雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

物価上昇目標 ・ 小さな小さな物語 ( 879 )

2016-10-12 11:38:50 | 小さな小さな物語 第十五部
日銀だか政府だか知りませんが、「物価上昇目標2%」というのは、まだ生きているそうですね。
何とかパズーカーとか言って、為替相場や株式市場には霊験あらたかなものらしいのですが、残念ながら、このところは霊験にくもりが出ているらしくて、彼の人物が発言されるたびに相場は思惑と違うように動くようになってしまい、案の定先日の追加緩和とやらも円高を誘引してしまいそうな気配です。

そもそも、一国の経済を金融政策が主導で成長を持続させることなど無理な話です。多くの方々が様々な意見を開陳されていますが、極論すれば、金融政策は机上の計画だけで実行可能ですから、国民生活や企業活動などの将来に責任を負わないのであれば、どんな手段とまではいわないまでも、相当のことは実行可能なのです。しかし、どれほど優秀な頭脳集団が知恵を絞ろうとも、金融政策だけでは国家経済を持続的に成長させることなど不可能なのは、ごくごく当たり前のことです。そんなことが可能であれば、国家の経済運営に苦悩する国家などいないはずです。
国家経済が成長し、国民生活が向上するためには、富を生み出す経済活動があってのことです。

物価さえ上昇すれば国民生活が豊かになる。デフレ脱却のためには、なりふり構わず金融緩和を続ける。これらの施策を素直に信じていて良いのでしょうか。
多くの国民にとって、必要なことは実質所得の向上です。可処分所得の増加なのです。物価が上がって生活が楽になる人など、どれほどいるのでしょうか。
「2%物価が上がれば国民の消費も2%増える」と、本気で考えている人がどれほどいるのでしょうか。家庭の消費量はそれほど変わらないから、物価が上がれば貯蓄を取り崩すはずで、その分消費は増えるはずで、企業の売り上げや利益は増える、と考えているらしいのですが、まさかそんな単純な考えの方が経済運営に当たっていないでしょうね。
一般庶民は、物価が上がれば、それだけ消費の量を減らすのです。食料にせよ衣料にせよ、その他の消費の多くの分野で、節約するだけの体力がまだあるのですから。その証拠に、調子に乗って価格を上げた企業の多くは苦戦をしているはずですよ。
まず可処分所得を増やす。そうすれば消費は増え、やがて物価は上昇する。その状態になってデフレ脱却と言えるのであって、物価だけ上昇して国民生活が貧しくなっている状態でデフレ脱却宣言などしてほしくありません。

「所得が増えれば、やがて物価は上昇する」のでしょうか。いや、「物価さえ上昇すれば、やがて所得は増える」のでしょうか。
これは、「卵が先か、鶏が先か」というのと同じ理論なのでしょうか。
卵と鶏の論争には、どこかで突然変異が登場しないことには答えは出ません。所得と物価の理論にも、どこかで突然変異的な事件が起きないことには解決しないのでしょうか。
本当は、それほど難しいことではなく、「物価上昇2%」などというわけの分からない目標は投げ棄てて、「全国民の可処分所得2%増加」を実現させれば、瞬く間にデフレ脱却は実現します。
嘘だと思ったら、一度やってみたらどうでしょうか?

( 2016.08.01 )
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