日本語学校からこんにちは 〜水野外語学院日本語科〜

TOKYOベイエリア,市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「外国へ行くという意味。多分、1回目は、行ってみたいだけ…でしょうけれども」。

2014-05-26 08:47:56 | 日本語の授業
 曇り。とはいえ、今は、時折、陽が射しています。このまま、学生達が登校し、下校するまで保つといいのですが。

 先日、この学校で学んでいる中国人女性から、こんなことを訊かれました。

 この学校の語学ビザで、例えば、二週間とか1か月、来日できないかと。

 こういう日本語学校ではそれはできないと答えましたが。彼女の話には、まだおまけがあって、日本が好きな人が多いのだと言うのです。そして日本に来たい人も多いのだと。

 だから、例えば、ヨーロッパとか米国では、短期、その国で語学を学ぶことができる。それと同じように、日本のこういう学校でも出来るのではないかと思ったらしいのです。

 多分、彼女が言っているのは、公教育で、大学や高校などが、自分達の学生や生徒を短期語学研修に出すというような形のことなのでしょう。

 それにしても、中国と日本、かなりの緊張が高まっている中で、単に日本に来たいだけと言うのではなく、日本が好きだから来たいと思っている人が少なくないというのは、面白い現象ですね。一昔前でしたら、国の言うことを全部鵜呑みにして、すぐにでも戦争が始まるかのように、おめきまわっている人が大勢いたと思いますのに。

 1年や2年というのは、かなりの犠牲を要するけれども、例えば一ヶ月程度なら職場で休みを取ってという形でも来られる。だから、そういう形で来たい。つまりは、そういうことなのでしょう。

 中国人も、日本に来ている人達を見ている限り、以前のような、何が何だか判らないという人たちは減ってきました。一時期は多かったコンピューター関係の人たちの家族も、また少しずつ増え始めているようですし。

 生活が落ち着いている人たちは、反日と叫びながら、他人のものを壊して騒ぎ回ったりはしないでしょう。外から自分の国を見る目を養い、唯我独尊では何も出来ないのだということが判ってくれればいいのですが。そう言いましても、まだまだ、中国の膨大な人口から見ていけば、そういうことが出来るのも、ほんの僅かの、一握りの人だけ。

 しかもそういう人達に限って、ただの「成金」みたいなもので、学ぶ力が乏しいと来ている。貧しくとも、辺境の地に住んでいようとも、学ぶ力のある人達に外へ行ってもらえるいようにならないかなと思うのですが、そういう教育制度にはなっていないから、しょうがないことなのでしょう。

 日本人は、たとえ、学校で教えられていなくとも、いろいろな形で様々なことを見ることも出来るし、読むことも出来るのですが、彼らの国では学校で教えられていないことを知ることは、多分、かなり難しいことなのでしょう。

 私が高校の時、大学受験で日本史を選んだ生徒が、第二次世界大戦前後はまず出題されないから覚えなくてもいいと言われていました。もっとも、大学に入れば、嫌でも目にし、耳にすることですし、夏休みに国外へ旅行に行けば、嫌でも聞かされます(以前、カナダに行った中国人で、「中国人がこんなに嫌われているなんて、知らなかった。自分達も加害者と言われているなんて知らなかった」と言っていた人がいましたが、そう言うことに気がつく中国人もわずかなものなのでしょう)。

 外国へ行けば、向こうの人の考え方を聞くこともあるし、自分の考えを述べなければならないこともあるでしょう。自分の考えを人に語るには、知識がなければなりませんから、当然、それらに関する書物をひもとくということになる。一方的に自分を「善」として語れば、日本人以外の外国人はすぐに反論しますから(日本人は、どうしてこの人はこういう考えでいられるのだろうと、その人の精神状態を先に考えるという傾向があるような気がします)、普通はギュウッという目に遭わされてしまいます。

 …ただ、あの国で、それ(いくつもの立場の人たちの考えを知ること)ができるかどうか。知った上で、そこにいる人たちの考えを聞き、聞いた上で、自分なりに考えをまとめていく。こういう作業ができるかどうか。

 多分、多くの人ができないような立場にあるのでしょう。だから、以前、この学校に来ていた中学生が驚いたりするのです。「えっ。中国って、昔、こんなに小さかったの」って。

 彼は知らなかったのですね。元王朝は異民族の王朝であり、当時、現在の漢民族は支配されていた、つまり彼等の植民地だった。また清王朝も異民族の王朝であり、現在の漢民族はチベットやウイグル、モンゴルの人たちと同じ立場であった。…などということを。だから、天地会や洪門会などが「排満復明」などと言って独立運動をしていたのだということを。映画を見て笑いながら、それに気がついていない…という人は彼だけではないのでしょうが。

 私は香港の武侠映画が大好きで、当時、よく見ていました。日本で言うところの明治維新ですよね。多くの武人達が英国と闘っていた…けれども、今、考えると、これはすごいことです。

 あのころ、香港は、まだ英国の統治下にあったわけで、それなのに、あそこまで英国をこてんぱんにやっつけるようなものを描けたと言うことは…英国、すごい。アヘン戦争なんて、どれだけ出てきたか判りません。やはり、英国は、なんだかんだと言っても、先進国であり、懐は広いのです。逆を考えてみればすぐに判ることですが。

 中国も、一部の人たちが大金持ちになり、外国へ旅行に行き、自分達とは違う文明を目にする機会も多くなった…とはいえ、それを機に、自分達のことを考えることが出来るかというと、…ちょっとそれは怪しい。こういうことは、まず、国が公教育でやっていかなければ、難しい。

 「行った。見た。買った」で終わっては、せっかくの国外旅行が何の役にも立たないと、多分、国の外へ旅行に行けない、彼等の同胞は思うような気がするのですけれども。

 日々是好日
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