盈岡神社の拝殿には俳句額があります。寛政4年(1792)の社殿再建に際して奉納されたもので、2枚一対の欅板に墨書きで100人の100句が書かれています。墨書きは221年を経てほとんど読めなくなっていますが、平成7年調査の結果が一緒に掲げられていて読むことができます。
この献句の中に氏子区域である石禾(いさわ)の庄の風景を詠んだ「石和(いさわ)八景」があります。
八幡遊鹿 しかの声遠近淋し神の秋 斗山
鳶城紅葉 城山や月ももみちに光鳬 松芽
苗川蛍火 ほたる飛ふ夜や苗川の五月闇 菊雫
茶臼山朧月 茶臼山めくるたよりもおぼろ月 芝岡
高瀬川魚声 高瀬川あさせや暮に魚の声 巨山
法泉時鳥 桟の半は渡るやほとときす 白禾
芝州千鳥 川水やかれて芝州に啼鵆 明器
大倉深雪 大倉や今朝白妙岩雪の不二 玉屑
200年以上も前の俳句ですが今もその場所がわかります。何年経っても変わらず有り続ける心の拠り所となる故郷の象徴です。