雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

誇らしい気持ち ・ 小さな小さな物語 ( 900 )

2016-10-12 08:42:50 | 小さな小さな物語 第十五部
東京工業大学栄誉教授の大隅良典氏がノーベル医学生理学賞を受賞しました。
「生物が細胞内でタンパク質を分解して再利用する『オートファジー(自食作用)』と呼ばれる現象を分子レベルで解明し、生命活動を支える最も基本的な仕組みであることを突き止めた」という研究が認められての受賞のようです。
ご本人はもちろんのこと、わが国にとっても名誉なことで、感謝をこめて拍手を送りたいと思います。

上記した受賞対象となった研究については、新聞の記事を丸写ししたものですし、『オートファジー』という言葉となれば、生まれて初めて耳にした言葉でした。記事には、おそらく親切のつもりで、(自食作用)と日本語で説明されていますが、私などは、自食作用と聞けば、タコが自分の足を食べることを連想してしまいました。
研究内容ばかりでなく、大隅良典教授のお名前も全く存じ上げませんでした。しかし、同じく新聞の記事などによりますと、これまでに、「藤原賞」「日本学士院賞」「朝日賞」「京都賞」「ガードナー国際賞」「国際生物学賞」「慶應医学賞」などを受賞しているというのですから、少しでもこの分野に知識がある人にとっては、大変な人であったようです。テレビのインタビューを受けた人の中には、「今回の受賞は遅すぎたほどだ」と発言されている人もいました。

それにしても、おそらく、人的なつながりといった面でも、知識面でも、大隅教授とは日本中で最も遠い位置に属していると思われる私ですが、今回のノーベル賞受賞というものが、こんなに嬉しく、誇らしい気持ちさえしてしまうのは何故なのでしょうか。
ノーベル賞というものの持つ力なのか、別に愛国者だとは思っていないのですが、同じ日本人であることに起因しているのでしょうか。
この「誇らしい気持ち」が私だけが感じているものではなく、国民の過半とまではいわないまでも、2~3割の人が感じているとすれば、大隅教授の快挙は、実に2~3千万人の人を、たとえ一瞬にしろ、「誇らしい気持ち」にしてくれた計算になるのですから、まったくありがたい限りです。

私たちは、ややもすると、他人の快挙や幸せを、素直に祝福できない精神構造を有しているように思うのです。私の個人的な性格の部分もあるのでしょうが、ほとんどの人が、多かれ少なかれそのような性格を有しているらしいことは文献などでも時々目にします。
しかし、そんな私でさえ、「日本人科学者がノーベル賞受賞」というニュースには、素直に喜び、「誇らしい気持ち」にさえなってしまいます。
以前、当ブログで、「ノーブルな生き方」といったことを少しばかり書いたことがありますが、今回のように、利害も思惑もなく喜べるような環境に身を置くことに、何かのヒントが隠されているような気がしています。

( 2016.10.06 )
『コラム』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 薬師寺の万灯会 ・ 今昔物... | トップ | 第三者の目 ・ 小さな小さ... »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL