雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

平均台を渡る ・ 小さな小さな物語 ( 873 )

2016-10-12 11:46:12 | 小さな小さな物語 第十五部
十八歳まで引き下げられたとか、野党共闘がどうだとか、憲法改定勢力の議席がどうだとか、与党の大勝利らしいが民進党は善戦だったらしいとか・・・。
参議院選挙の結果を受けて、様々な分析がなされているようです。しかし、どの党が勝ったので、どの人が当選したので、何かが変わるぞという声はなかなか聞こえてこないようです。

確かに、与党の勝利を受けて市場は反応しているようです。政権側からは、内閣改造や、補正予算投入の話が流されています。首相としては、消費税引き上げ見送りの是非について国民の判断は「良し」と示されたので、自信をもってアベノミクスを一層力強く推進して行こうということのようで、今のところ市場はそれを好意的に受け取っているということなのでしょうか。
イギリス発の大混乱は、まだ何かが解決されたわけではないのでしょうが、新首相も決まり、混乱の本家は終息への第一歩を踏み出したようです。
何かと騒がしい海洋をめぐる混乱のなか、仲裁裁判所がフィリピンの主張を全面的に認める判決を下し、わが国なども歓迎すべき判決といえます。

しかし、果たして、私たちの生活にどのような変化が現れるのでしょうか。
新しく参議院議員となられた方の国会デビューはまだ先のことですし、いわんや国政にそれなりの影響を与えるということになれば、相当の時間を要するのは仕方のないことだと思われます。願わくば、その期間が六年以内であってほしいものです。
政府は若干もたついているとされる経済の立て直しに強気で、十兆円を超える補正予算が組まれそうですが、景気立て直しへの起爆剤になることは期待できるとしても、国民生活にプラス効果を実感させるためには、政府だけが逆立ちしようと、十兆円や二十兆円ぐらい投入したところで大きく変化するほど我が国の経済規模は小さくないはずです。
イギリスは新政権での立て直しが始まるようですが、EUを取り巻く問題はむしろこれからが大変なような気がします。南シナ海を廻る判決も、当事者が判決を受け入れない、と言っているのですから、どうすればいいのでしょうかねぇ。

考えてみれば、私たちの生活は、平均台の上を歩いているような気がします。
サーカスの綱渡りほど危なっかしくはないと思うのですが、平均台の上を歩くのもそうそう簡単なことではありません。ちょっと風が吹くだけで身体は揺らされますし、足は震えます。私たちは、左右に開いた手で懸命にバランスをとって、何とか落下を防ごうとします。しかし、私たちが自力でバランスを保つことが出来る手段は、ごくごく限られています。風がもっと強くなり、雨まで降ってくると、平均台の上を歩き続けるのは厳しいものです。いわんや、平均台そのものを揺らす輩が出て来れば、もう、平均台にしがみつく以上のことはできません。
遠い外国で何が起ころうとも、参議院選挙の結果がどうであろうとも、都知事に誰が選ばれようが、私たちの生活にどれほどの変化が起こるのでしょうか? おそらく身体に感じない程度のことでしょう。
しかし、それらの一つ一つが積み重なっているうちに、いつの間にか平均台が嫌に細くなってしまっていたり、地上からとんでもない高さにされていたり、そんな変化が静かに進行している可能性があります。
私たちの生活は、今日一日のことで精一杯な部分がほとんどですが、少し目線を上げて、今少し広い視野を持つことも必要な気がしています。

( 2016.07.14 )
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