雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

三つ巴 ・ 小さな小さな物語 ( 1018 )

2017-10-31 08:41:59 | 小さな小さな物語 第十七部
衆議院選挙もいよいよ終盤戦となりました。
幾つもの世論調査や独自予想とやらが報道されていますが、さて、正解はあるのでしょうか。
イギリスの国民投票やアメリカの大統領選挙の世論調査の負けっぷりを見てしまったので、どうも信頼しきれない部分が拭いきれません。また、報道された内容によって、選挙民にどのような影響を与えるのかというあたりも興味深いところです。

ここにきて多くの報道機関では、今回の選挙は政治性がかなり整理されてきた、といった論調が目立つように思われます。つまり、保守・中道・リベラルの三陣営が三つ巴の戦いを展開している、というのです。
しかし、そうそう簡単な事ではなく、そもそも、保守系政党といっても微妙な差があるでしょうし、リベラルというのも日本語で表現しきれないほど分かりにくいですし、中道に至ってはその範囲を決めるのは簡単な事ではないように思われます。
わが国は議会制民主主義ですから、国権の最高機関である衆議院で多数を獲得するためには、チーム(政党)を構成することが有利であり、総選挙も、その勢力の戦いとなるのは自然といえます。
しかし、政治というものは、主義主張や理念だけで行われるものではなく、人間性も加味されていると思うのです。残念ながら、政党主導の選挙、特に比例制においては、人物の優劣が薄れがちな傾向があります。でも、政治を行うのは人間だと思いますので、人物をしっかり見たいと思うのです。

現在展開中の選挙戦が三つ巴戦になっているかどうかは分かりませんが、「三つ巴」という紋様は実に美しく力強い紋様だと思います。
一口に三つ巴の紋様といっても、右回り、左回りとあり形も微妙に違う物がありますし、「二つ紋様」というものもあります。神社の太鼓なのでよく見かけますが、古くから家紋としてもよく使われているようです。
この「巴」の姿は何から生まれたかというのには諸説があるようです。一般には、弓を射る時に付ける武具からといわれているようですが、勾玉(マガタマ)からだとも、渦巻きだとも、蛇の形だという説もあるようです。
いずれにしても、三つ巴の紋様は安定した力強さがありますが、「三つ巴の戦い」となれば、激しい乱戦をさすようです。

三つ巴に限らず、三つを基調とした紋様や表現は数多くあります。
例えば、「鼎の軽重を問う」という言葉にある鼎(カナエ・食物を煮るのに用いる金属製の容器。)も、普通は三本足です。この三本足というのは、立てるのにどんな場合でも安定します。二本足では倒れやすく、四本足ではガタガタしやすいですが、三本足では少々足場が悪くても安定して立てられます。
現在行われている選挙が三つ巴の戦いだとすれば、選挙が終わった後では、三本足が安定しやすいように、安定的な政治を遂行してもらいたいものです。
ただ気になるのは、三本の足は少々長さが違っていても安定して立ちますが、それに支えられた上部は、かなり傾いてしまうということなんですよねぇ。

( 2017.10.19 )

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