雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

伝言ゲーム ・ 小さな小さな物語 ( 986 )

2017-07-12 08:35:40 | 小さな小さな物語 第十七部
「伝言ゲーム」などという遊びは、今も健在なのでしょうか。
わざわざ説明するほどの事でもないのですが、念のために簡単に、説明させていただきますと、「チームが一列になって並び、先頭の人に『元となる言葉あるいは文章』を伝えて、チームのメンバーに順に伝えていって、最終の人が伝えられた言葉なり文章を発表して、その正しさを競うゲーム」といったものです。
一つのチーム構成は、二、三人では面白くありませんし、あまり多すぎると厭きてきます。十数人くらいがいいのかもしれません。チームも数組までが良いのでしょうね。
このゲームは、いかに正確に伝言するかということを競うというより、いかに伝達の過程で情報が変化するかという面白さを楽しむゲームといえます。

出題の仕方にもよりますが、まったく正確に伝わることはほとんどなく、正反対の意味になったり、発信者と受信者が入れ替わったり、とんでもない人物が登場してきたり、内容そのものも微妙に変化することが多く、最終者の答えを聞いて笑ってしまうことも少なくありません。
中には、故意にもとの言葉や文章を違えて伝える輩もいますが、それによってゲームが面白くなることもありますが、たいていは白けてしまいます。真剣に伝えていっても、とんでもない誤伝があるということにこそゲームの真骨頂があるのだと思われます。

実際に私が伝言ゲームをしたのがいつのことなのか思い出せないほど遠い昔のことなのですが、テレビで国会質疑の様子を見ていて、この伝言ゲームのことを思い出したのです。まあ、連想ゲームのようなものでしょうか。
それにしても、「言った言わない」「文書があった、なかった」「記録されている、記憶にない」と、なかなか興味深い答えが多く、伝言ゲームらしい面白さが満載されています。
ところが、これだけ面白い答えが続々と登場してきながら少しも楽しくないのは何故なのでしょうか。その原因は簡単です。故意に「偽装」を紛れ込ませている輩がいるため、せっかくの楽しいゲームを台無しにしてしまっているのですよ。

事実は一つであっても、右から見るのと左から見るのでは様子が変わってきます。しかも、それを見たそれぞれの人が情報を伝達していったとすれば、然るべき場所、然るべき人物に伝わる頃には、一つの事実に対していくつかの情報が渦巻くことになるのは、ある意味では自然であり健全であるといえるでしょう。
しかし、何も政界に限ったことではないでしょうが、利権や金権が生まれやすい出来事には、情報が伝達される過程で「故意の虚偽」がつぎ込まれる可能性は高く、最終的な情報を得た人でさえ、自分に都合の良いように解釈を歪めることもあるような気がします。
噂話は楽しいものです。私の大好きな『枕草子』の中にも、人の噂をすることは楽しいことだといった記事がありますから、これは千年の昔からの人間の業(ゴウ)のようなものなのでしょう。しかし、情報の中には、ドロドロしたものが溶け込んでいるものも少なくないことを心する必要があるようです。



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