風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

アメリカ大統領選(前編)

2016-11-08 00:57:18 | 時事放談
 アメリカ大統領選の投票がいよいよ現地時間の明日に迫った。ここに来て、FBIが私用メール問題でクリントン女史の訴追を求めない方針を明らかにするなど、二転三転どころか七転八倒、異様な盛り上がりを見せている。と言っても、もとより良い意味ではない。元外交官の宮家さんは、40年来、アメリカの大統領選を見て来たが、これほど酷いのは初めてだと溜息をついておられたが、まさに「Lesser of Two Evils」(どちらも酷いが、マシな方に投票するしかない、史上最も人気のない候補者同士の戦い)と冷めた声で語られる通りである。
 これまで、大統領選については、冷静に考えればクリントン大統領以外は考えられず、このブログでも、トランプ大統領は最大の地政学的リスク、などとアメリカの識者の自虐的なコメントを部分的に紹介したくらいで、まともに取り上げて来なかった。あのイギリスに続いて、あのアメリカで、ポピュリズムなどと軽々しく発言したくなかったからだが、トランプ現象を見る限り、ポピュリズムの要素はもはや認めざるを得ないのだろう。分厚いはずだった健全な中間層が分断され、現状に不満を抱く白人労働者階級がこれほど多く、あれほど品のないトランプ氏を(政策に対してと言うより単に抗議票として)支持しているとされる状況は、なんだか隔世の感がある。それと同時に、ポピュリズムを打破できないクリントン女史の不人気ぶりも特筆すべきなのだろう。
 実際に、クリントン女史については、私的メール・アカウント使用問題やクリントン財団の口利き疑惑のほか、ウォール街に甘過ぎるとか、(例えばTPPを巡って)選挙に勝つために意見を変えるとか、そのあたりの豹変ぶりについて、ロシア情報機関によるとされるハッキングを受けて流出した内部メールで表向きの公約とは正反対な本音が透けてみえるなど、人として信用ならない面が多々指摘されて来た。討論会では、周到に準備し過ぎて、まるで法廷に立つ検事のようだと形容する人がいて、はたと膝を叩いて同意したくなるが、本来は美徳のはずが彼女にかかっては偽善的になって(悪徳のはずのトランプ氏が却って正直に見えるほどで)逆効果に人の目に映じてしまうところが、如何にも彼女らしい。彼女が人々の心を掴めないのは、性別が女性だからではなく、女性カードを使い過ぎるからだという穿ったコメントまで出て来ては(しかも女性から、である)、返す言葉がない。
 全米の新聞のなかで、1紙をのぞき、ほぼ200紙がトランプ氏を批判し、そのうち、30紙がクリントン支持を社説に掲げたらしい。その典型は恐らく全国紙USA TODAYで、創刊以来初となる大統領選候補に対する態度表明を行い、トランプ氏に投票しないよう呼びかけたものの、クリントン女史も支持できないとしたらしいが、よく分かる。
 とまあ、何だかんだ言って、BREXITを選んだ国民投票と同様、今となってはどちらに転ぶか混沌としたアメリカ大統領選の行方に注目してしまうが、トランプ現象は結果であって原因ではない、つまり、クリントン女史とトランプ氏と、どちらが大統領に選ばれようが、内向きの孤立主義的な保護主義や大きな政府を志向する流れが衰えず、将来に禍根を残すことになりかねないとする見方こそ、本質的な問題なのだろう。
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