水川青話

時事ネタやエンタテインメント系の話題を寸評。タイトルは、勝海舟の「氷川清話」のもじりです。

・閉会式のロンドン紹介ビデオにとんでもない映像が

2008-08-25 12:36:52 | ニュースあれこれ
オリンピック的なものを手放しで歓迎しない、自国PR的なものもめったなことでは誉めない。それが私の思う現代イギリス人気質だと思うのだけど、それをさっぴいても、昨夜のオリンピック閉会式での「ロンドン紹介の8分」は、酷評されてますなあ。BBCの掲示板などで。

それを眺めていて知ったのが表題。私は気づかなかったのだけど、ロンドンのボリス・ジョンソン市長がしゃべってる後ろで、とんでもない映像が流れていたのだそうな。

マイラ・ヒンドリー、と言ってもピンとくる日本人は少ないと思うのですが。1960年代に恋人と一緒になって子供5人を誘拐・性的虐待・殺害して原野に埋めた、戦後イギリスにおける「悪」の代名詞みたいな人。

言うなれば、東京五輪開催に向けての東京紹介ビデオで、石原知事の背後に宮崎勤の映像が流れるようなもので。

マイラ・ヒンドリーの場合、女が子供を立て続けに殺したということと、見た目がそんなに悪くない金髪の若い女だったということと、恋人と一緒になっての共犯だったということで、「アンチ母性」みたいのをキーワードに、パンクカルチャーやアンチカルチャーのモチーフ化しているのが、ちょっと宮崎勤とは違うかな。

あるいは、京極夏彦的な解釈をすれば、「子殺しの女」というモチーフから、「アンチ母性」のメタファーとしての「妖怪」的な存在になっているというか。

「阿部定」というひとりの女性の名前が、もはや「殺すほど愛している」という激しい情念の象徴として一人歩きしているように。

ひとりの人間が、その行為があまりに社会に衝撃を与えたために、人間ではなく象徴・モチーフ・メタファー・妖怪として、イメージが一人歩きするようになるという、古今東西よくある現象のひとつが、マイラ・ヒンドリーなわけです。

ロンドン紹介ビデオに挿入された写真も、彼女の逮捕写真そのものではなく、それをもとに描かれた絵で。無数の子供の手形を重ねてマイラ・ヒンドリーの写真を複製した「アート」なのだけれども,当然のことながら97年に公開されるやとんでもない非難の嵐を浴びたという。

そんないわくつきのものが、なんでまた。

「担当者を首にしろ」とダウニング街も怒ってるそうだけど、「中国政府的な言論統制への反発」「イギリスは中国とは違うという反抗」のあらわれだと、これまたパンキッシュな感じの擁護論が一部で起きていているのも、これまたイギリス的だなあ、と。


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