雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

競泳オリンピック代表決定戦 ・ 小さな小さな物語 ( 843 )

2016-10-12 15:22:49 | 小さな小さな物語 第十五部
水泳競泳競技のリオデジャネイロ・オリンピック代表選手を選ぶ大会が、七日にわたって行われました。
テレビの中継をかなりの時間見させていただきましたが、なかなか感動的なものでした。
総じて、競泳というスポーツも、世界のトップ選手と戦うレベルとなると、選手生命は短いようです。その中で、何回かオリンピックに出場しているなど、馴染み深い選手も結果はともかく元気な姿を見せてくれていましたし、若い選手の台頭も目立つ大会で、関係者の方々にとっては、大変意義深い大会だったのではないでしょうか。

その中で、個人的には、最も興味深かったのは、代表選手の選考方法についてでした。
前回の世界選手権での優勝者については、すでに代表選手に内定されていたようですが、ほとんどの競技が、本大会決勝での順位と、設定されているタイム以上であることで決定されるのですから、見ている観客などには極めて分かり易く、すばらしい決定方法だと思いました。
もちろん、このような選考方法が万能というわけではないのでしょう。例えば、ここ一、二年抜群の選手がいて、その選手がたまたま直前の怪我などで選考大会に出場できなかった場合など、何らかの配慮が必要な気もします。しかし、スポーツに限らず、様々な場面においてそのような不運な人は出てしまうものです。反対に、これまでの成績が今一つであっても、突然飛び出してくる選手も珍しくないはずです。
各競技種目において、オリンピックの代表選手を選ぶ方法は様々なようです。それらを詳しく承知しているわけではないのですが、少なくとも個人種目においては、勝てる選手を選ぶのにその協会の役員や有力者の判断が強く働くような選考方法は、不愉快な部分があるように思えてならないのです。

今回の決勝戦を見ていて、優勝しながら代表選手になれなかった人が何人かいたことが、何とも切ない気がしました。派遣設定タイムに及ばないためで、代表選手として出場させても、とても決勝に残る可能性がない選手は派遣しない、という前提に立って設定されたタイムのようですが、日本記録より高いタイムが設定されている種目もありました。オリンピックは勝つためだけではないはずだ、と、惜しくも代表になれなかった選手に同情してしまう場面もありました。
これというのも、競泳競技が世界的に見て、かなり高いレベルにあるからできる選考方法のようです。派遣のための設定タイムというのは他競技にもあるようですが、競泳並のタイム設定をすれば、派遣選手が激減してしまう種目もあるようです。

「オリンピックは勝つためではなく、参加することに意義がある」などという言葉がありますが、わが国やスポーツ先進国といわれる国々の多くでは、今や死語になりつつあります。しかし、やはり、スポーツには、多くの人々に強く働きかける何かがあります。そしてそれは、勝者だけが持っているものでもないように思われます。勝者には限りない拍手や栄誉が与えられて当然ですが、その地位に遥かに及ばない選手たちの懸命な姿も、多くの人に何かを与えてくれるものです。
残念ながら、このところ、スポーツにまつわる不愉快な事件が起こっています。それは、わが国に限らず海外でも同様のようです。
現代は、オリンピックに選ばれているスポーツのトップレベルの選手は、ほぼ全てがプロ選手と言っていい環境にあります。類まれな才能と、常人を遥かに超える努力と、さらにはスポーツの女神の微笑みを受けられた人たちが得られる地位だとすれば、多くの賛辞や多くの利益が与えられて当然でしょうが、その根底にあるものがスポーツだとすれば、その精神だけは、どのような地位まで上り詰めたとしても、忘れないでほしいと願うばかりです。

( 2016.04.12 )



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