水川青話 by Yuko Kato

時事ネタやエンタテインメントなどの話題を。タイトルは勝海舟の「氷川清話」のもじりです。

・逆「薮の中」だった「ニュートロン・クリーム」とペグペグが教えてくれた「本当の彼」

2013-05-11 21:39:27 | BBC「SHERLOCK」&Benedict Cumberbatch

 Star Trek Into Darknessのイギリス公開とアメリカ公開に併せて、キャストが連日連夜あちこちでインタビューを受けています。その中で出てきた、「はあ!?」な爆笑裏話のひとつが「ニュートロン・クリーム」。芥川の「藪の中」と逆で、語る3人(ベネディクトとクリスとサイモン)の三者三様の話が見事に一貫して、次第にひとつの起承転結が成立していったのに、私は思わず爆笑しながら感動。なので今さらですが、まとめてみます。

(5/24追記あり)(5/27も追記あり……なにをわざわざ)

1. この「ニュートロン・クリーム」の話がファンの間で広く認知されるようになった最初は、5月2日夜収録のグレアム・ノートン・ショウではないかと。ロンドン・プレミアの直後に収録され、翌日放送されました。

すでにこちらのブログ記事でも書きましたが、あのときベネディクトとクリスはこのようにやりとりしていました(前の記事からのコピペです)。

グ「でも実際には、クリスの方が君にマインドゲームを仕掛けてたんだって?」

ベ「ああ、そう、すごいのがひとつあって」
グ「大マヌケなザマをさらしちゃったそうで(made you look like a moron)」
ベ「NIFっていうすごいところにいたんですよ。国立点火施設。カリフォルニア北部の。まったくスター・トレックそのもの。レーザーを発射するためのところで。人間の髪の毛の半分の幅しかないターゲットをレーザーで当てようとしてる施設なんです。もし成功すれば、そこの人たちは『すれば』じゃなくて『成功した時には』って言いたがるけど、無尽蔵のエネルギー源が作れるんです。で、ともかくそこに行って、『わあ、すごい。これこそ本物だ』って僕は思ってる。もうその時点ですでに『はい、わかりました。どれに触っちゃいけないんですか』『大丈夫、そこは歩いても大丈夫ですよ。立ち入り区域は仕切ってあるから。安全です』とかそういう感じになってるわけです。でJ・J・に新しく台本を1ページ渡されて……というか、僕はいま言い訳をしてるわけなんだけど、つまり僕が到着する前、うんまず僕の側から話しますね。次に彼が補足するから。僕がセット入りすると『中性子(ニュートロン)クリーム』を塗るよう言われたんです」
グ「中性子クリーム? なるほど、そうか、中性子クリームだよ」
ベ「ここはアメリカだし。安全が大事で。いま自分がいるところは実質、巨大な実験室なわけで。僕は実に素直に信じちゃったんだ。はいわかりましたって、言われた通りにしたんですよ。なので、中性子クリームをつけたと」
ク「で、中性子クリームを塗る時はって僕とサイモンが、というかこれは僕というよりはもっぱらサイモンのやったことなんだけど、中性子クリームは顔にポツッポツッて点々で塗らなきゃダメなんだって指示したんです。なのでベネディクトったら、すごい激しい凶悪な悪役として出てきて、その辺を歩き回ってた。顔中に日焼け止めをポツッポツッって塗ったまま。それで、体についた中性子を落とすには、中性子クリームを塗るだけじゃなくて、ぴょんぴょん跳んで全身を振らなきゃダメだって言う話もしたんです」
キム・キャトラル「よくできてるわね!」
ベ「そう。いまごろ僕の科学の先生はこれを見ながら『それ見ろ。だから言わんこっちゃない』って言ってるね。演劇にうつつを抜かしてないでもっと授業を聴いてればよかった。でも実際、本当によく仕込んであって。その現場にいた、巨体でマッチョで股をがりがり掻いたり唾をペッて吐いたりするような、いやそれよりはずっとみんな紳士だったけど、イメージを伝えたくて、そういういかにもなむくつけきアメリカ男なグリップ(特機担当)さえ、『さあみんな、時間ですよ。身体を振って』って合図がかかると、その彼さえぴょんぴょんジャンプして身体を揺すってたんだ。なので、もう完全にしてやられましたよ、まったく」



↓ 

2. 次にこの話をベネディクトがするのを私が観たのは、5月8日に公開されたこのGoogle Playによるインタビュー。(4月半ばくらいから#AskBenedictというハッシュタグなどでファンから質問を募っていたものですね。といっても誰かさんの話が例によって長いので、質問の数は少しだったけど)。

この中でベネディクトはこのように——。

……っとその前に。"They wanted to know your favourite fruit."(好きな果物を知りたいって)と言われて、"That's really close to the skin"(意訳:核心をついてくるね。直訳:皮ギリギリだね)と答えた後に"Terrible, terrible, terrible, terrible joke"と苦笑する彼。えーと……jokeだと言われるまでjokeのつもりだったと気づかなかったす(大苦笑)。

……という余談はおいて。「歯ブラシの色は?」には「僕が夜と朝になにで歯をきれいにしてるのか、そこまで想像されるとなると、ちょっと心配だ」とも。

……という余談もおいて。問題のニュートロン・クリームはビデオ開始9:25ごろからです。私のコメントは【カッコで】入れてます。

There was a very big prank played on me, which by now is probably common knowledge, this whole photon cream thing. Basically, we got to NIF which is this place, that IS sci-fi, it actually exists, and Ed Moses who runs it is the first person I've ever met who's yet to win a Nobel Prize but will. And rather like his aims, it's a question of when, not if at NIF, that's my little catchphrase (laughs). It's called the National Ignition Facility; it's in Livermore, California, near San Francisco. And we had to have quite a high level of security clearance to get on to it to film there. It was a miracle we were actually there. We were in sci-fi land as sci-fi characters, and the trade-off between people who work in this facility and us was a beautiful, beautiful thing. But in amongst all of that you're in a building which fires lasers around plant-sized, chemical plant-sized industrial complex to a point that is half the breadth of human hair, of hydrogen, and the idea is that by fusing hydrogen in that moment, the only offshot would be water and the most extraordinary amount of energy. So it's a pure, unpolluting and incredibly efficient form of producing energy. When it's going to happen, when it actually happens, when it will work, I do believe it will, I hope to God it will.

とても大掛かりないたずらを、やられたんです。今頃もう周知の事実になってるんだろうけど。例のフォトン(光子)クリームの話。
【光子?(みつこにあらず。こうし)中性子じゃなくて?】

つまり僕たちはNIFっていうところに行ったんです。そこは完全にSFなところで。実際にある。トップのエド・モーゼスは、まだノーベル賞をとってないけど今後必ずとるっていう、そういう人と会うのは僕は初めてで。彼のノーベル賞もそうなんですが、NIFでの目的は「if(もしかして)」じゃなくて「when(いつ)」の問題で、だから「when, not if, at NIF」って僕がちょっと作ったキャッチフレーズなんですけど(笑)。NIFはNational Ignition Facility(国立点火施設)という名前で、カリフォルニア州リヴァモアにある。サンフランシスコの近く。そこで撮影するには、かなり高いレベルのセキュリティチェックを通らなきゃならなかった。実際、僕たちがそこにいられたこと自体、奇跡でした。SFのキャラクターとしてSFそのものの場所にいて。そこで働く人たちと僕たちとの間のやりとりは本当に素晴らしい、素晴らしいもので。だけどそうは言っても自分たちがいるその建物では、工業施設、化学工場なみの大きさの巨大施設の中でレーザー光線を発射して、人毛の半分の幅しかない水素のターゲットに当てようとしている。レーザーをあてたその瞬間に水素を核融合させれば、そこで発生するのは水と、膨大な量のエネルギーのみというのが、発想です。つまり実に純粋でゴミも無駄もない、効率的なエネルギー製造方法なんです。成功すれば、実際に成功すれば、成功した時、成功すると思うんだ。本当にうまくいって欲しい。

And so anyway, that's the context for now me telling you a story about an actor who's played Stephen Hawking, Oppenheimer, Joseph Hooke -- who's admittedly a botanist but still a scientist who's got his brain on as opposed to his bad on -- and got completely gulled by Simon Pegg and Chris Pine who convinced me along with the collusion of the entire crew in quite a creepy way, it was a bit, sort of you know, Bodysnatcher-ish, everyone was doing it, like what's going on?

だからそういう前提を踏まえて今から、スティーブン・ホーキングとオッペンハイマーとジョセフ・フックを演じたことのある俳優が……フックは確かに植物学者だけどそれでも科学者で、頭のいい人なわけです。(ハリソンのような)悪役じゃなく。そういう俳優が、サイモン・ペッグとクリス・パインにいかに完璧に騙されたかを、今から話します。ふたりはスタッフ全員を巻き込んで、しかもかなり不気味なほど。なんていうか「ボディスナッチャー」的にみんな同じことをしてて、なんだこりゃ?みたいな感じで、みんなを巻き込んで、おかげで僕はすっかり騙されてしまった。
【「Copenhagen」好きとしては、ここでHeisenbergの名前をあげてくれなかったのは残念。核融合の話をしてるんだし】

Uh, photon cream. So you put photon cream on in dots around your face. You don't need to rub it in, you just put it in dots around your face. I thought it's something to do with the flows of certain things, whether it be..., you know, your temples do conduct an awful lot of your thermostatic, you know, monitoring, I mean, altering of your body temperatures...like tricked it to put icecubes on your wrists to cool you down, likewise your forehead.... And, uh, I thought yeah, no, that makes sense. Pressure points, they're very integral to your systems workings. And also, J.J. had just given me like a huge page of dialogue I had to say at speed, I was running through corridors, I was getting a phaser out... being all action man-y and talking at million miles an hour not unlike another character I've played, but it was given to me at 8 o'clock in the morning and I was doing it half an hour later, so I was in the real world of wow, wow, wow, wow -- and then this photon thing was laid on me. And I was told you had to shake the neutrons off as well, you had to do that to shake the neutrons off. Neutrons? What do you mean, neutrons? Elements of an atom... I don't really, what? Uh…. Anyway, I'll do it. And the most burly kind of, crotch-grabbing, spitoon-spitting, yeehaw Americana I've-just-gotten-off-my-horse kind of, most manly grip I've met who was like (deep voice) "All right, Benedict." You know he was like sort of Lee Marvin. Even he was, when Tommy Gormley, our first (AD) said, "OK, everybody, just shake, shake the neutrons off, shake the protons off," and he was doing it (shakes as the grip), "Yeah, yeah, shake 'em off, shake 'em off." And Chris was going, "Aaah, I don't feel too good. I've got a bit of a headache." And Simon was going, "Yeah, me, too. I'm starting to...is it really safe to be here?" "I don't know."

えーと、光子クリーム。【ここ、妙にハキハキと】光子クリームは顔に、点々でつけるんです。すり込まなくていい。ただ顔に点々でつける。何かこう、色んなものの流れと関係するのかなって思って。たとえばほら、こめかみっていうのは自分の体温のいろんなことに関係してて、モニターっていうか体温調節っていうか、手首に氷をつけると勘違いして涼しく感じるとか、おでこもそうだし……。それで、だから、うんと、いや、それもそうだなって思ったんですよ。ツボっていうのは、体の仕組みの要だから。それにその朝、J.J.に大量の台詞を新しく渡されたばっかりで。速く言わなきゃならない。廊下を走りながら、フェーザーを取り出しながら、アクションっぽくしながら、超高速でしゃべらなきゃならなくて。僕がやってる別のキャラクターに似てなくもない感じで。でもその台詞をもらったのは朝の8時で、30分後にはもうやらなきゃならなかった。だから実際の世界でも僕はもう、うわあうわあうわあうわあみたいな感じになってて。その状態で、その光子がどうのってのをやられたんです。中性子も振り落とさなきゃならないって言われて。中性子? 中性子ってどういうこと? 原子を構成する……よく分からない、えっと、え? えーと。まあいいや、分かったやるよって。それで、こんなたくましい、股ぐらをつかんでペッて唾を吐いたりするような、「いま馬から下りてきたばかりだぜ」的ないかにもアメリカンだぜみたいな、そんな男らしい人見たことないよって感じの特機(グリップ)担当も、いつもこう(低いしわがれ声で)「やあ、ベネディクト」みたいな感じの、わかるでしょリー・マーヴィンみたいな感じのその人も、第1ADのトミー・ゴームリーが「はいみんなー、体を振って振って振って、中性子を落として、陽子も落として~」って言えば、そのグリップの彼も(低いしわがれ声のアメリカ発音で)「そうだ、振り落として、振り落として」って。おまけにクリスは「あああ、気分が悪くなってきた。頭がちょっと痛いよ」って言いだすし。サイモンも「僕もなんだ。なんだか……ほんとにここにいて大丈夫なのかな?」「どうなんだろう?」って。

 

And at lunch time, we were all given this thing to sign, and that was supposed to be the moment by which -- we'd done the shake-down and the cream about three or four times in the morning, and that was the moment I was supposed to read this disclaimer and see what it said. I didn't. I was just, I was so --- considering Gormley had just had his birthday the day before and he was a bit hung-over, big day, lots of action to get through, bit of a bwaaaa, you know. Tense moment. I thought, Christ, the guy's getting really angry. I thought I was going to get thrown off the set unless we signed this thing. I said, "I'll just sign it!" And J.J. kept coming up to me and going "...!" (sharp intake of breath and makes I-want-say-something-to-you-but-I-can't gestures) and that's all he can do. He literally goes (starts-to-say-something-but-covers-his -mouth-and-looks-away gestures). And other people would sort of come up to me; one AD, I turned to him and said, "My signature's terrible, should I put, I got to, I got to put capital letters for my name?" and he said, "Yeah...." (looks away laughing) and walked away. I was like (stares, offended), "That's charming, I was just trying to be helpful, what's funny about that?"

それで昼になったら、みんなこれにサインしてっていうのを渡されたんです。本当はまさにその時に……。午前中に体を振るのとクリームのをもう3~4回やった後だったから、だからこの時その免責文書を僕が読んで内容を確認するはずだったんです。でも僕は読まなかった。僕はあまりに……。というのもこのとき、ゴームリーは前の日が誕生日でちょっと二日酔い気味だった。この日は大事な日で。アクション場面をたくさんこなさなきゃならなくて、もう色々がグワアアって感じで。ね、緊迫してたんです。僕にしてみたら、うわあ、こいつすごいキレそうだ。これにサインしなきゃセットから放り出されちゃうかもって。だから「わかった、サインする!」ってなって。そしたらJ.J.が何度も僕のところにやってきて、こう「……!」って(何かを言いかけて息を吸っては、口を手で覆って顔をそらすジェスチャーを繰り返す)。それしかできないんですよ。本当にまさにこうやって「……!」って(同じジェスチャー)。ほかの人たちも僕のところにやってきては……。ADのひとりなんかは、僕が「僕の手書きはひどいから。名前のところは大文字で書いた方がいいのかなあ」って言うと、そいつは「ああ……」って(笑いながら目をそらす演技)そのままどっかへ行っちゃった。僕はそれで(「何だお前」的表情で目を見張り、憮然と)「ずいぶんだなあ。協力しようとしてるのに、なにがおかしいんだよ」って。

And then, later in the afternoon, they finally let it go when we were near wrap. And Simon was given it to read out. I don't know if he did it on purpose but he did a really bad job of it and J.J. said, "Oh for god's sake, give it to the theatre actor, give it to the Olivier Award winner." So I picked it up and looked at it, and went (clears throat), I did my best high and proud, puffed cheeked and chested kind of oratory stance and announced, "I, actor in Star Trek Into Darkness, henceforth known as the H.H. project in the National Ignifition Facility, hereafter known as NIF, do hereby say that I am fully aware that neutron cream is totally useless... what!?" And the whole crew just went WAAAAAH, just crying. I've never ever heard laughter like that. It went on for like five minutes and I was standing there just laughing and laughing and crying out of sheer embarrassment, and also joy. It was a very nice moment. You know, they knew they could do that to me and that I'd take it in good faith and it was very much what the whole thing was about. Great fun.

それで午後になって、撮影終了の間際にやっとネタばらしをしたんだ。まずサイモンが読み上げる役だった。わざとだったのか分からないけど、すごく下手で。そしたらJ.J.が(J.J.の真似で)「ああもういい加減に。ほら、この舞台役者にやらせなよ、このオリヴィエ賞受賞俳優に」って。だから僕がそれを手にして、見て、それで(咳払い)自分にできる最高の堂々とした、わかるでしょ、頬を膨らませて胸を張って朗々と読み上げたわけですよ。「こちらNIFと呼ばれるこの国立点火施設で行なわれた、今後は『H.H.計画』と呼ばれるこの『スター・トレック イントゥ・ダークネス』に出演する俳優であるこのわたくしは、ここに宣言するものであります。中性子クリームはまったく何の役にも立たないと充分承知しており……なんだって!?」って。それでそこにいた関係者全員、ウワアアアアアアって。涙流して。あんな笑い声、聞いたことない。5分くらいずっと続いて、僕もそこに突っ立って、ひたすら笑って笑って、泣いて。恥ずかしくて。それから、嬉しくて。とってもステキなことだったから。僕がそうやって受けて喜ぶって、みんな、僕にそういうことをやっても大丈夫だって分かってるからやったことで。つまりそれが目的だったわけですよ。最高に面白かった。


これを聞いてインタビュアーが笑いながら「DVDに収録されるって言ってくださいよ」と言うと、ベネディクトは「そうだといいな。そうなると思います(I hope it will. I think it will.)」って。「そうなんじゃないかなって気がしてる。この話にはまだ続きがあるし」って。あるんか!

それにしても、さりげないんだけど、たくましいグリップの人だけでなく、クリスのもJ.J.のもサイモンのも声音を微妙に似せている。クリスのとか、短いけどうまいと思うんだな。そういう声音の真似とかを半ば本能的にやる人なんだなと思いきや、トミー・ゴームリーのは似てない。前作DVDのメイキングにもたくさん登場する彼はグラスゴー出身のスコティッシュなまりなんだけど、なぜかそこだけ似せていない。なぜだ?(いや、似せなくていいんだけど、別に……と思ってたら! いま聞き直してたら、あ! ちゃんとスコティッシュぽい発音にしていた! 昨日は私が聞き取れてなかったでけでした。ごめん、ベネディクト。物まね大王)



3. 脱線したので戻します。さてこの話を、仕掛けた張本人のサイモン・ペッグが何と語っていたか。

これはアメリカのネットワークテレビ局ABCで深夜にやっているトーク番組「The Jimmy Kimmel Live」でのこと。

ペグペグ兄貴いわく(ぶっきらぼうな文章になってるのは要点にとどめたいからです。これでも。サイモンがぶっきらぼうに話してるからではなく)——

・撮影中の5月のある日、メーク室でクリス・パインと一緒で、クリスに「ニュートロン・クリームつけてるよね」と声をかけた。クリスが「何それ?」と言うので、空気中の放射能で日焼けみたいになるから特別なクリームを塗る必要があるんだよって教えてあげた。クリスは「へえ、そうなんだ」と言うから2時間くらいはその調子で騙し続けてたんだけど、最後に「トカゲに変身しちゃう」って言ったせいで、バレちゃった。

・そこで2人で、これは面白いからじゃあチェコフ役のアントンをひっかけようってことになった。アントンは半日くらい信じてた。そのころにはもうメーク係が何人か巻き込まれていて、小さな容器に「ニュートロン(中性子)クリーム」を作り始めていた。

・ベネディクトがセットに到着したのは3日後。そのころにはもう「みーーんんな」がこのネタを知ってたので、第1ADが30分おきにスタッフ全員に全身をシェイクをさせてた。イオンを指とかから振り落とすために。そのころにはもう小道具担当に至っては、「ニュートロン・ガム」を作ってた。しかもパッケージ入りで。

・そんなところにベネディクトがやってきたので、顔に中性子クリームを点々でつけなきゃいけないんだよって僕が教えてやった。J.J.は真顔でいられないからってすごく嫌がってた。ベネディクトのその日の場面は長い、状況説明の台詞で、しゃべりながら歩かなきゃならなくて、2つのことを同時にするのは俳優にとって難しいことなんで、何度もNGを出していた。そのせいで、昼食の時間になるとベネディクトはさかんに「何度も間違ってごめん」と謝ってた。「疲れてたからだと思う。あと、空気中のイオンのせいだと思う」って。もうとことん信じ切ってて、しまいには頭が痛いとか言いだす始末。

・クリスと僕は、そろそろ最後のオチが必要だって思ったので、「わたくしベネディクト・カンバーバッチは、このクリームを塗布しなくてはならないことに同意します。さらに、このクリームが完全にでっちあげだということも承知しています。私は大バカです(I am an idiot)」とか書いてある文書を作った。その用紙を渡された彼は、中身を読んで、あろうことかサインしたんだ! それで製作に返したんだ。じゃあどうすりゃいいんだってことになったんで、その日の終わりに僕がみんなの前でその文書を読むことにした。第1ADのトミーに、そう仕向けるよう頼んで。そうしたらJ.J.が「ベネディクト、君が読んでよ」って指示したんだ。彼はものすごい声の持ち主だから。

・なのでベネディクトが堂々と読み始めた。「わたくし、ベネディクト・カンバーバッチは……」って。それで「I am an idiot」のところまで読んで、「……WHAT!?」って。


 
——ね? 仕掛けたサイモン、乗っかったクリス、ひっかかったベネディクトの三者三様の話がきちんと整合して一致してるじゃないですか。一致しただけでなく、より立体的に物語が浮かび上がったじゃないですか。まさに逆「薮の中」。素晴らしいチームワークだ、君たち。


5/24追記。「中性子クリーム」さらに。

 Yuko Kato @mizukawaseiwa 5月16日夜

あ!ジミー・キメル、クリスに「サイモンから聞いたよ」と「中性子クリーム」の話を振った!wwwww クリスがまた繰り返してるwwww

 Yuko Kato @mizukawaseiwa 

クリス、「中性子クリーム」についてジミー・キメルで。「俳優たちをからかおうとあれほどスタッフが団結するのを見たことがない」とw「ベネディクトはあんなに真面目で威厳があって、アクセントとか声とか。それですごく真剣にJ.J.にあれはどうだこうだと相談しにいく(ここ、イギリス発音の真似)」→

 Yuko Kato @mizukawaseiwa 

→「J.J.に大真面目に相談してるんだけど、その顔にはものすごく大きい点々でクリームがついてるんだ。J.J.は僕のとこに来て『I hate you...』って」www J.J.吹き出してしまうのをこらえるの大変だったのねwww

 

 Simon Pegg @simonpegg 5月18日

Me and Cumbersbumberswumbers wearing neutron cream. Before we told him it wasn't real. 
twitpic.com/crdnqp 
#intodarkness

 
(まだ「本物じゃない」って教える前の写真! あはははははっはははは!)
 
そして23日に外交専門誌ForeignPolicyまで中性子クリームの話題をw The new StarTrek got to film at a secret U.S. nuclear laser facility  この記事によると、ジョン・チョーとカール・アーバンもペグペグに騙されていたと……wwww

5/27
 
 
サイモンよ……www 「注意! 当施設内では必ず中性子クリーム使用のこと」と。


切り口は違いますが、サイモンのベネディクトいじりといえばもう一つこちら。英ITN「The Showbiz 411」の公式動画より。こちらはサイモンのネタです。念のため。

「ベネディクト・カンバーバッチのそばにいるってどういう感じ?」と聞かれたサイモンが(3:23ごろから)「みんなが見てるベネディクトは、僕たちが知ってるベネディクトと少し違う。本当のベネディクトって言うのは」……と、ここから暴走開始。

・本当のベネディクトって言うのは、(アホの子の声で)『H, hello, I'm Benedict』って、そういう感じなんだ。とっても不格好で、体がうまく動かせないんだ。ダンスもできない。

【アリス・イヴが声を出すまいと我慢しながら爆笑しているのに注目】

・でも、いざカメラを向けたとたん、超セクシーで超頭のいいシャーロックになる。でも『カット!』って言ったとたん、(激しいアホの子のしゃべりで)『いまのどだった?』ってなる。周りは(困ったひそひそ声で)『ベネディクト……それ、よその人に見られちゃうよ……』って困るから、撮影が終わると彼を小部屋に連れて行ってずっとそこにいてもらうんだ。『いいよいいよベン、君はそこにいなさい』って言って、僕たちはご飯を食べにいっちゃうんだけど、彼はそこでずっと座って、おもちゃで遊んでる。ルービックキューブみたいな、でもずっと簡単な。6面じゃなくて4面の。だから女の子たちが大好きなベネディクトっていうのは、あれは幻想なんだよ。

・ベネディクトは家族をもちたがってるから女の子が夢中になるんじゃないか」と言いだしたアリスに、サイモン「なるほど。ベネディクトはそういうフェロモンを出してるのか」。そこでアリスが「クリスはそういうフェロモンを出してないと思う」と言ったせいでサイモン、

Chris wants to have lots of families(クリスは家族がいくつも欲しいんだ)」とズバリ。

なんかこれ、すごく変で。意味がわかるようなわからないような。すごい斜めからいきなり飛んできた言葉に虚をつかれるというか。何度聞いても爆笑するし、こうやって書いてるだけでなぜか爆笑してしまうし、アリスに至っては「……おしっこもらしそう……!」と。美人女優がwwww やーー、サイモンの笑いのセンス、相変わらず凄いなあと舌を巻いた一言がこれ。

さらにインタビューの記者(女性)はネタにせよ、自分が前にベネディクトに会ったとき「誘われなかったんですよ」と。そこでアリスが「あなたみたいなルックスでそれは意外だ」と言いだしたので、ではベンはいまひとりなのかどうかという話題に。そこでサイモン。

「I know him and Martin Freeman were tight for a while(マーティン・フリーマンとしばらくべったりだったのは知ってるけど)」


わはははははははは。ベグベグ兄貴、まったくいろんなこと分かっててそういうこと言ってるからなあ。最高っす。

ちなみに上で書き起こしたベネディクトの発言は、約16分半の取材の内の約5分間。つまり全部をベタッと転載したわけではないので、ご容赦を(権利関係で指摘されたらただちに対応します)。

 (ご注意:えと、まさかとは思うのですが、この最後のくだり、サイモンが言ってる「アホの子べネディクト」のくだりは、映像を見てもらえればわかると思うのですが、まったくのネタです! カメラが回ってないときのベネディクトがひとりで小部屋に残ってるわけでもなければ、彼をおいてみんな食事に行ってしまったわけでもありませんし、ベネディクトがアホしゃべりをしてるわけでもないです。これはサイモンのネタです!)

 

ジャンル:
ウェブログ
この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 5月10日(金)のつぶやき その3 | TOP | 5月11日(土)のつぶやき その1 »