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JAXA宇宙探査イベント「宇宙探査の始動 ~Inspire the future~」に行く

2009-03-21 | 宇宙
2009年3月14日、横浜で催されたJAXA宇宙探査イベント「宇宙探査の始動 ~Inspire the future~」に参加してきました。

さて、この日3月14日は折りしもブルートレイン「はやぶさ」「富士」のファイナルラン、最終列車の到着日。
そして僕も最後の東京行き「はやぶさ」に乗車することになっていた。
なんという偶然!

かくして、JAXA宇宙科学研究本部の誇る小惑星探査機「はやぶさ」の名前の由縁となった列車、それも最終列車に乗ってJAXA宇宙探査イベントに行ってきました。

2009年3月14日午前11時33分、定刻より1時間半遅れて終着駅東京に到着した「はやぶさ」が「富士」と共に回送列車となり去っていくのを見送った僕は、「はやぶさ」「富士」出迎えの人々でごった返す東京駅で友人Kと合流し、そのまま一緒に横浜へと向かった。
途中、品川の操車場にさっき見送った「はやぶさ」「富士」の編成が到着し留置されているのが見えた。
あのブルートレインは、もう二度と乗客を乗せて走ることはない。そう思うと思わずこみ上げてくるものがある。

横浜でJRからみなとみらい線に乗り換えて会場のパシフィコ横浜に到着。


途中で食事をしたので時間が押しており、そのまま会場へ。
今回は定員370名の参加枠がすべて埋まっており、会場の小ホールも空席が殆ど無い状態。
やはり大都市部でのイベントは参加者数の勢いが違う。

14:00、「第1部 音楽と探査映像の世紀」がスタート。
宇宙探査イベントだというのに、ステージ上にはジャズバンドの機材がセッティングされ、ライブ会場としか思えない異例の雰囲気のなか、
JAXA公認「はやぶさ」公式アルバム『Lullaby Of Muses』で御馴染のジャズピアニスト甲斐恵美子さんとバンド「Jazz Odyssey」が登場!
それも、実際に「はやぶさ」を打ち上げたM-Vロケット5号機のカウントダウン音声と共にミュージシャンがステージに現れ、カウントゼロでリフトオフの爆音と共に演奏を始めるという凝った演出だ。
これは、かなり格好いいライブです!

アルバム『Lullaby Of Muses』の収録曲から選りすぐった数曲が演奏され、「はやぶさ」の帰還を祈る名曲「Back to my arms」でライブは締め括られた。
ステージ脇のスクリーンに映し出される「小惑星探査機 はやぶさの物語:祈り」の名シーンに乗せて「Back to my arms」を聴いていると、つい目頭が熱くなってしまった。

続いて土居裕子さんが登場。
音楽座のミュージカル「マドモアゼル・モーツァルト」以来の土居さんのファンである友人Kは大興奮。
月周回衛星「かぐや」をテーマにしたステージで、土居さんの澄み切った歌声が「かぐや」のハイビジョンカメラが捉えた数々の映像とマッチングする美しいライブだった。



ライブ終了後、一旦休憩。
「第2部 宇宙探査、構想から実演へ Are you ready to go?」へ。
開会の挨拶は、「はやぶさ」プロジェクトマネージャでありJSPEC プログラムディレクタである川口淳一郎先生。
「宇宙開発は文化である」、また第1部のライブを挙げて「JAXAと文化のコラボレーション」であると。「かぐや」の満地球映像は印象的であるということから、無人探査と有人探査の関係。
そして「今日は、JRの寝台特急はやぶさが消えた日です」と言及されたのが印象的。宇宙船「はやぶさ」のプロマネも、やはり名前の由縁となったブルートレインのことを気に掛けていて下さったかと思うと嬉しかった。

次いで、
「今後の探査への期待」としてNHK解説委員の室山哲也さん。
友人K曰く「流石テレビの人。解説が上手い。」
人間の冒険心=知的好奇心について。
かぐやのハイビジョン映像について「(月はそうなっていることを)知ってはいたが、実際に見たらびっくりした!」という国立天文台の先生の感想の紹介。
「はやぶさに感情移入するというのは、人間ならでは」とのこと。僕もそう思います。

月・惑星探査プログラムグループ助教の大竹真紀子先生による「月探査計画について」
大竹先生によると「月はパラダイス。何故ならサンプルが残ってるから」

ここで「はやぶさ」プロジェクトの吉川真先生が登場。
「小天体探査計画について」
ここでもいきなり、ブルートレイン「はやぶさ」の紹介。川口プロマネといい、宇宙科学研究本部「はやぶさチーム」のメンバーがブルートレイン「はやぶさ」に思い入れがあるのは間違いないようですね!
吉川先生によると「今週は私が探査機はやぶさの運用当番なんだけど、今日は他の人に代わってもらいました」とのこと。
プログラム的探査について、はやぶさ―はやぶさ2―はやぶさマーク2(マルコポーロ)の説明。

「何故、太陽系の小天体を探査するか?」

キーワード1:科学(サイエンス)
太陽系及び生命の起源と進化を探る

キーワード2:スペースガード

キーワード3:宇宙資源
小天体は資源の宝庫(たぶん)

キーワード4:有人ミッション
アメリカでは既に、小惑星への有人探査が本格的に検討され始めている

キーワード5:技術(エンジニアリングテクノロジー)

そして
キーワード+α
「文化の創造」
「次世代の育成」
はやぶさのアウトリーチとしてのジャズアルバム『Lullaby Of Muses』やビデオ作品「小惑星探査機 はやぶさの物語:祈り」

ここで、全天周映像『HAYABUSA-BACK TO THE EARTH-』の予告編を初公開。


最後に「小天体探査は始まったばかり!」とのことでした。

小休憩を挟んで、「意見交換セッション ー探査活動の未来ー」
司会の山根一眞さん、突如「カーラジオからICレコーダで急遽録音した」という「はやぶさ」タッチダウン成功の第一報を伝えるNHKラジオのニュースを流すなど、とにかく素敵に熱い方。こういう人の話ってとにかく聞いてて面白いし、いつまでも話を聞いていたくなるんだよなぁ。

意見交換も熱く進む。

川口先生と山根さんのやりとり、「小惑星に有人探査に行けるか?」という山根さんの意見に対して川口先生は「お金はかかるが、目指すのは『知らないことを知りたい』ということ。無人でも有人でもゴールは同じ。未踏の地など、危険な場所にはロボットが行く」

土井隆雄宇宙飛行士の「ISSのロシアのモジュールは潜水艦、アメリカのモジュールは飛行機が基になっている印象」
「日本は優れた海洋造船技術を持っているので、これを航空宇宙技術と融合させて日本版の有人ロケットをつくろう。海洋探査と宇宙探査を融合させて日本版の有人宇宙探査をしよう」というプレゼは興味深かった。

会場のボルテージは上がり続け、「日本は“宇宙をやる”という旗印がない。これは政治家が文系で感性が薄くて宇宙を分かってないから」
ついには「もう土井宇宙飛行士に首相になってもらうしかない。土井新党の旗揚げだー!!(ここで満場一致の拍手!)」と総決起集会のノリになったところで時間終了、JAXA 月・惑星探査プログラムグループの主要メンバーが勢揃いして挨拶し閉幕となった。

「いや~…熱いイベントだった!!」


閉会後、ホワイエに並ぶ展示物を見る。「中華鍋」こと、御馴染「はやぶさ」のサンプル回収カプセル。

「マルコポーロ」のリーフレットが平積みになっていたので、JAXAのスタッフジャンパーを羽織ったスタッフに「あの~これ貰っていいですか?」と聞くと
「どうぞ持って行って下さい。あれ?ブルートレイン『はやぶさ』に乗って来られたんですか?」ジャケットの襟にこっそり付けていた車内限定販売の「はやぶさ・富士ヘッドマークピンバッヂ」を見つけられてしまった。
「あはは…見つかっちゃった。それにしても、よくブルートレイン「はやぶさ」のバッヂだって分かりましたねぇ!」やっぱりJAXAの中の人は、ブルートレイン「はやぶさ」の事を意識してるぞ、間違いない!
「宇宙研のはやぶさチームの方なんですか?お名前をお伺いしていいですか?」
「ええそうです。矢野といいます」ええーーー!?サンプラーホーンを担当された矢野創先生?
…矢野先生とタメで話してしまった。しかも先生、鉄道もお詳しいんですね。。。
気さくな好青年、という感じの素敵な方でした。

その後、会場から出てこられた吉川先生にもお会いして挨拶。
「先生、来年の6月にはオーストラリアまで『はやぶさ』の出迎えに行きたいんですけど、一般人もウーメラ砂漠に近づけるんですか?」
「ウーメラは軍事基地だから、軍事エリアの外でなら大丈夫だと思いますよ。大気圏に突入する回収カプセルが流れ星みたいに光って見える筈です。」
「そうですか!…でも、回収カプセルの後に『はやぶさ』本体も大気圏に突っ込んでくるんですよね…」
「そうです。きっと、回収カプセルよりもっと明るく輝くはずです」
先生、僕必ずオーストラリアに「はやぶさ」を迎えに行きますね!


こちら、完成したばかりという「はやぶさペーパークラフト」。
何とターゲットマーカやミネルヴァが可動式で取り外せるという怒涛のクオリティ!製作は勿論、「JAXAのペーパークラフト職人」にして「宇宙研のイケメン天文学者」阪本成一先生!
って、阪本先生、これ組立説明書もないし、メチャクチャ製作難易度高そうなんですけど…
しかも本体を支えてるのは、あの「ファイト一発」の公式ドリンクじゃないですか!素晴らし過ぎます。

おまけ画像

小惑星探査機「はやぶさ」の旅路を支えるイオンエンジン…

ではありません。これ実は、ブルートレイン「はやぶさ」のB寝台1人用個室「ソロ」室内、天井のエアコン吹き出し口。


ちなみにこれが「はやぶさ」のイオンエンジン(画像提供:JAXA)。
どう見ても同じ形をしています。こんなところに、意外な接点が…

だが今となってはもう二度と「ソロ」個室の天井を見上げることはできない。悲しい。


2 コメント

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お疲れ様でした (bbsawa)
2009-03-21 16:32:25
怒涛のレポート連載を楽しませていただきました。
個人的には、月はサンプルリターンよりも、詳細な地下構造解析や重力分布(月版GOCE)の解析を優先した方が、形成の謎に迫り易いと思います。
サンプルリターンはエネルギー的に、行って帰りやすい小惑星を狙うのが良いと思います。
3機編隊で行動して、それぞれ採取、撮影、中継と順番に分担すれば、CGじゃないタッチダウンシーンが見れます。
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さすがにちょっと疲れました(笑) (天燈茶房亭主mitsuto1976)
2009-03-22 04:04:46
bbsawaさん、おはようございます。
書きたいことが沢山あって、思うところも沢山あったので、激文長文レポートシリーズを書き連ねてしまいました。
目を通して下さってありがとうございます。

講演を聴く限りでは、月探査は「とにかく日本も先ずは有人で行ってみよう!」という感じです。
小惑星への有人探査にはちょっと惹かれますね。

CGじゃないタッチダウンシーンって、それじゃまさしくHAYABUSA-BACK TO THE EARTH-の実写版じゃないですか!そんな凄い映像見たら悶え死ぬ宇宙ファンが続出しますよ、僕も多分死にます(笑)
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