雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

賞味期限 ・ 小さな小さな物語 ( 874 )

2016-10-12 11:45:05 | 小さな小さな物語 第十五部
「賞味期限」とは、ご承知のように、消費期限と共に食品の有効期限を表示する言葉です。つまり、「開封せずに決められた方法で食品を保存した場合、美味しく食べることが出来ると認められる期限」のことです。スナック菓子や缶詰など品質の劣化が比較的遅い商品に使われます。
これに対して「消費期限」は、弁当などのような調理食品を中心にしたもので、劣化するまでの時間が短い商品に使われます。こちらは、消費期限を過ぎると、味が落ちるばかりでなく、腐るなどして健康に悪影響を与える可能性が出てきます。期限には注意が必要というわけです。

一方の賞味期限の方は、美味しく食べられる期限を保証しているものですから、期限を少々過ぎても健康面の不安はまず無いようです。たいていのメーカーは、若干の余裕を見て賞味期限を設定しているようですから、若干の経過などにはあまり神経質になる必要はないようです。
ところが、スーパーなどでは、例えば賞味期限にまだ一か月以上余裕がある場合でも、五日ほどの差でも新しい方から売れる傾向があるそうです。販売店では頭の痛いことですが、その販売店自体が、賞味期限に相当余裕があっても、製造日から時間が経っていると仕入れを拒絶するそうですから、こちらはメーカーいじめということになります。
食品ロス、ということが問題になることがありますが、この問題もかなりの悪影響を及ぼしているようです。

ところで、「賞味期限」という言葉は、食品の有効期限を表す為に生まれたことは確かでしょうが、それ以外のことに使われることも時々あります。
ニュースとか、ジョークとか、才能とか、人物そのものに対してさえ使われることがあるようです。多くの場合は、揶揄するような場面で使われるようで、褒め言葉で使われることは少ないようです。
例えば、それがジョークであれば、少々賞味期限を過ぎていても、「あまり美味くないなあ」と顔をしかめる程度ですみますが、それが人物、特にチームや団体のリーダーとなれば、これは相当困ったことになります。

消費期限の方は、少しくらいの経過はともかく、大幅に過ぎたものであれば、多くの人が食べる時点で異常に気付きますし、無理して食べれば相当の割合で健康被害が発生します。
しかし、賞味期限の方はそうは行きません。かなりの時間が過ぎていれば味に変化はあるでしょうが、重大な健康被害が出るのにはさらに長い時間を要するかもしれません。
人物の場合も同様です。国家や自治体、企業やさまざまな団体において、その指導者や影響力のある人物が「賞味期限」を大幅に過ぎている場合は、実に不幸な状態を食べ続けさせられていることになります。それも、重ねて不幸なことに、賞味期限は少々過ぎているくらいでは、食べさせられている者に致命的なダメージを与えることがないため、「まあ、まあ」と言いながら時を過ごしてしまうことです。さらに困ったことに、自分が賞味期限を過ぎていることを認識することは、極めて難しいようです。
しかし、気付かなうちに、私たちの生活環境は、蝕まれ続けることになるのです。
私たちは、賞味期限を過ぎた指導者をどう見分け、どう退いていただくか、知恵を磨く必要があります。
選挙は、そんな知恵を具体的に表現できる数少ないチャンスのような気がします。

( 2016.07.17 )
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