「役者は嫌いだ」(242ページ-2007年のインタビュー)という氏の自伝。第一章「男が独りになった時」が何といっても出色の出来映え。
人気女優だった宮崎恭子が女優を諦めて未だ駆け出しだった氏と結婚、後に脚本家・演出家(ペンネーム隆 巴-りゅう ともえ-)として、また無名塾を立ちあげ後輩の育成と氏を支え続けたが95年に65歳で亡くなった。
その妻との出会いから亡くなくなるまでとその後を、語っている。
2章 生い立ち、思出の記、3章 二人でひとり 第二部 役者人生を語る の構成。飾らない氏の人柄がにじみ出ていて、本書を購入した能登演劇堂での熱演ぶりを思い出し、とても印象深い読後感だった。もう85歳だという、ご健勝でご活躍を祈念したい。