大分単身赴任日誌

前期高齢者の考えたことを、単身赴任状況だからこそ言えるものとして言ってみます。

また「実地調査・改定指針」について・・・①

2011-10-26 06:17:54 | 調査士会

しつこいようですが、また「実地調査」の「改定指針」のことについて書きます。

10月には全国会長会議や九Bの会議があったので、この件について多くの人と話をする機会がありました。

その中で「多数派」とも言うべき意見は、「実地調査をいくらやってもかまわない。ただ、それによって登記の処理が遅れるのは許されない。」というようなものだったように思えます。

でも、そう考えるべきでしょうか?私の考えは違います。

確かにこの考え方は、「調査士はちゃんとした仕事をしてるのだから実地調査に行かれたって困ることはない」という自負・自信を持ちつつ、「俺は正しいことやってるんだから、それを信用せずに調査に行くのは許せない」的な独善に陥らない良識ある考え方であるように思えるかもしれません。また、登記行政の現状・現実に即した、常識的な考え方とも言うべきかもしれません。

その意味で、この考え方について「違う!」と言うためには、いろいろな方面からくどくどと理由をのべなければなりません。とても一回では尽くせないので、何回かに分けて書いて行きたいと思います(また、いつ載るか、いつ終わるかわからない「連載」)。

まず、ごくごく基本的な考え方として、「表示に関する登記(行政)に対する調査士のスタンス」の問題です。

「実地調査にいくら言ってもかまわない」と言うとき、前提になっているのは、「実地調査に行くかどうかを判断するのは官だ」という考えであるように思えます。それは「官」の専権事項であり、私たちがとやかく言う筋合いの問題ではない、と。

しかし、そうでしょうか?「実地調査」にはただで行けるわけではなく、当然のことながら経費がかかります。もちろん、必要なものなのであれば、いくら経費がかかってもやるべきであり、そのための予算確保をしなければならないでしょう。しかし、もしも、「本来やらなくてもいいような実地調査」のために、経費がかかってしまうのであれば、またそのような構造がつくられてしまうのであれば、それは望ましいものではありません。厳しい国家財政の下、最も効率的に、適正・迅速な登記行政が進められるようにして行くべきです。これは、単に「官」にとっての課題なのではなく、国民全体にとっての課題であり、特に登記関係の職務に携わっている民間資格者としての土地家屋調査士にとっての課題である、と考えるべきだと思います。

だから、「実地調査にいくら行ってもかまわない」と他人事のように言うべきなのではなく、「必要なものと不要なものの仕分けをしましょう。そのことに調査士も責任を持ちます。一緒に考えましょう。」と言うべきなのではないか、と思います。

具体的には、「調査士がしっかりとした調査報告書をつくって、登記官が「申請の真実性」を認識できるようにして、実地調査に行かなくても済むようにしよう」、ということを考えるべきなのであり、現に、そのようなものとして「93条調査報告書」の実践というのはあったはずです。

その上で、今までの「93条調査報告書」によっては、登記官が「真実性」を判断しきれない、だから実地調査に行かざるを得ない、ということがあるのだとしたら、それは私たち調査士が反省すべき事です。どのように報告をしたら、実地調査に行かなくても済むのだろうか、ということを「官民一体」になって研究・検討するべきなのだと思います。それが、表示登記制度そのものに責任を持つ民間資格者としての、基本的スタンスであるべきであると思います。

もしもこれまで、「主役は官で、調査士はそれを補助する役」というような意識があったのだとすれば、そのような意識を払拭するところから出発するべき、と私は思います。

・・・・以上、「精神論」みたいな話でした。以降五月雨式に「各論」を載せる予定です。


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