※平安・高彬×現代・瑠璃のパラレル設定です。苦手な方は閲覧ご注意ください。
「高彬、いらっしゃ・・、い・・・」
車宿りまで出迎えてくれた融は、ぼくの後ろに佇む瑠璃さんに気が付くと、途端に言葉を途切れさせた。
口をポカンと開け、瑠璃さんを見ている。
瑠璃さんはと言うと、ぼくが言った「恥ずかしがり屋で人見知りする姫」にでもなり切っているつもりなのか、小首を傾げ伏し目がちに、あるかなきかの微笑みを湛えている。
何だ、こんな風にも振る舞えるのか。
だけど、瑠璃さんらしくなくて、何となく笑いを堪えていると
「高彬!」
融に隅っこに引っ張られてしまった。
「何だよ」
「何だよじゃないよ。誰?あの姫」
「・・う、うん。まぁ・・」
「まさか高彬の恋人の姫なの?」
「いや、うーん、まぁ、何て言うか・・」
この場で、瑠璃さんの正体を明かすわけにもいかないし、どこまで融に話すかも、考えて見たら決めてなかったので、曖昧に返事をすると
「いいなぁ、高彬。可愛い姫、見つけたね」
「え」
融は肘で突いてきた。
「いや、だから・・」
「隠さなくていいよ、高彬。さ、部屋に行こう」
融は少し気取った仕草で歩き出し、瑠璃さんに(行くよ)と目配せをすると、ぐっと腕を掴まれた。
「何、こそこそ話してたのよ、2人で」
「融が瑠璃さんのこと、可愛い姫だってさ」
そう言うと
「へぇ!」
瑠璃さんは目を丸くして
「なかなか素直で良い子じゃない。融って言うの」
ふむふむ、なんて頷き、次いでニッと笑うと
「子分にしーちゃお」
変な節を付けて言い
「子分て・・。瑠璃さん、恥ずかしがり屋の姫の線で頼むよ」
「分かってる、分かってる。任せなさいって」
後ろ手に手をヒラヒラさせながら、子分の待つ、いやさ、融の待つ部屋へと向かい歩き出す。
******
融はいとも簡単に子分になり下がった。
かと言って、瑠璃さんが何かを言ったとか、させたとか、そんなんじゃない。
人間には、生まれながらの関係性が存在するんじゃないかと思えるほど、融と瑠璃さんの上下関係はあっけないほど、すぐに決定した。
でも、よくよく考えてみたら、それも無理のない話で、融にしてみたら<初めてみる同年代の姫>なわけで、そうなれば自ずと気を遣うことになるし、融の元々の性格からして、初対面の相手に主導権を握るとは考えずらい。
「少し、お邸の中を見て回ってもいいかしら?」
「う、うん。今日は父さまはいないから、いいけど・・・」
思ってもみなかった瑠璃さんの提案に、面喰ったように融は頷き、瑠璃さんはスックと立ち上がると部屋を出て行った。
「お邸探検が趣味な姫でね」
慌てて説明すると
「へぇ・・。顔は可愛いのに、変わってるんだね」
「うん。少しね」
瑠璃さんは何かの手掛かりを探してるはずで、見つかって欲しいような、欲しくないような複雑な気持ちだった。
融と世間話をするうち、しばらくすると瑠璃さんが戻ってきた。
ぼくを見ると、小さく頭を振り、何も見つからなかったようだった。
「じゃあ、今日はこれで帰るよ」
「うん。また、おいでよね」
「ねぇ、融」
「へ?!ぼく?」
瑠璃さんに名前を呼ばれた融は、自分の鼻の頭を差して言い
「何よ。融って名前じゃないの?」
「そうだけど・・」
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
瑠璃さんが融に向き直った。
<続>
子分を集めて鬼ヶ島にでも行きそうな瑠璃に、クリックで応援をお願いいたします。
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「高彬、いらっしゃ・・、い・・・」
車宿りまで出迎えてくれた融は、ぼくの後ろに佇む瑠璃さんに気が付くと、途端に言葉を途切れさせた。
口をポカンと開け、瑠璃さんを見ている。
瑠璃さんはと言うと、ぼくが言った「恥ずかしがり屋で人見知りする姫」にでもなり切っているつもりなのか、小首を傾げ伏し目がちに、あるかなきかの微笑みを湛えている。
何だ、こんな風にも振る舞えるのか。
だけど、瑠璃さんらしくなくて、何となく笑いを堪えていると
「高彬!」
融に隅っこに引っ張られてしまった。
「何だよ」
「何だよじゃないよ。誰?あの姫」
「・・う、うん。まぁ・・」
「まさか高彬の恋人の姫なの?」
「いや、うーん、まぁ、何て言うか・・」
この場で、瑠璃さんの正体を明かすわけにもいかないし、どこまで融に話すかも、考えて見たら決めてなかったので、曖昧に返事をすると
「いいなぁ、高彬。可愛い姫、見つけたね」
「え」
融は肘で突いてきた。
「いや、だから・・」
「隠さなくていいよ、高彬。さ、部屋に行こう」
融は少し気取った仕草で歩き出し、瑠璃さんに(行くよ)と目配せをすると、ぐっと腕を掴まれた。
「何、こそこそ話してたのよ、2人で」
「融が瑠璃さんのこと、可愛い姫だってさ」
そう言うと
「へぇ!」
瑠璃さんは目を丸くして
「なかなか素直で良い子じゃない。融って言うの」
ふむふむ、なんて頷き、次いでニッと笑うと
「子分にしーちゃお」
変な節を付けて言い
「子分て・・。瑠璃さん、恥ずかしがり屋の姫の線で頼むよ」
「分かってる、分かってる。任せなさいって」
後ろ手に手をヒラヒラさせながら、子分の待つ、いやさ、融の待つ部屋へと向かい歩き出す。
******
融はいとも簡単に子分になり下がった。
かと言って、瑠璃さんが何かを言ったとか、させたとか、そんなんじゃない。
人間には、生まれながらの関係性が存在するんじゃないかと思えるほど、融と瑠璃さんの上下関係はあっけないほど、すぐに決定した。
でも、よくよく考えてみたら、それも無理のない話で、融にしてみたら<初めてみる同年代の姫>なわけで、そうなれば自ずと気を遣うことになるし、融の元々の性格からして、初対面の相手に主導権を握るとは考えずらい。
「少し、お邸の中を見て回ってもいいかしら?」
「う、うん。今日は父さまはいないから、いいけど・・・」
思ってもみなかった瑠璃さんの提案に、面喰ったように融は頷き、瑠璃さんはスックと立ち上がると部屋を出て行った。
「お邸探検が趣味な姫でね」
慌てて説明すると
「へぇ・・。顔は可愛いのに、変わってるんだね」
「うん。少しね」
瑠璃さんは何かの手掛かりを探してるはずで、見つかって欲しいような、欲しくないような複雑な気持ちだった。
融と世間話をするうち、しばらくすると瑠璃さんが戻ってきた。
ぼくを見ると、小さく頭を振り、何も見つからなかったようだった。
「じゃあ、今日はこれで帰るよ」
「うん。また、おいでよね」
「ねぇ、融」
「へ?!ぼく?」
瑠璃さんに名前を呼ばれた融は、自分の鼻の頭を差して言い
「何よ。融って名前じゃないの?」
「そうだけど・・」
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
瑠璃さんが融に向き直った。
<続>
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融という名前の弟はいないんですね
(違う名前の弟ならいるかもしれないけど)
瑠璃さん、子分て(笑)
高彬くんは子分じゃないのに、
融くんは、いきなり子分認定(笑)
可哀想な融くん……
守弥が出てきたら、きっと守弥も子分認定だと思います(笑)