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2016-17 年越しウィーン紀行 その5:鉄道版LCC ウェストバーンに乗ってみる

2017-03-18 | 旅行記:2016-17 ウィーン
Photo:ウィーン西駅に停車中のウェストバーンの列車


その4:ウィーンの大晦日と元旦からの続き

現在オーストリアの首都ウィーンを代表する駅は、数年前に完成して大々的に使用開始された近代的な巨大ターミナル・ウィーン中央駅…だが、ウィーン中央駅が開業するまで実質的に中央駅の役割を果たしていたのはウィーン西駅である。
以前はウィーンとオーストリア各地のみならずヨーロッパ各国の都市とを結ぶ国際列車がひっきりなしに発着し、華やかな雰囲気に包まれていたウィーン西駅も、現在はその役割をウィーン中央駅に譲ってローカルな近郊列車ばかりがやって来る地味な駅に…なってはいないのだ!

現在、ウィーン西駅は海外資本が運行する新しい鉄道会社ウェストバーン社の列車が使用するウィーンのもう一つのターミナル駅として、新たな役割を担っているのである。

ヨーロッパでは線路や設備インフラと列車の運行を切り離す鉄道経営の「上下分離方式」が進んでおり、さらに列車の運行は国際的に自由化される傾向にある。
その為、オーストリアの鉄道も国鉄に相当する連邦鉄道が管理する線路の上を民間の鉄道会社が運用する列車が走るスタイルでの列車運行が始まっている。
首都ウィーンと中西部の都市ザルツブルグを結んで走るウェストバーンの列車がそれである。
ウェストバーン社にはフランスの資本が入っているとのことで、列車のデザインも明るくお洒落、そして何より乗車価格が大変に安く設定されているのが最大の特徴。既存の連邦鉄道に勝負を挑むウェストバーンはチケット発券や予約システムにインターネットを活用して徹底した運行コストカットを図り、スマホを使って切符を買って気軽に乗れる便利さと低価格を実現している。そう、まさに“線路を走るLCC(格安航空会社)”のような存在だ。

ウェストバーンの列車は、ウィーン中央駅には乗り入れず全列車がウィーン西駅からの発着となっている。
恐らく、中央駅を使用すると「乗り入れ賃料」が高額になるのか、或いは新興のライバルに対する古参の連邦鉄道からの圧力や「大人の事情」か…?
ともあれ、現在ウィーン西駅はカラフルに塗装されたウェストバーンのザルツブルグ行き特急列車が毎時発着するカジュアルな駅として、装いも新たに賑わい続けているという訳なのだ。



そんなウィーン西駅から、早速ザルツブルグ行きのウェストバーンの列車に乗り込んでみよう。
ヨーロッパの鉄道に乗車する際には従来、必ず事前に乗車券を購入して手許に用意しておく必要があった。もし乗車券を持たずに乗車した場合は無賃乗車を企てたと見なされて高額のペナルティを課される事になるので、もし駅の窓口が混雑していたら泣く泣く列車を一本見送って行列に並ぶ事もあったのだが…ウェストバーンなら心配ご無用。乗車間際にその場でスマホでチケットを購入することも出来るし、車内で乗務員から直接購入することも出来る。もちろん、乗車後に車内での購入でもペナルティなどは一切無く正規の価格で購入出来る!

…これはある意味、ヨーロッパの鉄道の常識を覆すカルチャーショックだ。凄いぞウェストバーン!
ちなみにウィーン→ザルツブルグのチケット代金はエコノミークラスで片道26.5ユーロ。これは連邦鉄道の特急列車の2等車の半額程度という激安価格である。さらに早得や季節限定の激安価格が設定されることもあるらしい。恐るべしウェストバーン…





ウェストバーンの列車は全車2階建てダブルデッカーの電車で、ウィーン方の先頭車がプレミアムクラス車両になっている以外は全てエコノミークラスの自由席。
見晴らしの良い2階の座席に座ると実に快適で、無料Wi-Fiとスマホ用電源も使えて申し分無し!ザルツブルグまでの2時間半足らずの旅を気ままにのんびりと楽しむことが出来そうだ。
さすがフランス資本が入っているだけあって車内のインテリアデザインも気が利いている。また車内には簡単なカフェテリアもあり、サービスも充実しているが、これは少しでも収益を上げて安いチケット代金をカバーしようというLCC同様の経営努力だろう。





ウィーン西駅を発車したウェストバーンのザルツブルグ行き列車は、オーストリア連邦鉄道随一の主要幹線である西部本線を快調に飛ばして行く。
ダブルデッカー電車の最高速度は時速160キロ程で高速鉄道という程ではない速度だが、それでも日本のJR在来線の特急列車よりは速い。





車窓の風景から雪が消え、爽やかな牧草地帯を駆け抜けて行くともうすぐ終点のザルツブルグ。

ウィーンから快適な「格安特急列車」の旅だった。さぁ、ザルツブルグに着いたら、早速この美しい観光都市に繰り出そう!
…おっと、今日は日帰りなので帰りのウィーン行きのウェストバーンの発車時刻を確認するのだけは、忘れないようにしないとね(笑)

その6:日帰りザルツブルグ散歩 モーツァルトとザッハートルテの街に続く


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