雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

鳥の目も虫の目も ・ 小さな小さな物語 ( 850 )

2016-10-12 15:12:00 | 小さな小さな物語 第十五部
ゴールデンウィークの真っただ中、私は小さな庭で草ぬきに励んでいます。
今年もまた次々と芽吹き、そして花を楽しませてくれた球根たちもその盛りを終え、後は百合の成長を待つばかりになっています。チューリップを除けば、他の球根は植えっぱなしの物ばかりなのですが、年々増加している感じです。花の数はそれほど増えていないのですが、葉のボリュームは確実に増えているようで、それでなくても狭い花壇の大半を覆っています。いま我が家の庭の花の中心は、スミレやパンジー・ビオラの類と、今年もまた通路部分を埋め尽くすように咲き乱れているノースポールの白い花たちです。

水仙やアイリス、ヒヤシンス、ムスカリ、チューリップなどが混在している緑の塊をかき分けて見ると、これから花の季節を迎える花たちも遠慮深げに成長しています。
そこで、少し早いのですが、水仙などの葉を切り取ることにしました。そうすると、緑の塊の中に様々な雑草が期待通りに逞しい姿を見せています。それともう一つ、わが家の花壇では、かねてから、トラノオとシュウメイギクがさかんに勢力範囲を広げているのですが、このところ放置していたものですから、他の縄張りに進出し、シャクヤクの周りにも襲いかかっているのです。せっかく新規拡張に務めているのに可哀そうな気もしますが、それぞれの勢力範囲の確定も行っています。
今のところは幸い少ないのですが、この季節から後の草取りは、蚊や毛虫などの虫が多いのに困ります。蜂や蝶々もやってきますし、小鳥たちも来てくれますし、今は鳩が二羽、すぐ近くで何かを求めて歩き回っています。のんびりとさせていただき、まことにありがたいことですが、蚊や毛虫もお友達、といった心境にはなかなかなれないものです。

そう言えば、今更古い話になるのかもしれませんが、「三つの目を持ちなさい」という話を聞いたことがあります。経営手法に関する講演の場であったと思うのですが、大分前のことです。
三つの目というのは、「鳥の目」「虫の目」「魚の目」だそうです。「鳥の目」は、高い所から全体像を見るのに適していて、リーダーたるものは常に鳥の目で物事を見ることを忘れてはならない、というわけです。反対に虫の目は、足元をしっかり見なさい、ということのようです。理想論ではなく、現実の姿を直視した行動が必要なことを教えています。「魚の目」は、魚が水の流れを注意深く見ているように、時代の流れ、時代の変化を的確に捉えなさい、ということなのでしょう。

「鳥の目」で物事を見るということを考える時、私はトンビを想像します。大空を悠々と舞っていながら、獲物を見つけると急降下して捕えます。しかし、あれは、目で見ているのではなく嗅覚によるのだと何かで読んだ気がするのです。「虫の目」で物事を見るという教えはよく分かりますが、さて、ミミズに目は有ったのかな? と草を抜きながら考えてしまいます。「魚の目」となると、魚眼レンズのことが頭に浮かんでしまい、魚が水の流れを感じているのは目ではなく、きっと身体全体か、もっと別の感覚器官があるのではないかなどと考えてしまいます。
どんなに優れた教えでも、それを素直に吸収するとが出来ない人には、あまり役立たないのでしょうね、きっと。
それが証拠に、草を抜きながらこんなことを考えているのですから、予定の半分も進まないところで厭になってきているのです。

( 2016.05.03 )
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