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ブラフマンの埋葬/小川洋子 [Book]

2006-11-28 | (review:all)
 小川洋子:著 『ブラフマンの埋葬
 
ブラフマンの埋葬

講談社

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 2004年の泉鏡花文学賞受賞の、中編小説です。

 ブラフマンは、怪我をしていたのを助けたことから
 「僕」のもとに連れて帰ってきた、動物の名前。
  (私は大型犬のイメージで読み進めてましたが、
   どこにも犬とは書いていないようです)
 僕は、<創作者の家>と名づけられた、
 いわば芸術家たちの貸し別荘の、管理人。

 ブラフマンが僕に甘えたり、困らせたりし、
 僕を慕ってなついていく様子を
 僕が心から愛しく思っている風景が、
 穏やかに優しく綴られていきます。
 私自身は犬も猫も飼ったことはないのだけど、
 ほほえましくて頬が緩む場面が、
 たくさんありました。

 そんな穏やかな日常の中に、
 スパイスのように出くわす、事件や人。
 そのエピソードを通して、
 僕とブラフマンの親交は、
 さらにどんどん深まっていったのだけど・・・。

 僕が、ブラフマンに深い愛情を注ぎながらも、
 それとは別の感情として「娘」に心惹かれるのも
 当然の流れであって、仕方がないのでしょう。
 娘がどこか自己中心的にも描かれているのは、
 僕がそれにも気づかない、
 またはそうとわかってはいても惹かれてしまう
 盲目的な憧れの対象として、
 僕の前におきたかったのでしょうか。

 とても悲しい結末に、思わず涙してしまったのですが、
 でも、目の敵のごとく思われていたレース編み作家の
 最後の一連の行動に、ずいぶんと救われました。
 ホルンの音色が、遠く森の奥まで響く情景が、
 眼前に広がる、余韻のあるラストシーンでした。

 せつないけど、よかったです。


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6 コメント

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TBありがとうございます☆ (みるこ)
2006-11-29 12:07:36
娘の解釈に目からうろこでした。
「そうとはわかっていても惹かれてしまう」…なるほど、確かにそうなのかもしれません。

レース編み作家の最後の一連の対応には、私もずいぶん救われた思いがしました。
この作品はどの登場人物も、いいもんにも嫌われ役にもなりきらない、不思議な暖かさがあるように思います。
こんばんは♪ (miyukichi)
2006-11-29 20:25:25
>みるこさん

 こちらこそ、ご訪問どうもありがとうございます。
 
 解釈といえるほどのものではないので
 お恥ずかしいかぎりです。
 文学を読んで感じることに、
 正しいも間違ってるもないのですが、
 それでも他の方の記事を読んで
 ハッと気づくことって、誰でもありますよね。
 最初に感じたことと同じく、
 そうやって気づいたことも大事にしたいなぁと
 思っています。

 レース編み作家さん、単なるイヤミなヤツでは
 なかったですね(笑)
 
 この作品もそうだし、小川さんの作品自体が
 どれもほのかなあたたかさを感じるような
 気がしています。
TBとコメントありがとうございます (paul-ailleurs)
2006-11-29 21:27:11
小説を読むということは余りないのですが、最近友人の話を聞いているうちに小川さんの小説を読み始めていますが、大げさなところがなく、静かで微かな陰陽を見る目がある方のように感じています。
こんばんは♪ (miyukichi)
2006-11-30 00:53:41
>paul-ailleursさん
 
 こちらこそ、どうもありがとうございます。

 「大げさなところがなく、
  静かで微かな陰陽を見る目がある」
 
 それ、すごく言えてる気がします。
 私もだいぶ昔にハマった後は、
 しばらく読んでいなかったのですが、
 最近また読みはじめています。

 paul-ailleursさんの読んだとおっしゃっている『海』も、
 ぜひ読んでみたいと思います。
はじめまして♪ (こもも)
2006-12-01 17:57:49
TBありがとうございました!
以前読んだ本でしたが、miyukichiのレビューを読んで、あの時の感動を思い出しました。
結末の設定が、たまらなく残酷で、切なくて・・・なんとも言えなかったなあ。人を愛するって、そういうことなのかもしれない・・・なんて思いました。
素敵な一冊でしたね。
こんばんは♪ (miyukichi)
2006-12-01 20:14:16
>こももさん

 こちらこそ、ご訪問どうもありがとうございます。

 結末、ほんとに残酷でしたね。
 それまでの楽しい日々が甦ってきて、
 ほんとにせつなかったです。

 僕は娘に惹かれてはいたけど、
 恋に恋するような感じだったように
 私には感じられました。
 あの事故をきっかけに、
 自分でもそれに気づいたかも?なんて。

 淡々とした語り口ながら、
 僕とブラフマンの強い結びつきが感じられて
 素敵な1冊でした。

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