雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

一進一退 ・ 小さな小さな物語 ( 943 )

2017-04-22 09:12:04 | 小さな小さな物語 第十六部
とんでもないほど暖かい日があるかと思えば、その翌日には真冬の状態になったり、何とも激しいお天気が続いています。
おそらく、毎年それほど大きな差はないと思うのですが、去年のことさえ忘れてしまっているものですから、毎年、「今年の天候は・・」などとぼやいているような気がします。
何でも、関東では、春一番どころか春三番まで吹くらしいとか、テレビで報じられていました。この春一番には定義があるようで、地域によって若干条件は違うようですが、「①立春から春分の間に、②太平洋の高気圧から日本海の低気圧に向かって、南寄りの風速8m/秒 以上の強い風が吹き、③前日より気温が上がる」状態を指すそうで、毎年必ず発生するわけではなく、近畿では「四年ぶりの春一番登場」だったようです。従って、関東で、春三番や春四番までも登場するとすれば、やはり、少し異常なのかもしれません。
しかし、このように一進一退を繰り返しながら、季節は確実に進んでいるのでしょうね。

ところで、この「一進一退」という言葉は、四字熟語としてもよく知られていますし、日常で目にすることも少なくありません。
前段で使いました「一進一退」は、少しずつ進んでいることの表現になっていると思うのですが、実際にこの言葉を目にしたり耳にしたりする時には、むしろ、「進んでいない」といったニュアンスの場合が多いのではないでしょうか。
この言葉を辞書で調べてみますと、「進んだり退いたりすること。また、よくなったり悪くなったりすること。」と説明されています。これに従えば、進む場合で、退く場合でも使ってよいことになりますが、多くの場合には、「留まっているような状態。あるいは少しさがり気味」といった使われ方が多いような気がするのです。

因みに、同義語を調べてみますと、「遅々として進まない。順調に進まない。難航している。能率が上がらない。」といった言葉が並べられていて、「進む」といったニュアンスを含んだ使われ方は少ないようです。
この言葉の語源は、中国の古典の一つである『管子」にある、「令兵一進一退者権也」だそうで、意味は、「兵士が、勇んで進むか、おびえて退くかは、君主の力である」といったもので、兵法について述べられていて、ここでは、「進むことと、退くこと」の両方を指して使われています。
ただ、私たちの日常では、「戦況は一進一退」「病状は一進一退を繰り返している」といった使われ方が多く、やや下がり気味の意味に使われることが多いようです。

一進一退の持つニュアンスはともかく、私たちの日常生活で経験する多くのことは、「まっしぐらに進んだり」「真っ逆さまに落ちて行ったり」ということは、そうそう多いものではありません。
たいていの事は、一進一退し、思い通りにいかないことが、むしろ普通の状態なのではないでしょうか。それが交渉事であればなおさらで、もしこちらが一方的に押し勝てば、それはそれで万々歳というわけでなくしこりを残すものです。かといって、一方的に押しまくられるのは勘弁願いたいわけで、一進一退を繰り返して、そこそこの所で手を打つのが大人の知恵というものかもしれませんねぇ。

( 2013.02.24 )
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