雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

国家の意思決定 ・ 小さな小さな物語 ( 867 )

2016-10-12 13:12:16 | 小さな小さな物語 第十五部
イギリスの国民投票で、EU離脱派が勝利しました。
離脱派と残留派の支持率は拮抗していて、事前の世論調査も二転三転していたようで、ブックメーカーの賭け率が残留派有利となっているので、プロの調査より自前の金を賭けるブックメーカーの予測の方が正しいだろうと笑い話のような話もありました。実は、私もその通りだと思い、結局は残留することになるだろうと思っていました。
米国や日本などの市場も、私と同じ判断基準ではないでしょうが、直近の予想は残留有利と判断したようで、為替や株式市場はそのような動きをしていました。それだけに、離脱派が勝利すると決まった段階から市場は大荒れとなり、市場が開いていた日本の株式市場は大暴落となりました。

世界の経済や金融システムにどの程度の影響を及ぼすのか、テレビや新聞で紹介されている意見のほとんどは、びっくりするような目新しい意見はないようで、要は、これまで経験したことがない事例なので、よく分からないというのが本心ではないでしょうか。
経済面では、よく例に出される「リーマンショック」級の打撃を受けるという意見も強いようですが、短期的な戸惑いやEU諸国、あるいはイギリスと直接的な関係を持っている企業などは営業方針の変更を迫られる部分もあるでしょうが、「リーマンショック」とは性質が違うと思うのです。実際にイギリスがEUから離脱することになるのは、二年、あるいはもっと先のことなのですから、出る方も出られる方も、何らかの対策は取るはずですよ。株式市場の動向で言えば、離脱派が勝利した直後の株式市場は、主要国で最も下げ幅が小さかったのがイギリスですから、これをどう受け取ればいいのでしょうか。

今後の影響ということからいえば、イギリス国内の混乱を心配してしまいます。地域的な意見の差があれほどはっきり出てしまえば、またまた、分離独立などということが表面化してこなければいいのですが。それに、他のEU加盟国に同様な意見が台頭してくる懸念もあります。従来路線を手直ししなければならない部分が出てくるかもしれません。政治と経済は表裏一体ともいえのでしょうが、むしろ政治面での混乱の方が心配され、安全保障面や地球規模の力のバランスに影響が出ることが懸念されます。

それにしても、「国家の意思決定」がこのような国家を二分するような国民投票で決されることが正しいのでしょうか。彼の国は民主主義の神様のような国家ですから、余計な心配かもしれませんが、今回の決定が、EUに残留すべきか離脱すべきかという観点だけで国民のすべてが意思を示したのでしょうか。もっと他の要因で判断した人も少なくないような報道もあります。離脱・残留の本当の意味での是非は何年も先でないと分からないのでしょうが、「国家の意思決定」のあり方について考えさせられました。
わが国では国民投票なるものは実施されたことがありませんが、大阪市では大規模な住民投票がありました。これは一都市のことですが、国家の将来を左右するような判断は、どのようにするのが最良なのでしょうか。
少し観点が違いますが、裁判で原発の運転が差し止められた判決がありました。原発の是非は決して小さな問題ではありません。行政が判断した運転許可を、一地裁が差し止めることが出来るという体制も、何だか変な気がしました。やはり観点が違うかもしれませんが、「第三者委員会」とか「有識者会議」などと、誰が判断した第三者か有識者か知りませんが、何とはなく権威づけられることも、判断を誤る一因になることは少なくないように思うのです。
「国家の意思決定」はなかなか難しい命題ですが、とりあえず参議院選挙は真剣に考えるとしましょう。

( 2016.06.26 )
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