miwaのお話袋

思いつくままに書いて行きたいと思います

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石榴  ざくろⅨ

2005-10-24 13:14:51 | Weblog
次の日、京子は卵管検査の予約を入れた。看護士は運良く、キャンセルが出たので
来週の月曜日にしましょうと、言った。
京子の不安げな声に気づき、労わる様に話した。
「大丈夫ですよ。痛みを感じない方が多いですから。」
電話を切った後、京子は、先日買った本を、片っ端ら読み始めると、ちょうど、1冊読み終わった所で、玄関のチャイムが鳴った。
「ねえ、奥さんちょっと開けてよ。面白い話が・・・」
その声の主に気づき、京子は大きなため息をついた。
隣人羽崎慶子。マンション内ではちょっと知られた女で、招かれざる客だ。歳は50位で、貧相な顔立ちをしているが、目だけが、終始ぎょろぎょろと動いている。年老いた夫と2人暮らしだ。

京子は、居留守を装っていたが、いつまでも鳴り続ける玄関のチャイムに、居た堪れなくなり、ついには玄関の扉を開けた。
今起きたと思わせる為に、大きな欠伸をした。
「どうしたんですか?」
「あらあ、寝てたの?ちょっとごめんね。」
そう言うと、ずかずかと部屋へ上がり込み、居間にあるソファに座った。
そして、京子が隅に隠した本を見つけ、子供できないのと呟いた。
「何の御用なんですか?こちらもこれから、来客があるんです。」
「ああ・・・ごめんね。2階の田中さんの旦那さん不倫してるらいいのよ。」
慶子は京子の反応を見る様に、顔を覗きこんだが、
「それで?すいません。忙しいので、これで。」
と京子が台所に立ったので、のろのろと帰った。

慶子に見られたら、マンション中の噂になることは解っていたが、
あの本を見られた以上、仕方なかった。
妊娠できれば、噂は消えると解っていたので、暫く我慢することにした。



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石榴  ざくろ Ⅷ

2005-10-20 17:08:40 | Weblog
京子は、日が暮れかかるまで、次に行われる人体解剖を想像し、震えていた。
あれ以上のことをされる、いや、しなければいけないと思うと、ぞっとする。
それでも、妊娠できるならやってやると、熱き思いが体を包んだ。

家に帰り、夕食の支度に掛かると、ガタンと玄関の扉が開き、
「ただいま」と野太い声がした。
彼の帰りが早い。それに鼻歌まじりで風呂に入る彼は上機嫌だった。
今日しかないと京子は思い、彼の好きな煮魚をいつもより1品増やした。

「今日ね、婦人科へ診てもらったの。」
京子は頃合をみて呟いた。
「婦人科行ったのか。子供のことか?」
彼はビールを片手に持ち、野球の中継を見ながら言った。
「そうなの。もうこの歳だしね」
彼は野球中継に必死で、さかんに応援している。
「ねえ」
京子は彼を優しく詰る様に呟くと
「ああ、どうだった?」
と、野球の中継がようやく終わり、京子と向かい合った。
「子宮には異常はないって。それでね・・・」
彼は機嫌が良い。京子の顔を覗きこみそれでと言った。
「先生が、今度はご主人と一緒にって。」
その言葉を彼が遮った。
「俺は嫌だからね。男が婦人科なんかに行くなんてこと、恥ずかしくて顔から火が
出るよ。」
そう言ったきり途端に不機嫌になり、
「寝る」
と吐き捨てて、寝室に消えた。

京子は箸を置き、頬杖をついた。
「ふー」
深いため息をつくと夕食を片付け始めた。
明日、もう1度電話して、他の方法をお願いしようと。
風呂に入り、長い髪を乾かし、面白くもないテレビを見ておおいに笑った。
突然電話がなり、こんな夜中に電話の主を心の中で詰った。

「もしもし」不愛想な声で答えると
「あらあ京子さん、お邪魔だったかしら。」と皮肉な言葉を聞き、
彼の母親だと気づいた。京子はこの時間に必ず電話をし、
先程の言葉を言うのが、唯一の楽しみである様な気がしてならない。
「いいえ、テレビを見ていましたの。それより友則さんと代わりましょうか。」
と言うと、いいのあの子は疲れて寝ているだろうからと答えた。
母はあれこれと世話を妬き、皮肉を言う。暇を持て余し、彼の為に生きていると言う程、溺愛し、それ故に京子を邪険にした。
「ねえ、まだ子供ができないの?やっぱりもう少し若い娘さんを選ばせたら良かったわ。」
と、独り言の様に呟くが、その言葉によって京子が傷付くことを望んでいる。

しかし、京子は
「いいえ、今日婦人科で診てもらった所、異常がないと言われましたわ。」
と、いつもより強気な言葉を放った。
「そうなの?信じられないわ。その歳で…」
母の言葉を遮って
「ええ、私に落ち度はありませんわ。」
と、彼に原因があると仄めかすと
「友ちゃんは、健康よ。」
突然がちゃりと電話が切れた。京子はにやりとし、これで暫く掛けて来ないだろうと、喜んだ。
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石榴  ざくろ Ⅶ 

2005-10-20 16:02:17 | Weblog
会計を済まし、病院を後にして近所を暫く歩き小さな本屋を見つけ、
不妊に関する本を、手当たり次第買い占め、帰路へと急いだ。
鞄は忽ち鉛の様に重くなり、帰路へ急ぐ京子に足枷をつけ、
本来ならば、駅まで10分位で着くのだが、重さによる疲れで、少し歩いて休み、又のろのろと歩くを繰り返していた為、30分と少し、掛かった。

電車から見える景色は、家の間から時折紅葉した山々が顔を覗かせる。
それなのに、京子は汗だくで、手を団扇にし、しきりに扇いでいる。
座っている人々は一瞬場違いな程、汗を滴り落とす京子をちらりと盗み見したが、すぐに視線を外した。
京子が降りる駅に近づくアナウンスが流れた頃、漸く汗も止まり、京子は元の涼し気な顔をし、扉の前へと歩いた。

駅から10分程離れた場所に京子が住むマンションがある。木々に囲まれたそこは、
さながら都会のオアシスだ。京子はいつも買い物から帰って来て、木々に囲まれ、そっと佇むベンチで休憩した。

今日も、そのベンチに座り、暫く空を眺め疲れた体を労わり、そして鞄から1冊本を取り出すと表紙を暫く見つめた。
真ん中に子供を抱いた女の絵が書いてあり、
その絵を台無しにする様に、黒い字で-妊娠できる体と心の為に-と、でかでかとそれは書かれていた。
ペラペラと適当にページを捲ると、
「自分自身の体のことだけではなく、ご主人の精子に異常がないかを婦人科で調べ
てもらいましょう」
と言う字を、凝視し、その意味についてあれこれ考えた。
彼が婦人科へ精子の数や異常の有無を調べに行くだろうか。
元々古い人間で、子供は自然に出来ると信じて疑わない彼がだ。
しかし・・・
京子は暫く考え、決心した様に、鞄から携帯と橋野婦人科の診察件を取り出し、
病院に電話を掛けた。

「もしもし恐れいりますが、院長先生と少しお話したいのですが。」
と言うと今丁度、診察の合間なので、繋ぎますねと看護士らしき人が取り次いでくれた。

「もしもし」少し篭った院長の声。
「先ほど診察を受けた池田と申します。」
と言うと、途端に声が明るくなる。
京子は少し躊躇したが、彼は忙しく当分、一緒に伺えないと申し出ると
暫く考え込んで
「わかりました。それでは、橋野さんの卵管の検査を先にしましょう。」
と言うと、次の患者が詰まっているのか、早々に電話を切った。

卵管の検査。京子は本の中に卵管という言葉を捜した。
そこには膣から液をいれ、1分程待ちレントゲン撮影をすると書いてあった。
一番下には、苦痛を伴う人もいるという字に気づき途端に恐怖で顔を歪ませた。









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石榴  ざくろ Ⅵ

2005-10-18 14:17:28 | Weblog
院長の橋野章江は50過ぎの小太りな女だった。
「大丈夫。私もね、10年前にやっと子供が授かったのだから」
と院長は京子の耳元で囁いた。
京子は体温表を院長に渡すと
「私、子宮に問題がなければ、大丈夫ですよね。」
と同意を求めたが、院長はそれだけでは・・・と言葉を濁した。
暫くの沈黙の後、
「では内診椅子へ」と京子の横にある、内診椅子を指さした。
前の病院で見たそれとは異質の、グレーの椅子の廻りには銀色に光るアヒルの口の様な器具があり、京子はゴクリと生唾を飲んだ。
スカートは脱がず、下着だけ脱いで丁寧に畳み、薄茶色の籐籠に置いた。
院長は椅子の向こう側に座り、どうぞと、手招きした。
「初めてですか?」
その問いに頷くと
「座って、足を横にある所に乗せて」
と言い、京子はその通りにすると、院長は、京子の上半身と下半身の間にある鼠色のカーテンをそっと閉めた。


人体解剖。京子は体の中に異物が入るのを、確認し、そう感じた。しかし、それは痛みを感じる事は無かったが、恥ずかしさに身をよじりたい程だった。
「子宮が少し小さいわね。」
院長の言葉が、京子を天国へ招き、地獄に蹴落とすこともできる。

「はい終わったわ。じゃ、下着を履いたらこちらに来てくださいね。」
院長はカルテに記入しながら、左手だけヒラヒラさせた。

京子は隅で、下着を履き、髪を手で直し、院長の前に座った。
それでもまだカルテに記入し続ける院長をじっと待った。

「はい。子宮に異常はありません。少し小さいけれど、許容範囲だし。」
京子は思わず胸を押さえ安堵した。異常なしと言う言葉が、京子の涙腺を緩める。
院長はそんな京子の姿をほほえましく眺め、
「今度来る時は、ご主人様と一緒にね。」
「はい・・・。」京子は曖昧に頷いた。
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石榴  ざくろ Ⅴ

2005-10-17 21:23:49 | Weblog
京子は、あの忌々しい出来事を自ら闇に葬った。婦人科等、掃いて捨てる程ある事実に気づき安堵したのだ。
あの日から、毎朝目が覚めると婦人体温計を口に含んだ。京子の婦人体温計は、毎日口に含み、計り終わると、いちいちメモしておかなくていい、便利な物だ。
少し値が張ったけれど、店員があまりにも勧めるので、仕方なく買ったのだが、今にして考えれば、本当に良かったと京子は思う。

2ヶ月計った所で我慢できなくなり、インターネットで調べた病院へ行った。
ここが駄目なら又、かえれば良い。そんな気持ちで3駅先の橋野婦人科の扉を開けた。近代的な建物で、待合室は、意表をつくコンクリート打ちっぱなしで
そこには皮のソファが3つ並び、毎週有名なフラワーアレジメントの講師が来て、
花代さえ負担すれば、教えてくれるのだと、皆、おしゃれなポスターを指さしていた。

橋野婦人科は常時2人の医師がいて、診察室は2部屋あり、1部屋はモノトーンの
落ち着いた部屋で、もう1部屋は、淡いパステルイエローで全てが統一されている。何より京子が選んだ理由は、おしゃれさでもなく、2人も女の医師だった事だ。

待合室の椅子に座って、鞄の中から2ヶ月間計った体温表を出し、しげしげと眺めていた。この2ヶ月体温の上がり下がり等も自分なりに勉強し、体に異常がなければ、妊娠できると確信した。
「池田さんどうぞ」
愛想の良い30後半だろうか、看護士が手招きしている。
「どっちの先生にしますか?」
看護士は両手を出してどっちでも大丈夫と言った。
京子は迷わず
「院長先生でお願いします。」
と頭を下げた。選択させてくれるのも京子は気にいったのだ。
どうぞと看護士は診察室へ案内し、私は部屋に入ってすぐ院長に頭を下げた。
「どうしても子供が欲しいのです。手段は選びません。」
京子の言葉に、驚きもせず、院長はにこやかに一言
「大丈夫よ」と言った。その言葉は、京子の心をますます軽くさせたのだ。
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石榴  ざくろ Ⅳ

2005-10-17 21:23:35 | Weblog
京子は、あの忌々しい出来事を自ら闇に葬った。婦人科等、掃いて捨てる程ある事実に気づき安堵したのだ。
あの日から、毎朝目が覚めると婦人体温計を口に含んだ。京子の婦人体温計は、毎日口に含み、計り終わると、いちいちメモしておかなくていい、便利な物だ。
少し値が張ったけれど、店員があまりにも勧めるので、仕方なく買ったのだが、今にして考えれば、本当に良かったと思う。

2ヶ月計った所で我慢できなくなり、インターネットで調べた病院へ行った。
ここが駄目なら又、かえれば良い。そんな気持ちで3駅先の橋野婦人科の扉を開けた。近代的な建物で、待合室は、意表をつくコンクリート打ちっぱなしだった。
そこには皮のソファが3つ並び、毎週有名なフラワーアレジメントの講師が来て、
花代さえ負担すれば、教えてくれるのだと、皆、おしゃれなポスターを指さしていた。

橋野婦人科は常時2人の医師がいて、診察室は2部屋あり、1部屋はモノトーンの
落ち着いた部屋で、もう1部屋は、淡いパステルイエローで全てが統一されている。何より京子が選んだ理由は、おしゃれさでもなく、2人の女の医師を自由に選ぶ事ができたからだ。

待合室の椅子に座って、鞄の中から2ヶ月間計った体温表を出し、しげしげと眺めていた。この2ヶ月体温の上がり下がり等も自分なりに勉強し、体に異常がなければ、妊娠できると確信した。
「池田さんどうぞ」
愛想の良い30後半だろうか、看護士が手招きしている。
「どっちの先生にしますか?」
看護士は両手を出してどっちでも大丈夫と言った。
京子は迷わず
「院長先生でお願いします。」
と頭を下げた。選択させてくれるのも京子は気にいったのだ。
どうぞと看護士は診察室へ案内し、私は部屋に入ってすぐ院長に頭を下げた。
「どうしても子供が欲しいのです。手段は選びません。」
京子の言葉に、驚きもせず、院長はにこやかに一言
「大丈夫よ」と言った。その言葉は、京子の心をますます軽くさせたのだ。
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石榴  ざくろ Ⅲ

2005-10-08 13:14:56 | Weblog
「さあどうぞ。」医師は時間を気にしてる様に、時計をちらりと見た。
京子は茶色い背もたれの無い椅子に座った。
医師は何かもの言いたげに京子に視線を送っている。
ほんの数秒だが、京子は目の前に座っている妙に作り笑いの医師が、何を言いたいのか判らず、診察室の奥にある、薄いピンクのカーテンの向こうに、真っ白な椅子を凝視した。あれが、内診椅子だと、すぐに判った。
「基礎体温表は持って来られました?」と医師が手を出した。
「いいえ。測ってません。」
その時、小さい音がした。医師が、舌を鳴らしたのだ。患者が詰まっていて、医師は、早く終わらせて次の患者をと、思っていたのかも知れない。
京子はいい様のない後悔に襲われ、居た堪れない気持ちで一杯だった。
「今度伺う時に持って来ます。すいません。」
医師は慌てて「いいんですよ。最初は皆そうですから。」
その言葉も聞かず、京子は腰を上げた。
「ありがとうございました。」
丁寧に礼をい、診察室を出て行った。
背後で、医師が
「基礎体温は3ヶ月測って、表に付けて持って来てくださいね。」と言ったが、
京子は返事をしなかった。
ただ、この婦人科には2度と来るまいと誓ったのだった。

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石榴  ざくろ Ⅱ

2005-10-07 17:19:25 | Weblog
京子は、女が診察室へ入っていくのを見て、ほっと胸を撫で下ろした。
水知らずの他人に、あれこれ詮索されたくない。
それにしても・・・。目の前にある石榴の絵を見て、頂いて帰ろうかと、思案していた。「あの石榴の絵を見るだけで、子供が授かるなら、不妊治療なんていらない。あの絵はきっと、気休めね。」
と小さな声で呟いた。
「池田さん。池田京子さん。診察室にお入り下さい。」低い声が待合室に響き、
途端に、京子の胸は激しく鼓動する。大きく息を吐き、静かに立ち上がり診察室へ
向かった。
診察室までの道は、ひそひそと幾つもの声がする。それを、一つ一つ拾って行くのは、あまりにも耐え難い。「あの歳じゃ駄目ね。」ふと声が聞こえた方を振り返ると、20歳後半だろうか、若い女が京子をじろりと睨んだ。

「どうぞ。」先程聞いた低い声がした。診察室に入ると、壁一面に、子供を抱いた
幸せそうな女達の写真が飾っていた。
「皆さんつい最近まで貴方と同じ子供を欲しがっていた人達ですよ。」
医師は暖かい笑顔で京子を迎えた。
これなら産めるかも知れない。子供を抱けるかも知れない・・・。
京子は安堵した。
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石榴  ざくろ Ⅰ

2005-10-07 15:52:47 | Weblog
結婚して3年。京子は子供が欲しくて堪らなかった。たまに掛かってくる電話は、
妊娠報告ばかりだった。もちろん友人が妊娠するのは、とても嬉しい事だが、
歯軋りする程悔しかったのも確かだ。そして友人達は電話の最後に必ず
「京子もできるよ。できなくても、又違う人生があるって。」
この言葉を聞く度に、死ねばいいのにと思った。あなたが死ねば、赤ん坊は私が、
育てるからー。憎しみの言葉は日々、心の中で煮えたぎっている。早く欲しい。
子供を産み、この手で育てたい。

できなければ、結婚した意味等あるものかと、京子は思う。
35で見合い結婚し、3年経ち夫婦の形はただの同居人となった。
もちろん、何の感情もない相手と結婚したのだから、そうなる事は予想していた。
彼は「子供は自然にできるもの。できなければ、又、その時考えよう」
口を開けば、そればかりで、私の言葉等届いていなかった。


京子は誰にも知られぬ様、自宅から2駅程歩いて、婦人科を見つけた。

外観は古臭く、少し躊躇したが、ドアを開けると薄ピンクの壁紙が目に入った。
患者は20人程だった。
「此処、どうぞ」
愛想の良い歳は30後半程の女が、手招きをした。京子はノロノロと女の横に座り、
壁に掛けてある石榴の絵を気味悪そうに見た。
女は、京子の様子に気づき
「あの絵、うちにもあるわ。子供が欲しいなら、いつも見える所に飾って置くんですって。」女は自慢げに顎を上げた。

「そうですか・・・石榴・・・」
気味の悪い物だけど、子供が、できるなら・・・
京子が、そう思った時、
「此処で頂けるわよ。コピーだけど、子供ができた人が何人もいるらしいわ」
その後も、女が診察室に入るまで、誰々ができたとか、私もできたみたいなの、とか、散々話を聞かされ、正直うんざりしていた。
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