。愛知か神奈川か岐阜か」と筒井は地図を広げた。
「先輩、でも群馬の次はどうして埼玉でなくて山梨だったんですかね。長野、群馬と来れば埼玉、山梨か、東京と行くんじゃないですか。南下すればですが」。
NO-3-4
内堀には警察のボートが二隻三隻と堀の底を浚っていた。
「先輩、現場を見せてくれませんか」猿渡は額の汗を拭いながら顔を上げた。
「うん、いいだろう。でもさっきの約束は守ってくれよ」。
「いつでも守っているじゃないですか。先輩の許可が出るまでは書きませんよ」。
そして黄色いテープをくぐって現場に入った。
十数人の鑑識班が地面を這う様に犯人の遺留品を探していた。「どうだ、何か出たか」筒井は全員を見渡す様に訊いた。
「いえ、今の所何も残されていません。殺害現場はベンチですね、座って休んでいたか飲酒して眠っていた所を襲われたと思われます」。
「何か野犬とか動物がいた形跡はないのか?・・・」。その問いに首を振った。
「いえ、猫の毛一本採取されませんでした。ただ此を見て下さい」と、鑑識班の捜査員はベンチに歩いた。
そして、ベンチには遺体を形取った枠があり。その中の血の手形を指さした。
「この手形は遺体の下にありました、非害者の手ではありませんでした。犯人が残した物と思われます。大きさからして女性か子供の様です」。
「通報の前に誰かが遺体を発見していたと言う事か?・・・」
「いえ、そうは思われません。遺体は動かされていまらから犯人が業と残したとしか考えられません。まるで墨で手形を写すようにハッキリ残っていますから」。
「そんな馬鹿な。それで指紋は?・・・」
「いいえ、血の手形からは採取されませんでした。背もたれのプラスチックの部分からは被害者や無数の指紋は取れました。いま犯罪者記録と照合しています」。
そして現場を離れた、すると筒井が足を止めて振り向いた。
「猿渡、S銀行と言うとお前の彼女の勤め先だったな?・・・」
「ええ、麻代の銀行ですけど。それが何か?・・・」。
「被害者はそこの行員だ。聞いた事ないか森川優子と言う名前を」。
「エ〜ッ!・・・そうですか。でも麻代は秘書課ですから行員は知りません。そうですか、S銀行の女子行員ですか」。
すると、猿渡の携帯が鳴った。着メロから彼女の麻代からだった。
「じゃあ私は先に行くから、検死が済んだら電話する」と、筒井は署に戻った。
電話の麻代は事件の被害者を知り、ショックを隠せず涙声で知らせて来たのだった。猿渡は仕事を終わったら会う事を約束して携帯を切ると中央署に戻り、乗って来た自転車にまたがると大岩町にある市立図書館へ向かった。
そして十分、図書館に着くとパソコンの前に座った。事件の事を調べる為に長野、群馬、山梨で起こった類似した事件の新聞記事を検索した。
第一の被害者は宮本志保23才、独身。近くにあるS小学校の事務職員だった。
長野市の善光寺裏にある第二次世界大戦時に戦闘機の零戦で戦死した慰霊碑の前で無残にもバラバラの惨殺死体で発見されていた。
第二の犠牲者は群馬の高崎市在住の浜崎知江19才コンピューターの専門学校の生徒だった。高崎観音の付近で長野の犠牲者同様に殺害されていた。
第三の犠牲者は山梨の身延町にある寺、日蓮上人開基の日蓮宗根本道場で総本山。
久遠寺へ向かう山道の中腹にある休憩所の東屋で発見された。
女性は身延山参道の土産屋の娘で望月春奈20歳、稼業を手伝う娘だった。
そして第四の犠牲者は静岡市内安東町在住の森川優子19才、この春に高校を卒業してS銀行に就職したばかりの銀行員だった。
しかも被害者が自分の彼女間宮麻代と同じ銀行の行員に驚きを隠せなかった。
猿渡は新聞記事をコピーしながら犯行現場に行ってみようと思っていた。
「おい猿渡、やっぱり此々か」その声は筒井警部補だった。
「どうしんです?・・・何か分かったんですか?」。
「うん、さっき話した三件の事件だけどな。詳しい捜査資料を取り寄せたんだ」そういいながら筒井は腰を降ろし、手にした封筒から資料を出して広げた。
猿渡は驚いて筒井を見た。こんな捜査資料を見せてもいいのかと思いながら覗いた。「この三人は全くの他人で面識は一度もない、ただ三人は三人とも一日に殺害されてるんだ。五月六月七月、そして今日は八月一日だ。
その一日に関する事も調べたが全く関連性がない。でも九月一日にも殺しが起こる可能性は大だ。愛知か神奈川か岐阜か」と筒井は地図を広げた。
「先輩、でも群馬の次はどうして埼玉でなくて山梨だったんですかね。長野、群馬と来れば埼玉、山梨か、東京と行くんじゃないですか。南下すればですが」。
NO-3-4











