雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

メジロが来ない ・ 小さな小さな物語 ( 947 )

2017-04-22 09:05:46 | 小さな小さな物語 第十六部
わが家の小さな庭にある一本だけの白梅が満開を迎えています。
何しろ、理屈だけは一人前で技術の伴わない自称園芸師である私が剪定しているものですから、なかなか思い切って枝を切ることが出来ず、小さな木のくせに必要以上に小枝が密集していて、鑑賞眼のある人には眉をひそめられそうですが、気立ての良いわが家の白梅は、いっぱい花を咲かせてくれています。
その白梅と対の形で、ほぼ同じ高さぐらいのサンシュユ(山茱萸)があるのですが、こちらの方は、これでもかというほど枝を切り払ったものですから少し心配していたのですが、白梅に少し遅れながらも、小さな黄色の蕾をいっぱいに付けてくれています。
気まぐれな園芸師に痛めつけられながらも、しっかりと春の訪れを伝えてくれているのでしょうか。

この季節、まだわが家の庭は寒々としたものです。
苗を買ってきて鉢植えにしたパンジーやビオラを除けば、花をつけている草花は少なく、わずかに、草丈だけは元気で花の少ないスイセンと、勝手に生えてくるノースポールが通路を中心に気ままに花を付けていますが、まだ小さく、いずれも白なので華やかさはありません。
それでも、チューリップやユリやキズイセンやヒヤシンスやムスカリ、その他いつ植えたのか記憶にない球根類が、あちらこちらから芽を出しています。それぞれ少しずつ違う形の新芽が伸びていく姿も良いものですが、花の季節はまだ大分先です。

その球根の新芽のうち、ユリが鳥たちに齧(カジ)られています。
庭の一画には、青菜を欠かさないようにしていますので、スズメやヒヨドリは時々並んで食べています。しかし、どうやら彼らにとって、青菜よりユリの新芽の方がご馳走らしいのです。同じ球根の新芽でも、チューリップやスイセンなどはお気に入らないようですから、やはり、彼らにはしっかりとした味を見分ける力、つまり、価値観を見分ける力があるようです。
わが家の庭にやって来る鳥のほとんどはスズメとヒヨドリですが、他にも、セグロセキレイやハトや名前がよく分からない鳥もたまに姿を見せてくれます。
梅の季節には、ごくごくたまにですが、メジロが姿を見せてくれたことがあるのですが、今年はまだ来てくれていないのです。それで、どうも物足りないのです。

以前このブログに書いた記憶がありますが、傷ついたヒヨドリのひなの世話をしたことがあります。その時、親鳥らしい二羽が、入れ代わり立ち代わり餌を運んできて、無事に連れ帰ってくれたことがありました。その後しばらくの間、そのひな鳥らしいのが二、三羽と共に遊びに来てくれていたのです。それから、すっかり家族全員ヒヨドリのフアンになったのですが、梅の花が咲くと、どうもメジロが来てくれないか気になってしまうのです。
これは贅沢なのでしょうか。我がままなのでしょうか。それとも無い物ねだりなのでしょうか。
まあ、考えてみますと、何も「メジロ」に限らず、鳥のようにしっかりとした価値観もなく、何か一つあればもう一つ欲しいというのは、どうも私の心の弱さのような気もしているのです。

( 2017.03.08 )
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