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24節気の健康と食養:大寒から節分まで

2024年01月19日 | 24節気の健康と食養

24節気の健康と食養:大寒から節分まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 大寒 初候 款冬華(ふきの はな さく)蕗の薹(ふきのとう)が蕾を出す
    次候 水沢腹堅(さわみず こおり つめる)沢に氷が厚く張りつめる
    末候 鶏始乳(にわとり はじめて とやに つく)鶏が卵を産み始める

 大寒(1月20日頃:2024年は1月20日)は読んで字の如しで、一年で寒さが最も厳しく、朝の冷え込みで震えあがります。ちなみに当地岐阜(濃尾平野の奥地)の気温(岐阜気象台観測:平年値)は1月終わり頃に最高気温8.8度、最低気温0.4度になります。この傾向は全国的に同じです。

 大寒の頃から、厳しい寒さがために風邪(インフルエンザを含む)に罹患することが多くなります。特にインフルエンザは1~2月に猛威を振るうことが多いです。もっとも、ここのところ新型コロナの流行により、ウイルス干渉を起こしたようでインフルは鳴りを潜めていましたが、今年は元通りに復活したようです。いずれにしても、様々な風邪ウイルスに対して、この時期に免疫力をアップさせること、体の抵抗力を落とさないこと、これが重要になります。
 インフルについては次の記事をご覧ください。新型コロナも同様です。
(参照 → インフルエンザは単なる風邪の一種ですから、むやみに医者の薬を飲んではなりません

 この時期の健康法として、何より「ひなたぼっこ」がおすすめです。晴れた日には、できればお昼に1時間です。風邪やインフル(当然に新型コロナも)の予防にビタミンDがけっこう効果的なことが分かってきています。ビタミンDは、ある程度(1か月分くらい)体内備蓄が利き、最も大きい供給源は直射日光なのですが、晩秋以降はそれが期待できず、正月頃には使い切っていてビタミンD欠乏の状態になるようです。
 そこで、最も効率よくビタミンDを合成してくれるのがお日様ですから、一番寒い時期ですが、晴れたお昼には屋外へ出たいものです。そして、体操するなり、散歩するなりなさるといいです。屋内でもできる簡単な体操を一つ紹介します。
 両手振り運動がおすすめです。単に両手をぶらぶら振るだけ。後ろへしっかり振るのを意識するといいです。
(「両手振り運動」で検索するとYouTubeで見られます。)

 正月気分もすっかり抜けきり、普通の生活を毎日繰り返す日々が続いていることでしょう。正月におかしくなった胃腸も普段どおりに回復し、過食気味になっています。加えて、動物性たんぱく質を過剰にとるようにもなります。肉は一般に体をうーんと温めますから、体の寒さを抜くのに適してはいるものの、腸内環境を悪化させ、これが免疫力を低下させますから、ほどほどにしておきたいです。

 よって、大寒の食養としては、肉をなるべく避け、体を温める味噌そして冬野菜を十分にとることが大事です。
(参照 → 立冬から冬、何を食しますか。まずは塩味が重要です。) 
 ところで、味噌は塩分が強く、体に悪いと一般に言われていますが、小寒のときにも説明しましたが、これは大きな間違い。
(参照 → 塩を摂りすぎると高血圧になる?心配ご無用!…
 塩味は、おいしいと感じる程度に楽しめばいいのです。
 季節は冬(正しくは冬の土用に入っていますが、これについては後ほど説明)ですから、塩味は腎が喜びます。減塩しすぎると、腎が弱りますし、体も温まらず、免疫力も低下し、何一ついいことはないです。

 冬野菜は濃緑色のものと白色のものに大きく2分されます。濃緑色のものはビタミンもミネラルも豊富で栄養がある、白色のものはビタミンもミネラルも少ないから食べても意味がない、と一般に思われていますが、そうではありません。
 栄養素を比較するとそのような傾向になりますが、白物野菜には免疫力をアップさせる大きな働きがあり、大根、カブ、白菜、白ネギはこの時期
に大いに食していただきたいものです。これで、新型コロナやインフルなど様々な風邪ウイルスを吹き飛ばしましょう。
(参照 → 冬場の淡色野菜・白物野菜はすぐれもの、薬効多し

 ということから、大寒からの夕食は、味噌鍋が一番となります。肉・魚を少なくし、大根、白菜、白ネギをたっぷり入れてください。一番のおすすめは石狩鍋です。具材のメインとなる鮭にはビタミンDがたっぷり含まれていますからね。
 もう少し具体的にビタミンDが多い食品を紹介すると次のようになります。
   イワシ丸干し 1匹  (30g)  15μg
   シラス干し 大さじ2杯(10g)   6μg
   サケ     1切れ (80g)  26μg
   カレイ    1匹 (100g)  13μg
   ブリ     1切れ (80g)   6μg
  ---------------------------
  <参考 鶏卵  1個  (60g)   2μg >
 なお、肉にはビタミンDがほとんど含まれておらず、欧米ではビタミンDを添加した牛乳が出回っているほどです。

 小生は鍋物が大好きで、女房に毎日鍋でもいいよと言っているほどですが、味付けは味噌であったり、味付きのたれを鍋に入れたり、味付けなしでポン酢でいただいたりして変化をつけてくれています。
 肉・魚はそのときそのときで
何かを少量、といっても女房はほんの少ししか肉・魚を食べませんから、けっこうな量を小生一人でいただいてしまっていますが。
 野菜はうちの畑でとれたもの、白菜、ネギ、菊菜が主体となり、茸と豆腐を少々買ってきて入れています。なお、うちの特徴は、栽培しているヤーコン芋も鍋に入れることです。整腸作用抜群のヤーコン芋ですから。
 鍋のあとで食べる雑炊には漬物がことのほか合い、たっぷり食べています。

 小寒のときにも説明しましたが、5つの味「五味」についても頭に置いといてください。漢方では、五臓のバランスを整えるために、冬は<主・塩味、従・苦味、添・酸味>この三味の組み合わせを最適としています。
 その代表的なものが、冬場の保存食である漬物です。当然に塩味が利いていますし、発酵して酸味があります。足りないのが苦味ですが、カブ(特に葉っぱ)は苦味食品ですし、ユズやスダチの皮が苦味食品です。こうすると漬物の味も良くなるのです。
 鍋物とて同様でして、味噌、味付きのたれ、ポン酢に塩分が十分に含まれています。苦味食品はゴボウ、春菊といったところになります。酸味はポン酢です。
(注:場合により、ゴボウは「辛味」「酸味」、春菊は「辛味」「甘味」に分類されることあり。)
 4つ目の味である唐辛子などの辛味は、お好みでとっていただいてよいです。
 しかし、5つ目の味である甘味(炭水化物や肉・魚も大半が含まれます)はうんと減らしたいです。冬の時期は、腎に悪影響する甘味を極力抑えるのが漢方養生法です。

 さて、小寒の解説のとき、「朝食抜き」にされては、と、次のとおりおすすめしました。
 朝食を「野菜たくさんの餅なし雑煮」でしばらく我慢し、それに慣れたら量を半分、これにも慣れたら一口だけ、といった塩梅で進めて、最後は朝食抜きにするのです。朝食を抜くなんて身体に悪い、と一般に言われていますが、それは逆です。
 (参照 → 朝食有害論の歴史的推移
 なお、時期は冬で腎の季節、塩気が必要ですから、朝、白湯で梅干を1粒いただきましょう。小生がもう10数年以上前から実行している健康法です。
 まだ取り組んでおられない方、今からでも遅くありませんから挑戦してみてください。

 ところで、大寒ともなると、季節は冬の終わりの時期でして、実は既に「冬の土用」に入っています。大寒の約3日前から節分までの約18日間が冬の土用です。
 土用とは、元は農業歴からきていて「土に用がある」から土用と呼ばれ、この時期に畑の寒起こしをすれば、越冬中の害虫が凍死するから、ビッチュウで粗起こししておけと、亡きおふくろによく言われたものです。寒い上に面倒ですから、還暦前であっても滅多にやりませんでしたけどね。小生、今はもう後期高齢者となり、残念ながら重労働となるビッチュウを使っての作業は、あらゆる場面でほとんどできなくなりました。
 冬の土用は、間もなく冬が終わり、春を迎える季節の変わり目であり、自然界も春間近の様相を示してきます。高度文明社会に暮らす我々も、誰もが日が長くなり日差しが強くなってきたことを感じます。
 これによって、ヒトの体も内臓の働きの中心は腎から脾(消化吸収を中心とした働き)へと移ってきます。もっとも、これは毎日屋外で重労働をする場合に限りましょう。普通一般の人はまだまだ腎の季節と捉えた方がいいでしょうね。
 でも、毎日屋外で重労働をする方にあっては、これに該当します。
 詳細は、「冬の土用、季節の変わり目です。土用は甘味が重要ですが、重労働をするときだけ。 」をご覧いただくとして、ここでは普通一般の人にも言えることを述べます。
 注目すべき五味ですが、五臓のバランスを整えるため土用は<主・甘味、従・塩味、添・辛味>この三味の組み合わせを最適としています。
 よって、今日はよく体を動かしたからお腹がすいた、というときには、厳冬期であることから、「甘酒」がベストでしょう。酒粕(甘味)に少々の塩を加え、これで甘味が引き立ちます。そして、おろし生姜(辛味)をほんの少し加えます。これで、不思議と深みのあるうまさが出ます。
 これでも足りないとなれば、甘味(よく噛んで甘味を感ずるもの、つまり、ご飯)をお代わりしていただき、塩味と辛味のあるものをおかずにされるとよいでしょう。例えば、辛子明太子です。

 次回は、「立春」(2月5日前後)からの健康と食養です。


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