大分の土地家屋調査士ブログ

「土地家屋調査士の業務と制度」を中心に、それに広い意味で関連する様々なことについて一人の人間として思うところを書きます。

「土地家屋調査士の業務範囲について」・・・続き

2016-09-23 17:31:29 | 日記
以前(8月16日)に「土地家屋調査士の業務範囲」について書いたことに、何度かにわたってコメントを入れてくれている方がいます。
このブログにおける私の基本方針は、「コメントには対応しない」、なのですが、ちょうどその後の「続き」として書きたかったことと関係するので、コメントに係ることについてかくことにします。

コメントの趣旨がよく理解できないのですが、「登記に直接関係するわけでない測量を土地家屋調査士が行うのは測量法に抵触するのではないか」という趣旨なのかと思い、その上で書きます。

まずは、そのようなことを調査士がすることの是非を「法への抵触の如何」によって考える、としていることについては、まぁ宜しいことだと思います。
調査士は(というよりもすべての人間は)「なんらかの法律で禁じられていること以外はしてもいい」ものとしてあります。だから、ある事柄を「してもいいのかどうか?」という問題は、それが「してもいいこととして法律に書いてあるか?」ということで考えるべきなのではなく「何らかの法律で禁止されていないかどうか?」で考えるべき、なのです。ここまではいい、と言えます。

その先が問題になります。「何らかの法律で・・・」という問題を考えた時に、コメントの人は「測量法」を考えました。
これは、「土地家屋調査士の業務範囲」について「調査・測量」ということで問題になっているので、いわば自然と「測量法」として考えられた、ということなのかと思います。或いは日々「測量」をしている現実の上での実感として「測量法」を考えたのかもしれません。
しかし、「測量法」に焦点を当てて考える、というのは、私は違う、と思います。

ある法律の内容を理解するときに、「立法趣旨」を考えることが重要です。この「立法趣旨」は、そもそもその法律を必要とした社会的事実への理解や、国会での審議内容等を含めて考えるべきものですが、それらをするにあたってもまず第一に見るべきものは「第一条」で示されるその法律の「目的」、ということになります。今、問題にしている「測量法」では第一条は次のようになっています。
第一条  この法律は、国若しくは公共団体が費用の全部若しくは一部を負担し、若しくは補助して実施する土地の測量又はこれらの測量の結果を利用する土地の測量について、その実施の基準及び実施に必要な権能を定め、測量の重複を除き、並びに測量の正確さを確保するとともに、測量業を営む者の登録の実施、業務の規制等により、測量業の適正な運営とその健全な発達を図り、もつて各種測量の調整及び測量制度の改善発達に資することを目的とする。
測量法というのは、そもそも「国もしくは公共団体」の測量に関する法律なのです。
ですから、私が前回書いた「登記に直接かかわらない筆界調査・測量」というのは、そもそも「測量法への抵触」が問題になるようなものではありません。(他にもいくつかの論点がありますが、これ以上は必要ないので省略します。)

さて、その上で、やや細かい話になりますが、この問題について、コメントの人(同じ人かどうかわかりませんが)は「登記を前提としない調査測量」という言葉の使い方をしています。しかし、「登記を前提としない」というのはいけませんね。分筆等の登記を行うことを直接に目指していないシチュエーションで筆界調査やそのための測量を行うにしても、それはいつかその成果を利用して分筆登記等ができるようなものとして行うものです。その意味では、あくまでも「登記を前提」にしているものでなければいけない、と言えるでしょう。
「登記に直接かかわらない」というのは「登記を前提としない」のとは、全然違うものです。なお、土地家屋調査士法での用語の使い方は「不動産の表示に関する登記に必要な・・調査又は測量」です。登記を前提とした概念である「筆界」に関する調査・測量というのは、その中に入るもの、と言えるのかと思いますが、ここについてはもう一段明確にした方がいいのかとは思います。(これは土地家屋調査士の専管業務に関する解釈の問題であって、「してもいいか」の問題ではありません。)

それにしても、コメントをくれた方が土地家屋調査士なのかどうかわかりませんが、もしも調査士なのだとしたら、自分自身の業務に関する法令についての解釈をできず、そのための頼りになるものもない、というのは、考えさせられることです。これは、まず第一にこの解釈を示さなければならない資格者団体(土地家屋調査士会・日調連)が、それをはっきりと示さずにいること、そして「研修」を通じて共有化することを怠っていること、の反映だとらえるべきでしょう。反省しなければならないことなのだと思います。

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6 コメント

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Unknown (Unknown)
2016-09-24 01:08:00
(測量業等とみなす場合)
第59条 委託その他いかなる名義によるかを問わず、報酬を得て測量の完成を目的として締結する契約は請負契約と、これらの契約に係る測量を行なう営業は測量業とみなして、この法律の規定を適用する。
Unknown (Unknown)
2016-09-24 01:10:58
法務省に照会しましたか?
Unknown (Unknown)
2016-09-24 06:31:51
「それはいつかその成果を利用して分筆登記等ができるようなものとして行うものです。」

話が違ってませんか?

調査士サイドが「いつか登記ができるような」なんて関係ないでしょう。

依頼者サイドが明確に「登記はしない。隣接との確認と成果図面があればいい」というような場合に「調査士として仕事を受けて良いのか?」ってことじゃないの?
Unknown (Unknown)
2016-09-24 06:43:25
依頼者サイドが「登記はしなくていい」と意思表示してるのに調査士サイドは「登記に耐えうるような仕事をするのだからこれは登記に必要な調査測量だ」って理屈なの?
Unknown (Unknown)
2016-09-24 06:55:04
それとも依頼者サイドが「いつか登記をするつもり」だとか将来の登記の可能性を匂わせているきとが「直接に登記に関係しない調査測量」なの?
Unknown (Unknown)
2016-09-28 23:57:33
で、ブログ主は依頼者が明確に「登記はしない。隣接との確認と成果図面があればいい」というような場合に調査士としてその依頼を受けているのですか?

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