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“青蛙”に乗ってピカソを観に行く

2007年11月04日 | 博物館・美術館に行く
(写真:熊本県立美術館本館カフェテラスを望む)

熊本市の県立美術館に、ピカソが来ている。
ピカソ展-20世紀最大の巨匠- ルートヴィッヒ美術館コレクション熊本県立美術館
ドイツのケルンにあるルートヴィッヒ美術館(DBケルン駅と有名な世界遺産の大聖堂の脇にあるらしい)の収蔵品の日本巡回展の一環。
大規模なピカソ展を地元で観る機会は滅多にないので、早速土曜日の昼下がりに出掛けて来ました。

さて、会場の熊本県立美術館本館までは八代市近郊の僕の自宅からだとクルマで行けば小一時間で到着できるのだが、ご存知の通り今月に入って世界的な原油価格高騰に伴いガソリン代がバカ高くなっており、貴重なガソリンを浪費したくないので自宅から3キロ歩いて最寄のJR駅に向かい、鹿児島本線の普通列車で熊本市へと移動する。
いい運動になるし、何より環境にも優しいので自己満足ながら気分が良い。
そうだ、せっかくJR線に乗るのだから、ちょっと遠回りして熊本駅の一つ先の上熊本駅まで乗車して熊本電鉄に乗って県立美術館まで行こう。日本でここだけ、熊本電鉄の上熊本~北熊本間を走る、元・東急5000系電車に会いに行こう!

という訳で上熊本駅にやって来ました。
上熊本駅は現在、九州新幹線工事による高架線建設工事の真っ最中で駅舎も解体されプレハブの仮屋で営業中。
そのプレハブ小屋の隣に、熊本市電の上熊本停留所の屋根として移設された旧・上熊本駅駅舎の外壁が架けられている。

新幹線工事に伴い解体された旧・上熊本駅舎は夏目漱石が降り立った駅としても有名で、貴重な文化遺産であった為に解体を惜しむ声も多く地元では保存運動が展開され、その意向を受ける形で一部が市電停留所の屋根として「移設保存」された。
現在、かつての駅舎の正面側を再現するようなスタイルでの移設が完了しているが、あくまでも「屋根」としての移設なので中はがらんどうである。
まあ完全に消えて無くなるのに比べたらその姿を留めているだけマシであるが…観光資源として「漱石の街」を謳ってる割には素っ気無さ過ぎる対応である気がする。
高速鉄道乗り入れ工事に際し日本統治時代の和風駅舎を丸ごとジャッキアップして数十メートル“曳家”して保存した台湾の高雄駅や、
駅構内改装工事期間を大幅に延長してまで歴史ある駅舎を守った、ロンドンの間もなく国際特急ユーロスターが乗り入れるセント・パンクラス駅を見習ってほしいところ。


などとぼやいていると、アナログな警報鐘の音が鳴り響き、熊本電鉄の元・東急5000系電車がやって来た。

熊本電鉄上熊本駅に停車する、これが日本でここだけでしか会えない元・東急5000系。
昭和29年から製造され、その愛嬌のある下膨れの風貌から「青蛙」と呼ばれ親しまれた日本鉄道史上に残る名車である。航空機技術を活用したモノコックボディに最新鋭の制御システムを搭載した超ハイテク車輌として永らく首都圏の東急線で活躍したが、現在は南国熊本で余生を送る。


この青蛙は昭和32年生まれ。


航空機がルーツの流線型車体の先頭部には、コックピット。
ずらり並んだアナログなメカがカッコいい!!

さて、青蛙の車内は熊本で走るようになってからも東急時代と基本的に全く変わっていない。レトロな赤ビロード張りのロングシートに座ると、吊り革が妙に低い位置まで垂れ下がっているような…これは昭和29年当時の日本人の平均身長に合わせたんだろうなきっと。
そして、吊り革にはこんな広告が。

東急渋谷駅に乗り入れていた頃の名残りでしょうかね、東急百貨店。


そして百貨店には大食堂が付き物だったのだ。
嗚呼ノスタルジー、旧き良き昭和30年代。。。


それでも何でも昔が良かったかと云うとそうでもないようで…
この青蛙には冷房がないのだ。そして元ハイテク車輌の所以であるモノコックボディが災いして、冷房の後付工事も不可能。
特に記録的猛暑だった今年の夏は車内が異常な高温になり乗車するのも大変だったとか。
会社も謝ってますので大目に見てやって下さい。

発車時刻になると、青蛙は自分の車体側面に取り付けた発車ベルを鳴らしてガッタンゴットン走り出す。
車内は、明らかに「青蛙目当て」と思しき老夫婦の旅行者や家族連れでそこそこの乗車率。何だかんだ言って、熊本にも所謂「鉄道ブーム」の余波が到来しているのだろうか。
小学生の頃から孤独に鉄道少年やってた身(冗談でなく、ほんの数年前までは地方では鉄道趣味は壮絶にマイナーな趣味だったんですよ。本気で異端者としか見てもらえない位、肩身が狭かったw)としては同好の士が増えて嬉しいような、僕の「秘密の隠れ家」が見つけられてしまったようで口惜しいような。複雑…

青蛙は熊本市郊外の長閑な住宅地をガタゴトと行く。それでも唐突にトンネルを潜ったり(このトンネルの辺りは『かんかん坂』という不思議な地名で駅名にもなってるのだが、昔「妖怪かんかん」でも出たんだろうか)、原っぱの向こうに熊本城が見えたりと結構車窓を楽しめる。



揺られた低い吊り革をガチャガチャ網棚にぶつけながら9分程走って、菊池線と藤崎線の分岐駅北熊本駅に到着。
青蛙はここが終点。構内で昼寝をしていた兄弟蛙と並んで一休み。



北熊本駅構内にはこんな車輌の姿も。昭和11年生まれの古参、モハ71。営業運転はしないが、構内の入れ替えで今でも現役で働いている。
ちなみに一時期「昭和20年当時、広島にいて被爆したらしい」と言われていたが、実際には下関にいて難を逃れていた模様。
鉄道車輌に歴史あり。

北熊本で御代志からやってくる電車に乗り換えて、熊本市のターミナル駅藤崎宮前駅に到着。
ここから少し歩いて熊本城に登り、城内の植物園の先、芝生の二の丸広場を越えた先に熊本県立美術館本館がある。
ああ、やっと着きました!


早速チケットをもぎって貰いピカソ展の展示室に入ると、かなりの人出。やっぱりピカソは人気があるなあ。丁度、ボランティアスタッフによるギャラリー・ツアーが始まるところだったので参加して、解説を聴きながら観て回る。
ギャラリー・ツアーで一通り展示を観て回ってから、もう一度入り口に戻り再度じっくり鑑賞。

感想…ピカソは女性で作品を創った。このひと言に尽きるんじゃないでしょうか?
ピカソ自身が好んで描いたといい、今回の会場でも多数の作品が展示されていた「ミノタウロス」。醜悪で凶暴で姦淫に耽り、それでいて時に弱さや安らぎを見せるモチーフとしてのこの怪物こそ、まさにピカソそのものだったのではないかと…
いや、素人の知ったかぶりの意見なんで、詳しい人が聞いたら噴飯ものの恥ずかしい感想でしょうけどね。ちょっと書いてみました。

数時間ゆっくりとピカソの強烈な世界を堪能して、かなり満足。
熊本城を降りて繁華街へ向かい、久し振りに大型書店をはしご。
年末年始に予定しているバルカン東欧旅行の資料を、と思って探すが、クロアチア語の指差し会話ガイドを見つけた以外は特に収穫無し。御馴染み「歩き方ガイド」の旧ユーゴ諸国編が出ると聞いたが、出版は来年になるらしい。
鉄道をテーマに特集を組んだデザイン専門誌を立ち読みして(最近ホント多方面で鉄道モノが流行ってるなぁ)、通町筋電停から路面電車に乗って帰る。先月から運賃が150円均一になったので便利!


熊本駅前に着いたら、超低床電車が停まっていた。
今日観たピカソ展の作品を収蔵するルートヴィッヒ美術館のあるドイツのケルンにも、この車輌と同じ超低床電車のトラムが走り回っていた筈だ。
熊本の秋の夕暮れ空に、ほんの少しだけヨーロッパの精神文化の風が吹いたような気がする一日だった。
たまにはこんな日もいいね。



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