雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

軍事大国 ・ 小さな小さな物語 ( 1007 )

2017-10-31 09:42:34 | 小さな小さな物語 第十七部
原始時代、それもごく初期の原始社会において、その集団を支配する力は何だったのでしょうか。
人類がどのように誕生したのか、そして、どのように増加していったのかなどという問題は無視させていただくとして、例えばごくごく原始の状態の十人の集団があったとした場合、その集団の取りまとめ、集団の食糧などを確保するためには、やはり自然発生的にリーダーのような存在は発生したのではないでしょうか。そして、その選定には、どのような要因が、リーダーにさせたのでしょうか。
十人の集団だとすれば、しかも人類が登場した直後とすれば、おそらく全員が血縁関係にあったでしょうから、長幼、つまり年齢の高い者がリーダーになった可能性が高かったかもしれません。その場合は、経験が重視されたのでしょう。では男女差は、どうだったのでしょうか。おそらくその当時でも、男の方が体力があり、力仕事には優れていたと考えられます。一方女には、母性という圧倒的な強みがあったでしょうから、十人の集団を率いるリーダーには、男の長老がなったのか、女の長老がなったのか、興味深いところです。

やがて、少し時代が進み、その集団に所属する人の数が増え、今まで接したこともなかった別の集団があることを知るようになるかもしれません。
この場合、二つの集団は、互いに情報を交換し合ったり、あるいは何かの原因で争うことがあったのでしょう。あるいは、ごく自然に、水が混ざり合うように一つの集団になることもあったのでしょうか。
そして、その場合のリーダーを選定する要件は、おそらく最初の頃とは変化していったのではないでしょうか。
いくら原始の時代であっても、幾つかの集団が存在しているとなれば、まだ農耕は始まっていなかったとしても、木の実などの採取や野生動物の狩りなどの縄張り争いが発生するようになり、自分の利益を得るために、あるいは自分の集団を守るために、様々な工夫がなされたことでしょう。
まずは、天や地の神々の力に頼ったでしょうし、経験からくる知力で優劣を競ったかもしれません。しかし、早い段階で、それも私たちが考えるよりはるかに早い段階で、腕力、つまり軍事力の優劣が大きな地位を占めるようになったのではないでしょうか。

現代社会において、いわゆる先進国と言われる国の多くは文民統制の体制が取られています。シビリアンコントロールと言われるものです。
しかしこれは、軍事力を軍隊の意思だけでは動かせない体制を取るということであって、軍事力を用いないという事とは全く関係ありません。
では、「軍事大国」とはどのような状態を指すのでしょうか。辞書などの説明はともかく、実際には様々な角度で語られることがあり、その形態も様々な物をさすようです。
例えは、国連の常任理事国のような圧倒的な軍事力を有しているとされる国家を指すことが多いですが、国家の規模に比べて過大な軍事力を有する国家を指すこともありますし、近隣諸国より大きな軍事力を有し、その地域でその軍事力を示そうとしている国家の場合も、「軍事大国」と言えるのではないでしょうか。そして後者の場合、多くの場合がごく限られた人物により、軍事行動が発令される怖さがあります。

ミサイルがいくら発射されたところで、わが国は、今更大騒ぎする必要などないという声があります。確かに、わが国の領土領海上だといっても、700kmも彼方の宇宙空間だとなれば、どうにも手を出せないし、第一苦言をいう権利がわが国に有るのかという問題もある・・・、と納得したのですが、そうではなく、わが国を攻撃するのには、3000kmも5000kmも飛ばす必要などなく、わが国の領土を襲う程度のミサイルは、完全配備が終わっているので、今更大騒ぎする必要はないというのです。
少々切ない話です。
わが国民で、彼の国を軍事大国だと考えている人は少数派だと思うのですが、彼の国のごく限られた人物の簡単な指令に基づいて、わが国土に何十発かのミサイル弾が命中する可能性は相当高いらしいのです。
私たちは、軍事の超大国に対して、あるいはそれを標榜している国や集団に対して、どのように対応していけばいいのでしょうか。ひたすらそうした国の庇護のもとに入るか、何とかにらまれないようにするか、少々の被害は覚悟しておくか、私たちもどっこいしょと腰をあげるか、等々今少し真剣に対処を考えるべきではないかと思うのです。
ただ、現状の私などは、ミサイルで襲撃されることは、スズメバチやクマに襲われる方が怖いと考えているような気がします。私のような考えの国民が、気が付いた時にはこの国をとんでもない状態に陥れているのかもしれません。

( 2017.09.16 )



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