雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

社会的制裁 ・ 小さな小さな物語 ( 871 )

2016-10-12 11:48:51 | 小さな小さな物語 第十五部
「社会的制裁」、嫌な言葉ですが、よく耳にすることがあります。
別に、言葉の意味を調べるためにテーマにしたわけではないのですが、「制裁」という言葉には、「リンチ」といったような陰惨なイメージが浮かんできて仕方がないのです。つまり、「社会的制裁」とは、私たちが日常を過ごしているはずの社会が、「陰惨なリンチ」を執行しているということになるのです。それも頻繁に。

最近の事件でも、芸能人などの著名人が起こした事件は、法的な処罰より、いわゆる「社会的制裁」の方が遥かに重いことが珍しくありません。
それも、懲役何年というような犯罪を犯してしまった場合は仕方がないとしても、普通の人であれば、それこそ「井戸端会議のネタ」程度の出来事であっても、テレビなどで格好の芸能ネタにされてしまい、仕事の多くを失い、数億円、あるいはそれ以上の損失を被ることもあるようです。これまで社会から散々稼いでいたのだから、少しでもつまづけば全部吐き出してもらう、ということなのでしょうか。
それに、それらのゴシップ化されたものは、本人だけにとどまらず、家族や遠く離れた出身地まで出向いて被害者を掘り起こしてしまうことさえあるようです。
「社会」という奴は残酷だと思うとともに、わが国の社会は、未だに「連座制」を引きずっているのだとつくづく思うのです。

反対に、「社会的制裁」のもつ疑問点もあります。
私たちの社会は、「法的に平等な社会」とされていて、百パーセントとはいかないまでも、まずまずそのような社会だと思うのですが、「明快にそうではないですよ」と示されているような気がすることが時々あります。
つい最近判決が出された元県議の恥ずかしすぎる事件での判決文の一部ですが、『 ・・・刑事責任は重いが、一定の社会的制裁を受けている』とあり、懲役3年、執行猶予4年を言い渡したと報じられていました。
これ、少し変な気もするのです。つまり、「社会的制裁」を受けているので少し刑を軽くしましたよ、ということで、「社会的制裁」を受けないような立場の者であれば、同じ犯罪でももっと厳しくなっていた、と法の番人たる裁判官が公言しているわけですから、「法の上での平等」とはどのようなことを指すのでしょうか。

このような判決文は本件だけのことではなく、よく聞く話ですし、「社会的制裁」に限らず、「賠償の程度」でも影響があるようですし、カネの力で弁護士を集められる人は、丸裸で訴訟に臨む人より有利になるのは、これは「社会の常識」なのかもしれません。
いよいよ参議院選挙の投票日が近付きました。私たちが投じることが出来る一票は、これだけは平等だと思いますよ。一票の格差云々という意見もありますが、必ずしも人口に比例させることが正しいともいえない部分がありますから、この一票だけは、社会的地位や貧富の差に影響されないものであり、私たちの代理として国政に励んでくれる人を選出できるものと信じて投票したいと思います。
そうあってほしいと祈る思いですが・・・。

( 2016.07.08 )
『コラム』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 選挙結果を受けて ・ 小さ... | トップ | 普通程度 ・ 小さな小さな... »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL