風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

ドイツと、日本と

2017-05-16 00:01:00 | 時事放談
 なんだか人を食ったようなタイトルで中身のよく分からないブログが続くが、書いている内容は大真面目のつもり。昨日、ドイツ国内で最大の人口を抱える西部ノルトライン・ウェストファーレン州議会選が実施され、即日開票の結果、メルケル首相が率いる保守系・キリスト教民主同盟(CDU)が国政の連立相手である中道左派・社会民主党(SPD)を抑えて第一党となった。メルケル首相にとって、今年に入ってから3月の西部ザールラントおよび今月7日の北部シュレスウィヒ・ホルシュタインの両州議会選に続いて3連勝となり、9月のドイツ連邦議会(下院)選挙(つまりは首相四選)に向けて大きな弾みになると報じられている。
 7日のフランス大統領選と言い、このドイツ州議会選と言い、BREXITを決めた英国が今後2年間で直面するであろう苦境や、トランプ大統領の如何にも気紛れで我が物顔の対応を目の当たりにして、良識が目覚めたと言うべきだろうか。とりわけ超大国(米国)の大統領たるものが自国第一主義を叫んで、北朝鮮や中国に対してすらディールを持ちかけ、この先、国際社会に何が起こるのか予断を許さず、人々をして不安に陥れていることの責任は重い。
 企業人の立場からすれば、トランプ大統領に、反オバマ以外に確固たるビジョンがないこと、国際政治の文脈で言えば、自国第一を言うばかりで、国際秩序観なるものが示されず、商売第一と言わんばかりで(あるいはディールに頼り)、自由や民主主義や法の支配といった価値観が置き去りにされているのが原因だろうと思う。と思っていたら、あるシンポジウムである学者が、アメリカ第一主義は何も今に始まったことではない、既にオバマ政権からそうだったと言う。確かに、シリアがレッド・ラインを超えれば実力行使も辞さないと息巻いておきながら、議会の反対にあうと尻尾を巻き、ロシアの裁定にお株を奪われてすっかり面目を失なったことがあったし、アメリカはもはや世界の警察官たり得ないと宣言して、世界の失望を買ったこともあった。そして生まれた力の空白を、覇権主義に目覚めたロシアと中国が埋めて来たのが、現在に至る世界だ。
 それでもまだオバマ前大統領には「核なき世界」という理念があった(とは言っても口先だけで、後に、今はまだ無理だと白状した)が、トランプ大統領には何もない。現実の国際政治は国益が衝突するところだと、言ってしまえばそれまでで、リアリズムは価値観など顧慮しないのもその通りだ(かつて共和党のニクソン元大統領はソ連に対抗するために共産主義・中国とも手を結んだ)が、超大国がその地位を守るためには、多少なりともノブレス・オブリージュの精神を尊重し、それなりに国際秩序に責任をもち、せめて国益と一致する範囲では国際秩序を積極的に守ろうとするものだし(実際のところアメリカは自由貿易から多大なる恩恵を受けているはずだが、トランプ大統領はそれすら理解しようとせず支離滅裂)、あからさまな力の行使をオブラートに包むために方便であろうとも価値を訴求する姿勢をアピールするものである。さもないと諸外国の支持を得られず、自ら超大国の地位を掘り崩すことになる。
 そしてそのシンポジウムでその学者が言うには、アイケンベリー教授の主張らしいが、今後の国際秩序はドイツと日本にかかっているという。なるほど・・・。習近平国家主席は、今日の「一帯一路」に関する国際協力サミットフォーラムでも「開放的な協力を堅持し、排他的にならず保護主義に反対しなければならない」などと主張したらしいが、中国に言われる筋合いはない。実際のところ、英国は後景に退いてしまい、米国も自分のことしか顧みない中で、メルケル首相と安倍首相は、自由で安定した国際秩序を守って行く上で、今や期待の星と言える存在かも知れない。
 それにしても、英国も米国もロシアも(一応、国民党の中華民国に代わる中国共産党も)、第二次世界大戦中は連合国(The United Nations)側の一員として、戦後は国連(The United Nations)安全保障理事会を牛耳ってまがりなりにも(長い冷戦構造があったとはいえ)国際秩序を守る立場にあったはずだったが、今やドイツと日本と言う、第二次世界大戦の敗戦国で、今なお国連憲章では敵国扱いされる国に頼ることになろうとは、何たる皮肉であろうか。日本は憲法前文で、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて」まではいいが、それに続いて「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意」して、戦争放棄と戦力不保持の憲法9条を押し戴いて来たのだが、何たる皮肉であろうか。
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