日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「ヒアリングが苦手」組と、「漢字が苦手」組。

2017-03-15 08:46:16 | 日本語学校
小雨。直に止むとのことですが。

今朝も寒く、学生達はいつ「サクラ(桜)」が咲くのと聞かなくなっています。暖かい日が続けば、「春、すなわち『サクラ』」と連想するのでしょうけれども、こう寒いとね。

いつごろでしたかしらん、河津桜の開花が取り沙汰され、埼玉でも咲いているのを見かけたのですが、あの「サクラ」今、どうしているかしらん。びっくりさせられて、慌てて縮こまっているのではないでしょうか。

さて、学校です。

卒業式も終わり、少しばかりガランとしてみえる…のは、毎年のことなのですが、もうすぐ二年生になる、一年生たちは、「N3」試験やクラス分けのことで話が持ちきりです…(それほどのことはないか)。

言語関係の試験というのは、ヒアリングのいい方がかなり有利です。コツコツ型の人よりも。聞き取れますから。それが日本にいて聞き取れるようになりますと、周りの日本人が話す言葉が耳に残り始めます。何度も聞いているうちに、単語や文も記憶できるようになるのです。

その反対に、聞く力がそれほど備わっていないと(ヒアリングは時間の問題です。いずれ、遅かれ早かれ、身につきます)、努力して覚えても、覚えた片端から消えていってしまう。せっかく日本で暮らし、ここでアルバイトもしているというのに、言葉が心に留まってくれないのです。

学校は一斉授業ですし、いろいろな民族、国の人が集まっていますから、先に聞く力が身についた方が、勝ち。大きな顔をし始めます。けれども、実はそれが落とし穴なのです。それが面白くなってしまいますと、ひらがなやカタカナを使わなくなる、漢字を覚えなくなる…なにせ、大変ですから(これは、彼らの口癖です)。

外国人にこういうのはナンですけれども、これが彼らにとっての錦の御旗。この印籠が見えぬかと…それで押し通そうとし始める

困るのはそれで、ある程度のところで通用してしまうことです。「N5」レベル、「N4」レベルの日本語力があれば、それなりのところでアルバイトできますし、会う日本人も、「日本語が上手ね」と言ってくれます。ただ彼らは進学したいと来日しているのです。働くために来ているのではありません、一応は。

そして、可哀想なのは、母語の関係でなかなか音が掴めないという人たち。聞いても聞いても「な」と「ら」が同じに聞こえる。「ま」と「も」の区別がつかない…。

言葉というのは、普通「読む」「書く」「聞く」「話す」の4領域と言われています。ところが、いつの間にか、「聞く」「話す」だけの人たちと、単語を覚え、「漢字」を覚えしても、なかなか「聞き取れないし、話せない」という人たちとの二大勢力が、クラスにできてしまう。

もとより、きちんとバランスよく身につけられる人もいるのですが、それは少数派。インド圏とベトナム人とは、どうも、この面で折り合いが付かないのです。

入学時に同じクラスであれば、まだしも、入学時に異なったクラスに入ってしまうと、後でクラス編成で同じになっても、互いに「こんなことも言えないのか」と思う組と、こんな漢字も書けないのか」と思う組との二つができてしまう。

面白いことに、インド圏でコツコツ型の人は、どの国の学生からも一目置かれていますから、「できる人」というのは別なのでしょう。

困るのは、いくら一生懸命聞いても、覚えても、(テストの時)成果がなかなか上がらないという人たち。それが半年経ち、一年経つと、私たちには、その「進化」が見えるのですけれども、本人は見えないので、それがまどろっこしくて仕方がない。辛くなってやめてしまうこともあるのです。どうも、自分は少しも上手になっていないと映るようです。

卒業するときになっても、そういう人はいるのです。

今年はどうかしらん。

日々是好日
コメント
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