おくさまのひとりごと

甘えてだらけて専業主婦のおくさまが
日々の出来事を元気いっぱいお喋りします。

出直します。

2005年03月26日 21時21分36秒 | 日々の出来事。
ご迷惑をおかけいたします。

しばらくこちらをお休みします。

このgooブログさんで新しく出直すことにしました。

今、その作業に没頭しております。

しばらくお待ちください。

リンクをお願いしている皆さまには二、三日中には

改めてご連絡いたしますそのときはまたよろしくね。

遊びに来てくださったみなさまには

ひとまずこちら『おくさまのすてきな暮らしっぷり』へお越しいただけると嬉しいです。

どうぞよろしく。


貴志祐介『青の炎』を読みました。

2005年03月22日 17時53分12秒 | 読書暴走文。

初めて読む貴志祐介さんの作品。
読まず嫌いな作家さんのひとり。

ホラーが苦手でして。
その怖さがどこにあるのかがつかめない。

できればホラー作家さんだと呼ばれる方の作品はホラーでない作品から読んでみたい。

たまたま図書館にあったのでそれほどの期待もせず借りてきて読みました。
読まず嫌いはいけなかったなと少し反省してますが・・・。
この作品は映画化されてもいます。知らなかった。


17歳の少年が完全犯罪を計画し実行する。


少年の名前は櫛森秀一君。高校二年生になったばかり。
勉強はかなりできる。学校では友達も多い。
それなりに充実していた高校生活だった。
だが、母の別れた再婚相手が家に居座ってしまった。
その男は働くこともせず酒に溺ればくちに走る。
そんな家族を破壊する疫病神がいる限り母と妹は幸せにはなれない。
櫛森くんは綿密な計画と行動力でその男を殺害します。
櫛森くんの完全犯罪は成功したはずでした。
ところが・・・
そして・・・


なんとも悲劇的。どうしようもなくせつない。
暗い甘さとその残酷さにポロリときてしまった。
大人たちの裏の事情がまだ飲み込めない17歳の少年。
なんて皮肉なことなのでしょう。
これは大人の、櫛森くんの母親の責任はかなり大きい。


子供ですよね。17歳はまだ子供です。
子供だからこそまっすぐにしか考えられなかったのかもしれない。
純粋な少年の心のうちに秘められた青い炎。
憎しみと殺意のなかで揺れ動く櫛森くんの心・・・
殺人の罪悪感に押しつぶされそうになる櫛森くんの心・・・
お願い。もう止めてと何度もつぶやいたり・・・
お願い。つかまらないでと叫び出しそうになったり・・・。
もう完璧に激しく櫛森くんに感情移入。
わたくしが櫛森くんが受けたプレッシャーをそのままかぶっちゃったみたいで押しつぶされそうでした。


前半は健気で儚すぎました。

そして後半はあさはかすぎました。


ムカツクとかキレルとかそんなただの少年犯罪ではない。
純粋で切実な動機がそこにはある。
だけど、殺害するしかなかったのでしょうか。
そして櫛森くんの最後の選択は・・・
人間はそんなに強くはない。
その心はとても弱いものなのでしょうね。
現実から逃れるにはその選択しかなかったのでしょうか・・・
ああ・・・とっても複雑です。


櫛森くんの中学生の妹、櫛森くんの友達、そして愛しいひと。
若さの素晴らしさ、純粋さ、はかなさ、いたいたしさ
高校生の子供がいてもおかしくないおばさんのわたくし。
彼らにわたくしの過ぎ去った17歳の高校生活が重なりました。
(かなりな無理もありますが・・・)

物語の舞台、流れる季節感、走りぬける風景・・・
純真だったり残酷だったりそんな若い人たち・・・
決して爽やかなおはなしではなかったけれど
切なさを含んだ潮風が頬に心地よく感じたそんな瞬間もありました。




有効利用。

2005年03月22日 14時40分57秒 | 日々の出来事。
最近の夫・相方はマイ晩酌に焼酎をいただきます。

あの、幻の焼酎『森伊蔵』をそれはそれは大切に

ちびりちびりと飲んでましたがすっかり空っぽに・・・

その後、夫・相方の取引先の越後屋さん

(おぬしも悪じゃのうの越後屋さん。もちろん仮名。)から

『財宝』を献上していただいて以来、財宝の虜となる夫・相方。


お湯割りで梅干入れてちびりちびり・・・

お写真の樽は一升入りでしたが

これもまたあっという間にすっかり空っぽに。



妻・おくさまはおビールしか飲めませんので焼酎は嫌い。

だけど、この樽だけはそれはそれはとてもお気に入り。

頬を寄せますとひんやりして気持ちも好いですしね。


さて、この空っぽの樽なのですが

どうにかして有効に我が家の家宝にしたい妻・おくさまです。

そのまま転がしておくだけでもなんだかお値打ちなのですが・・・


ってことで、何かに利用しようと企んだ妻・おくさまです。


そうだわ。一輪挿しがいいかしら。

それともお金をチャリンと入れて貯金箱がいいかしら。


なんちゃって非常に一般的で最も当たり障りのない

このふたつの妻・おくさまの名案を夫・相方に披露。


「うん。それは、どちらもとっても名案だね。好きにしなさい。」


夫のこの言葉は妻のこの名案を全面的に、なおかつ好意的に

受け入れてくれたかに思え、その一瞬は喜んだ妻でしたが

よくよく考えてみるとどちらにしても夫にとっては

そんなことは別に大した問題でもなかったんだなと気付いた妻は

夫への鬱憤がまたひとつたまっただけだった。





なんて早起き。

2005年03月17日 03時14分32秒 | 日々の出来事。
「早起きは三文の徳」

などと申しますが早く起きすぎました。

やることないですしね。

朝刊だってまだ来てませんしね。

朝ごはんといっても昨夜寝る前に食った

魚肉ソーセージにムネヤケしたままだしね。

あっ。朝刊が来た。んじゃまたねん。


緩む。

2005年03月16日 19時02分56秒 | 日々の出来事。
近いようで遠かった春・・・
なんか来たよね。来ちゃってるよね。
今日はめっちゃ張る。もとい!
今日はめっちゃ春。
明日はお彼岸の入り。

そんな感じで今日は先日お買い上げしたお念珠をご紹介。

十数年前に8000円で買った数珠を失くしちゃった
バチ当りな夫のために妻のおくさまが買いに行ってきました。

大阪は天王寺、一心寺さん前のお仏壇の『多宝堂』様。

ご立派な数珠からそれほどでもない数珠まで・・・
ビックリするようなお値段の数珠とか・・・
ビックリするような雰囲気をかもし出している数珠とか・・・
ため息が出ちゃいました。


で、お買い上げしたのがこれ。

税込みで5250円也。
いえね。3万円ぐらいのもあったんですよ。
でもね。もしまた紛失とかってことにでもなったら大変ですし。

といいますか・・・

一番下の一番デッカイ緑色の玉が親玉と呼ばれますが
この緑のタマコロにすっかりトリコ・・・

紫檀がどうのこうのとか・・・
インドのヒスイがどうのこうのとか・・・
お店の人のおはなしはうわのそら。
「こっ、これ下さい!」なおくさまでした。
もう少しお値段の高いのが欲しかったんですが
それなりにご立派な数珠を買えてご満悦なおくさまでした。

でね、お店の人が「試供品ですが・・・」と

父の背中

と呼ばれるお線香をくれました。あんがと。

箱の裏の説明書きによると

「『父の背中』は優しさと強さを枯れて朽ちてもなお
後世まで香りを残す沈香をベースに表現しました。
今一度、遠い記憶の彼方の『父の背中』を思い浮かべながら
仏前に手を合わせてみてはいかがでしょうか。」

となっておりますが夫の父はいたって達者です。
嫁の立場のおくさまが『父の背中』に火をつけ
お仏壇に手を合わせるワケにもゆかず・・・

そのままこの箱の隅っこから夫と一緒ににほいを嗅いでいます。

「貴方も嗅いでごらんなさい。」と妻。
「お前も嗅いでごらんなさい。」と夫。
互いに譲り合いながらもそのかほりを楽しむ。
そんな我が家の四畳半のお茶の間。

どこからともなく



ぷぅ~っ

「おまえなー。」
なんちゃって夫に叱られちゃった春が来た日。

どこもかしこも緩む春。

とっても幸せ


東野圭吾『ブルータスの心臓』を読みました。

2005年03月13日 14時53分10秒 | 読書暴走文。


東野作品はその読後感がとっても虚しい。
容赦なく後味がむっさ悪い。
それなのに東野作品は
ひとつの作品を読み終わると
また別の作品をむしょうに読みたくなる。
何がわたくしをそうさせるのか・・・


主人公は末永拓也。
MM重工社員で人工知能ロボット開発を手がけている。

不幸な生い立ちからか自分以外の人間を信じない。
必死で勉強し、就職し、社内では将来を嘱望されている。
おまけに社長の娘婿候補となった。
エりエリート街道まっしぐら。

ところが、遊び相手の康子が妊娠した。
産んで養育費を請求するという康子。

困惑する拓也は同僚の橋本とともに社長の息子の直樹から呼び出される。

直樹は康子殺害のための共同殺人計画を持ち出す。
3人とも康子の妊娠に心当たりがある。
だけどそのうちの誰が父親なのかは不明。
3人ともそれぞれに自分の今の立場がとても大切。

康子殺害のための大阪、名古屋、東京を結ぶ
完全犯罪殺人リレーが計画通りに進行してゆきます。

その計画は順調。順調すぎるほどです。
東野さんやもん。なんぞあるで。きっと・・・

期待通りの、なんてこったな展開をみせる。
いきなりの大どんでん返しに一瞬、おつむがくらっ。
やっぱりな。そうこなくっちゃな。
だからこそやもん東野圭吾。さすが・・・


犯人側から犯行が描かれるワケなんですけども・・・

この手法だとなぜか自分が犯罪を犯しているような気分。
だから、主人公の拓也を応援しちゃっていたりもする。
だって真犯人がまた別にいるんだもの。
そして第二の殺人が・・・っとくりゃ、あなた。

見えない殺人鬼に夢中になってページをめくる。


序章に何の意味があるのかは常に気がかりやったんですけど。
そっ、そんなぁ・・・
これじゃぁみんな不幸のずんどこじゃないですか。
この会社、ほんまにあかんで。


なにもかもの歯車が狂い放題。
人生そのものまでもが狂ってゆく皮肉さ。
そこには血の通う温かな人の心はどこにもなく・・・
人間を人間だと思わない人たちがわんさかほんさか。

あぁ~。もう、めっさ嫌なおはなしでした。
身から出た錆・・・
人間とロボットの殺人悪循環・・・
なんだかもう、みんな嫌いだ。


あぁぁっ・・・
またそんなとこで終わっちゃってるし・・・


人間を無視した人間達。
そんな人間達が作り出すロボット達。
ロボットに罪は無いのだがロボットもまた虚しい。


あ~ん。なんか、じ~んとくるのが読みたいな。東野さんのでね。


綾辻行人『殺人方程式・切断された死体の問題』を読んだ。

2005年03月11日 15時36分19秒 | 読書暴走文。

警視庁刑事・明日香井叶とその双子の兄・響が活躍するシリーズ第1作目。
どちらの名前も『きょう』と読むんですね。
で、呼び別けているワケです。弟をカナウ、兄をヒビクとね。


叶さんは妻のたっての希望で刑事になったんです。
血とか死体とかが非常に苦手なんですね。
それほどカッコよくも無いんですがいい人です。
こつこつとまじめで几帳面な人です。
普通の人なんですね。なんか安心します。
で、実際に事件の謎に挑むのが
まだ大学生の響さんのほうでして
こちらは大胆な推理と行動力。
やりすぎる気がしなくもないですが。
そんな感じで自分の夫にするなら叶さんが良いな。
などとおはなしがへんてこりんな方向へそれちゃってますね。


このシリーズなんですが
2作目の『鳴風荘事件』を先に読んじゃいまして
はっきりいって響さんの登場によって
事件が複雑化して余計にこんがらがっちゃうという
わたくしにとってはなんともありがた迷惑な名探偵なんです。
だからといって嫌いじゃないですが少し苦手な人物です。


ってことなんですけども。
綾辻君の考え出すトリックなんて・・・
逆立ちしたってわたくしに解けるワケもなく。
ところがどっこい・・・
わたくし、なんと、
教主・剛三殺しの犯人を早い段階で断定しました。
だって動機はコレだなとピンときたわよ。
少々わざとらしかったですしね。
それにそうだとすると
アッと驚く真犯人だぞ。
なんて思ってましたら案の定。
うふふっ。やちゃいましたよ。
いえね。だからってそのトリックに関してはスチャラカホイ。


切断された死体の問題に関してなんですけども
切り離すことのメリットはみんなきっとわかるでしょう。
だけど切断した死体をどうやってそこにそうしたかのトリックは
ごにょごにょした連立方程式が果てしなくチンプンカンプン。
『鳴風荘事件』に続いて殺人方程式に関してはまたしてもスッテンテン。


事件の舞台や死体の奇怪さがムンムンしてたのに
そのムンムン感を引きずった登場人物がいないのは
なぜでしょうなどと書いちゃってもいいですか。


事件の謎に挑むのが刑事でない探偵役の響さん。
だからこそのそのラストには好感が持てました。
このあたりかな、このシリーズが好きだなと感じるのは・・・
って、このシリーズの3作目はどうなってるのでしょう。


わたくしの夫。

2005年03月10日 14時04分18秒 | 日々の出来事。
夫にセクハラまがいな行為を働いた妻ですが


「こらっ!!!女マイケル!!!」



と夫に叱られちゃった妻・おくさまです。こんにちは。

さて、

ひと月ほど前から朝になると妙な足跡が炊事場につんつんと・・・



こんな感じの生き物の足跡のような・・・そうでもないような。


ってことでおくさまは粘り強い現場検証と深夜の張り込み。

地味な捜査を続けるが一向にその正体をつかめず。

心身ともに疲れきっておりました。

ですからおくさまはぐっすり眠っていたのですが

深夜、ふと目がさめたら夫も目がさめていたんです。


「イタチだったよ。」


と夫は親切に教えてくれました。

頼もしい夫だわ。とおくさまは夫ににじり寄りましたが

そのイタチを勇敢に退治してくれるワケでもなく

そのイタチ対策を真剣に取り組んでくれるワケでもなく

結局はそれほど頼りになるほどの夫でも無かったというわけです。




乃南アサ『凍える牙』を読みました。

2005年03月06日 15時15分51秒 | 日々の出来事。



乃南アサ女史の音道貴子刑事シリーズ第1作目。
直木賞受賞作品。


音道刑事シリーズは『鎖』から入っちゃいました。
といいますか・・・
乃南作品そのものを『鎖』から入っちゃったんですけどね。
音道刑事のデビューが本書の『凍える牙』なんですけどね。


「野獣との対決の時が近づいてきた・・・」

表紙裏のあらすじにこんな怖いこと書いてます。
びびっちゃってびびちゃって。
いつまでたっても手が出ませんでいた。


でも買いました。買ってよかった。読んでよかった。


動物とはフレンドリーな関係をいつまでたっても築けない。
特に犬嫌いのこのわたくしが『疾風』という名のオオカミ犬に涙・・・。
いや、だからといって
今後の自分の人生で動物との関係がどうのこうのとはなりませんが。


哀しい凶器・・・
『疾風』の圧倒的なその存在感。
飼主への忠誠心。
自分の使命とその役割。
その生き様と潔い覚悟に美しさを感じてしまった。
なんて愚かなんでしょうね。人間は・・・
なんて往生際が悪いんでしょうね。人間は・・・
それを思い知らされたりもした。


しょっぱなから深夜のファミレスで男が燃え上がる。
その現場のビルが大火災となる。
その男は発火装置を仕掛けられていた。
そして新しい傷の跡が大腿部と足首に残っていた。
それは何らかの獣にかまれた傷だった。


捜査にあたるのが女刑事の音道刑事。
彼女とコンビを組むのが中年刑事の滝沢刑事。
初顔合わせ。どちらもやりにくそうだ。


難航する捜査・・・
やがて同じ獣による咬殺事件が続発する。


しょっぱなから黒焦げ死体。
かなり衝撃的な事件でおはなしが始まります。
そして野獣にかみ殺される人間。

異様な事件そのものにもめっちゃびびる。

凍える夜に忍び寄る牙をむき出しにした獣を想像してしまう。
オオカミの遠吠えが聞こえたような錯覚にすら襲われる。
それほど3月に入った今も夜は凍える。わたしはびびる。


ただ残念なことにこれほどまでの事件でありながら
いまひとつ犯人像とかその動機が地味すぎたのが少し物足りない。
だからと言って面白くなかったわけではない。
やはり、さすがは乃南さんだ。読ませる。


音道刑事と滝沢刑事のコンビ。
牽制しながらも無理に自分を抑えてちゃてる。
滝沢刑事はこんなもんじゃないんですか。
いや。まだやりやすいオヤジですよ。
面倒なだけで、ただ戸惑っているだけでそこには悪意もない。
ベテラン刑事には自分のリズムってのもあるんじゃないですか。
音道刑事が女であることを少し意識しすぎなのではありませんか。
男の目線だけで女を見る。女の目線だけで男を見る。
お互い不器用なだけ。似たもの同志なのよねきっと。
なんか音道刑事がうらやましい。


警察という男社会での立場。
私生活でもかなり辛いこともある。
それでも事件は待ってはくれない。
女性刑事の孤独な闘い・・・
その孤独感と息苦しさが
千載一遇のチャンス・・・
ひとつの目的を達成する者たちが走る凍てつく深夜の高速。
連帯感とともに流れてゆく熱いほどの爽快感。


わたくしも『疾風』とともに深夜の高速道路を走りました。
わたくし、自転車にしか乗れませんが・・・
あの一体感が自分自身のどこからあふれてきたのかもう夢中でした。
無線のやり取りでさえ熱くなりましたからね。


相棒を褒められたときの素っ気なさ。
それがまたたまりませんでしたよ。滝沢刑事さん。


事件解決後、音道刑事と滝沢刑事のコンビは解消しました。
不器用なふたりらしくすんなりまともな会話を交わすことなく・・・
曖昧な余韻を残して・・・
だけど確かな信頼感を手に入れたような音道刑事。
だからと言って二度と組みたくもないとも思う音道刑事。
彼女の孤独な闘いはまだまだ続くのだろう・・・


相棒。犯人。オオカミ犬。
それぞれの出逢い。皮肉なめぐり合わせ。
「違う形で出逢えたら、よかったな。」(本文より)
滝沢刑事さん。だからこそ貴方のその言葉が重かった。






桐野夏生『残虐記』を読みました。

2005年03月04日 15時59分52秒 | 読書暴走文。



図書館で予約したのが去年の5月頃だったかな。
だけどすっかり予約したことも忘れちゃってた。
ようやく順番が来たので読み始めたんだけど・・・


10歳の時にある男に拉致されその男の部屋に監禁された少女。
1年余りを経て無事開放され、犯人も逮捕された。
作家になった少女は25年後、犯人からの手紙によって
「残虐記」と題された原稿を残し夫の元から失踪した。
「残虐記」にはその記憶の全てが書かれていた。


抗うことのできない過酷な試練は監禁された日々だけでなく
開放されてからも彼女に常にのしかかってくる現実の苦しみ。

誰にも分からない。彼女の心の内側なんて・・・
犯人と被害者の永遠の秘密。
それは歪んでいるとも思えなかった。
だが、歪んでもいるのだろう。


野次馬根性で読みたかったのだ本当は。
わたくしだって女ですもの彼女には同情もする。
だけどそれがどれほど彼女を傷つけることになるのか・・・
そして・・・
そんな同情とは裏腹に大きく膨らむ好奇心に溢れていた。
やっちゃいけないと思いながらもやってしまう妙な想像。


わたくしは最低だ。
もっと知りたいと読み勧めるのだ。
監禁されて何があったのかを知りたがるのだ。


それなのにぐんぐん読みながらも途中で何度も読むのを拒んでいた。


胸が気持ち悪くなるほどの圧迫感にまみれた。
真相が見えないまま4時間で読み終えた。
わたくしにとっては悪夢のような4時間だった。


何を読んでいたのだろう。
いや・・・
何を読まされていたのだろう。
回想・・・
監禁されていたときの犯人との奇妙な関係。
犯人と監禁場所をとりまく人間関係やその環境。
解放後の両親や元の生活の違和感。
彼女に対する周囲の同情や好奇の目。
そして彼女自身の心の内。


それは彼女の妄想だったのだろうか。
それとも彼女が積み重ねた勝手な空想だったのだろうか。
何が現実で何が真実だったのだろう。
わからない・・・
わたくしには何がなんなのか全くわからない。


すごく嫌なおはなしだった。
それなのに先が知りたくって一気に読んだ。


惨めだった。
読んでいるわたくし自身が惨めだった。
そして彼女が残した「残虐記」は
あまりにもあっけなく終っている。
だからなのかもしれないけど
無性に寂しくて寂しくて・・・
誰かに優しくされたくなった。
人肌のぬくもりがとっても恋しくなった。


みんな大嫌い。登場人物みんなが大嫌いだった。
被害者だった彼女すらも大嫌いだった。


彼女は一体何処へ行ったのだろう。
現実からずっと逃避を続けているのだろうか・・・


本を閉じた瞬間・・・
わたくし自身も残虐な人間のひとりなのだと気がついた。
それがまたすごく悲しかったりもした。