風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

もり蕎麦、かけ蕎麦

2017-06-18 13:34:09 | 時事放談
 最近はすっかりテレビを見なくなったので、ニュースのインパクトは専ら新聞紙の占有スペースや見出しの大小に頼るばかりなのだが(しかし紙は日経、補完する電子版は産経なので、かなり偏っているが 苦笑)、国会では「森」友学園に続いて「加計」学園の獣医学部新設問題でひとしきり盛りあがり、その通常国会が予定通りに閉会して、野党の憤懣やるかたないようだ。
 「もり」「かけ」問題が、所謂「政治とカネ」の問題ではないとすれば、安倍首相の知人だからという理由で便宜が図られたかどうかという(あるいは便宜を図られるために政治に近づいたのかどうかよく分からないが)脇の甘さは措いておいて、文科省の前・事務次官なる人物が今頃になって登場し、内閣府を通した政治の圧力、所謂「総理のご意向」によって、(公正・公平であるべき)行政のあり方が大きく捻じ曲げられたと告発した点が、「かけ」が「もり」とも違うところのようだ。「面従腹背」を座右の銘と公言するような人物を、私はとても信用できないが、それも措いておく。
 お陰で、受験のとき以来さほど馴染みがない単語の一つ「忖度」が俄かに脚光を浴びて、私のオフィスでも打合せの時にことさらに「忖度すると…」などと強調しては遊んでいるが、日本の社会では(日本の社会と言わず)ごく一般的な行動様式であろう。もっとも組織と言えども必ずしも一枚岩ではないのもまた一般的で、とりわけ日本最高峰の大学をご卒業あそばされたプライドの高い方々が(その分、国士としてのプライドも高いと信じたいが)牛耳る縦割り行政においては、むしろ「(総理を含む)大臣のご意向」のみならず「事務次官の~」といったハッタリが常態だと聞く。裏を返せば、虎の威を借りなければ動かないわけで、既得権益を守る勢力が根強いことは、安倍政権が4年以上経過しても成長戦略において目ぼしい成果を挙げていないことを思えば容易に想像できる。今回のケースで言えば、昭和41年の北里大学以降、50年にわたり、何度陳情を受けても、日本の大学に獣医学部が新設されて来なかったのは、質の確保も言われる通り必要だが、平成22年に宮崎県で発生した口蹄疫に対し、愛媛県の港に検疫態勢を取って四国への上陸を阻止したときほど獣医師が欲しかったことはないと回想する前・愛媛県知事の話を聞くにつけ、とても尋常とは思えない。それを、今回に限って、政治が行政を歪めたなどとは片腹痛いと、私なんぞはつい毒づきたくなる。おまけに国家戦略特区に絡む話だから、許認可権限をもつ文科省の思い通りに行かなかったところもあったのかも知れず、単なる恨み辛みに過ぎないのではないかと勘繰ってしまう。
 そもそも政治主導は1990年代以降、高度成長や冷戦構造が終焉しグローバル競争に晒されても一向に改革が進まず閉塞感に見舞われた政治・経済情勢の中で取り組まれてきた政治・行政改革の一つの大きな成果であり、2009年に政権交代を果たした民主党でも声高に叫ばれていたのが思い出される。
 メディア同士の立ち位置の違いから来る怨嗟の罵り会いに口を挟むつもりはないが、昨日の産経抄(電子版)が、かつて(平成22年9月)、尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に体当たりする事件があったときの他メディアの反応を引用していて興味深い。当時の民主党の菅直人内閣は海保が即日公開する予定だった衝突映像を隠蔽したため、海上保安官だった一色正春氏が義憤にかられ、映像をインターネットに流したとき、朝日社説は「政府や国会の意思に反することであり、許されない」と言い、毎日社説は「国家公務員が政権の方針と国会の判断に公然と異を唱えた『倒閣運動』でもある」と決め付けたという。それに引き換え、「菅内閣の『ご意向』に反する公務員はけしからんと説いた新聞が、今では文書を漏らした職員を英雄扱いして持ち上げている」(6月17日 産経電子版)と皮肉っている。
 「反安倍が社是」「安倍首相の葬儀はウチで出す」などと豪語する朝日新聞などのご都合主義に、今さら目くじらを立てるのも大人げないとは思うが、そうした「曇りガラス」によって、この問題の本質になかなか迫れないもどかしさと違和感は、やはり一言、言っておきたい。ついでながら、元官僚の高橋洋一氏によると、獣医師側の既得権をもつ麻生太郎氏らの政治勢力と、それを打ち破ろうとする安倍首相らの政治闘争の側面もあるというからややこしい(更に「反安倍」という意味では、2015年6月の閣議決定の際の担当大臣でもある石破茂氏も絡んでいるらしい)。野党はマスコミに乗じて国会で追及したわけだが、その野党にこの話を持ち込んだのは、高橋氏によると、自民党内の反安倍勢力だという。そのことの真偽のほどはよく分からないが、こうした政党内や政党間の足の引っ張り合いは世の常である程度は仕方ないにしても、いつも政局化する国会論議に対する不満は募る。いい加減、与野党の不毛な水掛け論はやめて、英国のように行政の逸脱を監視する第三者機関のような仕組みでも議論すればよいと思うのだが、そうなると野党もまた当事者となりかねないことから躊躇するのか、所詮は同じ穴のムジナなのかと、これまたゲスの勘繰りをしてしまう。
 「安倍一強」なる言葉は野党やメディアがつけた「レッテル」の一つで、少しでも驕っているように見えれば攻撃されて、安倍首相としても甚だ迷惑なのだろうが、責任の多くは、「安倍一強」を許す野党のだらしなさにあると私は思うし、世論調査もそれを裏付けている。政治家の皆様には、「安倍一強」の世論調査に一喜一憂することなく、従い足の引っ張り合いもたまにはいいが、いつもいがみ合うのではなく、また安倍外交の成果に、あるいは表面的な失業率低下や求人倍率や株価の上昇でアベノミクス「がんばってます」感が醸し出されていることに、満足することなく、本丸である規制改革で本質的な成果を出して、日本の力強い成長に道筋をつけて欲しいものである。
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