雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

迷走 ・ 小さな小さな物語 ( 890 )

2016-10-12 09:31:20 | 小さな小さな物語 第十五部
東北・北海道を中心に立て続けに台風が襲い、各地に深刻な被害が出てしまいました。そして、一転して今度は、沖縄や南西諸島、そして九州に小型とはいえ強い勢力の台風襲来となり、それまでの大量の雨の影響もあって、広い範囲で被害が報告されています。
日本列島に住む者として、ある程度は覚悟するしかないのかもしれませんが、自然の為せるわざとはいえ厳しい試練の連続です。
被災された方々に御見舞い申し上げます。

その中でも、台風10号は、とんでもない進路を取り、これまで例のない方角から東北地方に上陸し、悲しい被害をもたらしました。
これまでも、「迷走台風」と呼ばれるものは時々発生していますが、この10号ほど迷走したものは少ないのではないでしょうか。しかもそのコースが、実にダイナミックな迷走ぶりで、八月十九日に日本列島に極めて近い場所で発生し、そこから西南方向に移動しながら成長し、しばらく思案を重ねた上、今度は、東、そして東北、そして北、最後は西方向に進路を変えながら、八月三十日に迷走のとどめを刺すかのように東北地方に上陸し、甚大な被害となってしまいました。
彼は、何を悩みながら迷走し、しかもその間に図体を拡張し、最後は東北に上陸したのに何か意志があったのかと考えてしまうのですが、何でも、台風そのものは自分で動くことは出来ず、周囲の気圧配置や偏西風などの影響で動いているらしいのです。

台風10号そのものの意志で迷走したわけではないとしても、その結果の被害は辛いものです。
考えてみれば、迷走し、その結果周囲に大きな迷惑をかけるものは、何も台風に限ったことではないようです。
卑近な例でいえば、わが国のオリンピックの招致にまつわる様々なこと、例えば、エンブレムの選定、会場の建設、これは国立競技場だけでなく、現在は停滞中でやがて迷走を始めるものがまだこれから表面化してくる予感があります。
同じように、都知事の不祥事や出直しのための選挙を廻っても、大型、小型の迷走が見られましたが、何も政界だけでなく、人気グループや、上場企業を廻っても、やはり迷走現象は表面化したものだけでも少なくありません。

台風の場合、迷走することなく真直ぐに日本列島を直撃してくれればよい、というわけではありませんが、人間社会に関することとなれば、迷走は多くの人に迷惑や少なからぬ損害を与えます。
その迷走の原因を考えてみた場合、台風は周囲の気圧配置などの自然現象によりますが、人間社会の迷走の原因となるものは何なんでしょうか。その迷走の主体自体が、やみくもに走り回る場合もあるでしょうし、見栄や欲に凝り固まった圧力が西に東に振り回すことも多いのでしょう。
まあ、「口に入るものは何でも欲しがり、出すものは舌を出すのも嫌だ」というのが人間の本性だとすれば、迷走が多数表面化してくるのも不思議なことでもないのかもしれません。

( 2016.09.06 )
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