前記事では、タタの2000ドル車は日本の自動車メーカーにとって何が脅威なのか、を書いた。
若干分かりにくかったかもなのでまとめると・・・
・タタの2000ドル車自体は旧来のアーキテクチャであり、破壊的技術でもなんでもない。
すなわち、車業界の人から見れば、生産の立ち上がり、取引関係などは予測可能。
「見えない」恐怖はない。
・2000ドル車が売れるのは、日本車メーカーが車の購買層とは考えていなかったミドルクラス。
この層に、タタブランドが車のブランドとして普及するのが、10年単位で効いてくる脅威。
・でも一番の脅威は日本車メーカー自身の中にあり、それはコーポレートブランドの毀損と、ローエンド技術者がいないために競争力を持てず、実質この市場に参入できないこと
1.「家電化」とは新規参入が容易になる「モジュール化」
電気自動車が自動車業界に与える脅威については、各方面で色々議論されてるが、
最もよく言われるのが「自動車の家電化」だろう。
日本人は家電製品メーカーが競争が激しく、利益を出すのが難しく、サムスンなど新興メーカーに脅かされてるのを知ってるから、
この言葉だけでもピンと来て、脅威だと思ってしまう。
が、具体的に、これは何が脅威なのかを考えてみたい。
一番の脅威は、電気自動車化によって、アーキテクチャの変更・簡易化が起こることである。
基幹部品が電池やモーター、インバータなどの電気部品に置き換わり、部品点数が減る(注1)。
また、藤本隆宏氏が言う、日本の完成車メーカーの強みであった「すり合わせ」の要素が減り、
ボールドウィンの言う「モジュール化」−アーキテクチャに従って部品要素を分解し、分業しやすくなる−が起こる。
その結果として二つのことが起こる
a) 自動車組み立て(OEM)自体が分かりやすくなり、新規参入が起こりやすくなる。
b) 部品のブラックボックス化が起こりやすくなる。
すなわち家電製品に置き換えて考えれば、
a) アーキテクチャが容易で、誰でも組み立てに参入できるパソコンやデジタルカメラのようになる、
b) 組み立て自体に価値は無くなり、チップやレンズのような基幹部品を持つところが業界を先導する
自動車がこのような業界構造になってしまうだろう、というのを「家電化」と呼んでいると思われる。
2. 組み立て(OEM)への新規参入は脅威ではない
実際、米国Teslaなどをはじめとし、世界中のベンチャー企業が次々と電気自動車の組み立てに参入している。
パソコンやデジカメに次々新興国メーカーが参入していったように、
アーキテクチャの変更により、本当にOEMへの参入が容易になるのだろうか?
私は、参入自体が容易になる、というのは本当だと思うが、そこで競争力を持てるか、は別の話だと思う。
電気自動車が主流になろうとも、コスト削減、品質管理の徹底、などが組み立て生産の競争力の源泉となることは変わらない。
歴史を見ても、どんなにアーキテクチャの変更が起ころうが、「ドミナントデザイン」となった後の競争力の源泉はこの二つだ。
これはパソコンでも、デジカメでもそうである。
日本の完成車メーカーの強みはこのコスト削減、品質管理の能力とそれが可能なスタッフを育てる組織・文化、であり、
こういったところで優位性を失うとは思えない。
また組み立て製品が消費者向けなので、ブランド力も重要。
しかしながら、タタの主要セグメントである、「信頼性は低いが安い」セグメントに対しては、
これら、新たに参入したメーカーの製品がささる可能性はある。
でもそれは「ドミナントデザイン」が決まるまでの、一時的なものだろう。
(後で述べるが、これらの新興メーカーが部品メーカとして参入するほうがよほど怖い)
3.本当の脅威は部品メーカーに価値の源泉が移り、業界構造が変わること
それよりも大きな脅威は、b)部品メーカーに価値の源泉が移ってしまい、技術の主導権を握られること、ではないか。
例えば、パソコンの登場で、コンピューター会社からチップ(インテル)とソフトウェア(MS)に価値の源泉が移り、
チップとソフトウェアが実質業界の方向性を決める立場になったこと。
または、液晶テレビの登場で、テレビ組み立てメーカーからパネルメーカーに価値の源泉が移り、
パネルメーカーが実質業界の方向性を決めるような立場になったこと。
電気自動車の基幹部品である、電池やモーターなどは、完成車メーカーよりも、
デンソーなどの部品メーカーや、電機メーカーが強みを持っている部分だ。
この部品自体にも、新規参入が起こっており、それらに価値の源泉を持っていかれる脅威もある。
蓄積した技術だけでなく、技術者など人や、製品サイクルなどの業務慣行、文化といった要素も重要で、
これは完成車メーカーが一日にして変えられるものではない。
これらの基幹部品の主導権を、新興含め電機部品のメーカーに握られてしまうことが、一番の脅威ではないか、と思う。
これはハイブリッドの時にもすでに起こり始めている。
例えばトヨタは電池を共同開発したパナソニックとの合弁会社の資本を増強して、支配力を強め、
内製化を進めているけれど、主導権の保持はガソリン車ほどには容易ではなかったのではないか。
4.利益の殆どを持っていかれること
部品メーカーに価値の源泉が移る、ことの何が脅威なのか。
端的には、利益のほとんどを部品メーカーに持って行かれることである。
これがパソコンの業界で実際に起こったことであり、コンピュータ会社はただの組み立て屋となり、高い利益率を得るのが難しくなった。
代わりに、技術の方向性を牛耳っている部品メーカー(チップとソフト)が高利益率を得るようになった。
あるいは、液晶テレビで組み立てメーカが儲からなくなり、パネルメーカーが高利益を出しているのも似た構造だろう。
自動車の場合、「走る、曲がる、止まる」という物理要素が重要なので、
藤本先生的に言えばOEMの持つ「すり合わせ」の重要性は生き残り、パソコンほどひどい話にはならないかもしれないが、
以前ほどには儲からなくなる可能性はある。
5. 技術の発達が予測不能になり、戦略が狂わされること
もっと脅威なのが、技術の主導権を握れなくなることで、
技術がどのように進化するか、が予測できなくなることだ。
特に、電機系の技術の進化サイクルは、自動車の技術のサイクルより圧倒的に早い。
実際、電池などは完成車メーカーが考えている以上に、機能の進化が早い。
彼等が現在考えている生産計画や普及戦略を脅かす可能性は大いにあるだろう。
その結果、電気自動車は、「いつのまにか」「予想しなかったスピードで」ガソリン車市場を食っていく可能性は大いにある。
サーバとデスクトップPCがミニコンピュータの市場をいつの間にか食っていったようにね。
以上、まとめると、
・電気自動車は旧来のガソリン車のアーキテクチャを大幅に変更・簡易化する「破壊的技術」である
・これによって新規参入はしやすくなる。しかし新興メーカーが競争力を保持するのは難しく、組み立て部分で日本の完成車メーカーの優位性は変わらないだろう
・それよりも、電気部品が基幹になることで、価値の源泉を部品や電機メーカー、新興メーカーに奪われ、技術の主導権を奪われるのが脅威
・パソコンや液晶テレビのように、組み立てメーカーが利益率を出しにくくなるだけでなく、技術の発達を支配できなくなるのが脅威
ということでしょうか。
そういう意味で、タタのナノとは違った種類の脅威があると考えてます。
(追記)一概に「部品メーカーに価値を奪われる」と言うと語弊がありますね。
部品メーカーにとっても、電気自動車部品に置き換えられるような部品を作っているメーカーにとっては大きな脅威になります。
例えばエンジン、クラッチ、セットメーカーなど。
一方で電装周りやソフトウェアに強みがある部品メーカーにとっては(分野に寄りますが)、その要素が強まり、チャンスになりえるでしょう。
(注1) Nikkei Automotive Technology 2009.11 参考
その他参考文献。
![]() |
日本のもの造り哲学 |
![]() |
モジュール化―新しい産業アーキテクチャの本質 (経済産業研究所・経済政策レビュー) 青木 昌彦,安藤 晴彦 東洋経済新報社 (解説)「モジュール化」でどのように産業構造が変わったか、に関する論文集。 海外のイノベーション研究でもよく引用される良書。 |














東大・妹尾教授の著書、
「技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか」
を思い出しました。大変興味深い書籍でした。
もはや単なる組立工程に価値の源泉はなく、
コアとなる部品の技術優位性確立と、
国際的な標準化を行なった企業が、
業界の主導権を握るということなのでしょう。
いつも大変面白く読ませて頂いています。
引続き、応援しております。
部品メーカーに価値が移る、という話は、少なくとも車の「電子化」が進んだ20年前頃から言われていたような気がします。が、全然進んでいるように見えません。私も詳しくないので今思いついた想像の枠内ですが、恐らく、(1)消費者が車に求める価値(例:トータルコスト、安全性、加速/操縦性能、デザインなど)は、完成車メーカーのみが提供でき、1社で完全に満たせる部品メーカーはない、(2)完成車メーカーの組立プロセスの大変革を、1社でトータルに提供しそこに特許を持つ部品メーカーが存在しない、(3)その気になれば部品メーカーがやっていることは完成車メーカーが全て内製化可能、(4)(タイヤ等一部を除き)部品メーカーは完成車メーカーを中抜きして通らない販路を持てない、の4つくらいの要因がすぐに思いつきます。
電気自動車時代の部品メーカーは、(4)は「家電化」により満たせるかもしれませんが、(1)〜(3)を何かの部品が満たすのはどうでしょう。仮に、「既存製品の100倍効率の良い電池」のような夢のような商品を1社独占供給するような企業が現れれば、そのようなことが起こっても良いかもしれませんが、単純にエンジンが電池に置き換わって部品点数が減って組み立てがしやすくなっただけ、という状況では厳しい気がします。
利益の源泉のシフトという観点では、むしろ販路・サービス側で何が起こるのかの方に興味があります。組立メーカーの利益の源泉は、コスト低減と同時にファイナンスやアフターサービスにあると思われるからです。Amazon.comのようなところが、既存ディーラーのサービスを全て代替してしまうかもしれませんし、保険の商品構成や、レンタカー/リース等のサービスの仕方も全然変わってくると思います。
MBA生活も残り僅かになってしまいましたが、本年も頑張っていきましょう。
1 OEMの持つ「すり合わせ」の重要性は、電気自動車の普及で急速に減ると思う。完成メーカーの優位制は無くならないが(新規参入は難しいと思うが)、日本メーカー優位性は急速に失われると思われる。(現時点でも日本メーカーの優位性については議論があると思う)
2 タタが、グローバル、特に先進国に出て来ないなら、違うマーケットもしくはゼグメントとして静観するべきでは。
3 電気自動車普及(向こう20、30年)の戦略、内燃機関自動車開発の一本化、具合的にはアメリカに集中させる。アメリカは最後まで内燃機関自動車の最大市場であると思われし、電気自動車の普及がもし転けた時の保険にもなる。
4 家電化で部品メーカーに利益が移るという予測なら、今のうちからもっと囲い込む。具体的には買収して必要なコアだけに集中させる。(別会社にして、非コアを切り売り)
5 自動車産業を設備産業と言ったのは、稼働率が一番利益に影響を与えると言う意味です。過剰キャパの解消を急ぐべきという事。(GM、クライスラーの様にならないために)
『半導体のような設備産業とは大分構造が違う」をもう少し説明していただければ助かります。
本をご紹介くださり、ありがとうございました。
日本にいる間にこちらで出版されてる良著を色々読んでから帰りたいと思います。
>Golden bearさま
今年もよろしくお願いします。
>部品メーカーに価値が移る、という話は、少なくとも車の「電子化」が進んだ20年前頃から言われていたような気がします。が、全然進んでいるように見えません。
電気自動車によって一気に進むでしょう。
なお現在車全体のコストの中で、カーエレクトロニクスの占める割合は30%と言われていますが、おっしゃるように日本の場合に部品メーカーへの移行が進まなかったのは、系列の部品メーカーが担っていたので、何とか制御できた部分も多いのでしょう。
欧州ではBoschなど、部品メーカーへの価値の移行は大分進んでいると思います。
>単純にエンジンが電池に置き換わって部品点数が減って組み立てがしやすくなっただけ、という状況では厳しい気がします
私は電池ベンチャーなどが重要な役割を果たすと考えてます。
次が電機メーカーですね。サムスンなどの。
日本の電気メーカにも頑張って欲しいですが。
>利益の源泉のシフトという観点では、むしろ販路・サービス側で何が起こるのかの方に興味があります
これは確かにそうですね。
記事では書きませんでしたが、売り方、普及のさせ方は全く変わってくるでしょう。
まさにValue networkが変わるわけで、イノベーションのジレンマの例と言えますね。
今年電気自動車を発売する日産は、車体を小型車と同等の価格で売り、電池をリースにする戦略だそうです。
今週日曜に西海岸にいらしたら、もしかして会えるかも。
Cさんと企画中です。
>自動車については少々熱くなります
それは嬉しいですね。是非色々突いていただければ幸いです。
>白物家電としたのは、モーターやパイプを連想してです
なるほど、ysJournalさんはメカな方なんですね。
>1 OEMの持つ「すり合わせ」の重要性は、電気自動車の普及で急速に減ると思う
私も減るとは思ってますが、どの程度減るか、というところの考え方が違うようですね。
私の場合、具体的には電子化でモジュール化されるエンジン、トランスミッションなどは根こそぎ持っていかれるが、
ブレーキ、ギアなどの駆動系の一部にはすり合わせの重要性が残ると思ってます。
>日本メーカー優位性は急速に失われると思われる
文中でも書きましたが、「すり合わせ」だけが日本メーカーの優位性ではないです。
電子製品の組み立てでもそうであるように、徹底した品質管理とコスト削減を可能にする組織・人材も強み。
電機分野と違い、過剰品質に陥らない、ガラパゴスでない、というのは日本の自動車メーカーの強みです。
この優位性はそうは失われないと思います。
>2.特に先進国に出て来ないなら、違うマーケットもしくはゼグメントとして静観
私はそうは思いません。先進国マーケットはいずれ縮小すると考えてますし、このマーケットには積極的に進出すべし。将来の糧を失います。
>3.アメリカは最後まで内燃機関自動車の最大市場であると思われ
ここは完全に同意ですね。
だからアメリカに絞れば、電気自動車もタタ的な車も要らない、というysJournalさんのご意見は整合性は通ってると思います。
私は、アメリカだけじゃダメでしょ、新興市場ちゃんと行きなさい、
ヨーロッパと日本も大切にね、と言ってるわけです。
>4.家電化で部品メーカーに利益が移るという予測なら、今のうちからもっと囲い込む
これは同意ですし、実際ハイブリッドなどに見られるように既に始めてます。
ですが、同じ組織の中で異なる二つの企業文化を維持するのは難しい。
そこは典型的なイノベーションのジレンマですよ。
別会社にしてやる、というのはありでしょうが、現実的にこの決断は中々難しい。
>5.過剰キャパの解消を急ぐべきという事
なるほどそういう意味で設備産業と言った、というのは分かりました。
全く正しいと思います。
付け加えるなら、半導体の方が稼働率はもっと重要で、自動車の方が考えている以上に如何に稼働率を上げるか、が戦略上重要になります。
稼働率を上げる設計、稼働率を上げる商品ポートフォリオ。(インテルなどがそうですね)
一方自動車には、設計や商品ポートフォリオよりも稼働率を優先するということはないと思います。
また自動車には、原価コスト低減の余地も残されてると思いますが、半導体にはこれはほとんど無いわけです。
素人考えながら、一箇所に集中した動力源から4つの車輪に動力を分配するという自動車の基本的な特徴がなくなってしまうと、自動車産業そのものが根本的に変わる可能性があると思っています。完成車メーカーだけでなく部品メーカーにとっても、「破壊的」作用があるのではないでしょうか。
言葉足らずで誤解を招いたかもしれませんが、私も基本的には電気自動車は破壊的イノベーションだと考えています。
それはそのValue network全体を変えるものですから(おっしゃるように「自動車産業そのもの」です)、ディスクドライブがそうだったように、完成車メーカーだけでなく、部品メーカーにも及びます。
ただし、所謂Tier1と呼ばれるセットサプライヤー(デンソーや日立、カルソニックカンセイのようなところです)ではなく、Tier2、Tier3などと呼ばれる部品メーカーで、特に電装系のメーカー、ソフトウェアベンダーにとっては自動車全体に対する自社の割合を増やす大きなチャンスになると考えています。
Tier2,3でも、セットサプライヤーに付随して、電気自動車部品に置き換えられるような分野をやってるプレーヤーには脅威だと思います。
ブレーキもギア(これはトラッスミッションの事では?、それともデフ?ちょっと不明)も電気自動車では、モーターの一部ですので、すり合せはソフト(プログラム)になる。
従来イメージのブレーキは無くなる。
2 タタ的な車は要らないが、電気自動車は必要
戦略を2本立てとして、日本で電気自動車をやりイノベーションのジレンマと戦い、アメリカで内燃機関自動車をやる。3本目のタタ的な車には手を出さない。
3 日本メーカーも、高い稼働率を当たり前と考えいた節がある。販売量激減局面での赤字は、「徹底した品質管理とコスト削減を可能にする組織・人材も強み」が、少なくとも利益には貢献しない事を証明したのでは。
「過剰品質に陥らない、ガラパゴスでない」という事が、逆に優位性が少ないという事ではないか?
4 日本メーカーの優位性は、自動車以外の変な投資をせず、慎重にキャパを増やして来たが、シェアが大きくなった事で、結局アメリカに於けるビッグ3と根本的に同じ問題を抱えたと考えり、優位性は思った程無かったとの認識です。
タタの脅威、電気自動車イノベーションの脅威より、完成車メーカーが持つ根本的なジレンマ、シェアを上げるための設備投資と稼働率の維持、をどのようにしてミニマムにして行くかという切り口でのアプローチの方が、より良い戦略が産まれるのではないかと思う次第です。
有難うございます。こういう議論は面白いですね。
賛成しかねるところはまだありますが、これ以上はファクトを見ないと何とも議論できないかな、と思ってます。ブログではちょっと難しいかしら、皆も見てるし。
一度どこかでお会いして話せたら楽しいですね。
恐らくかみ合わない一番の違いは、YsJournalさんは今日の糧をどう得るか、というスタンスで見ており、私は明日の糧をどう増やすか、というスタンスで見てることだと思います。
実際にはどちらも大切であり、そのバランスの取れた戦略が必要になると思ってます。
>トラッスミッションの事では?
トランスミッションのことですが、その言葉だと駆動部分全体を指しちゃうと思い、20秒くらい考えてこの一般的用語を使いました−というか用語の特定はやめましょう。どうせ企業によっても違うので。
すり合わせが全く無くなるということはないのでは?
完成車メーカーがどの部分をどこまで作ってるか、によって大分見方が変わってくるものと違います。
日本の自動車業界研究してる人には有名な話ですが、現状のガソリン車でも「すり合わせ」の理解も大手3社、そのベンダー、さらにその中でも部署ごと(メカかエレキか)で大分違うんですよ。
電気自動車へのスタンスも同じことになるでしょう。
>タタ的な車は要らないが、電気自動車は必要
何度も言うように、新興市場をどう見るかによって異なると思います。
>販売量激減局面での赤字
2008年だけの特異的現象、とは言えませんか?
もちろん現場のレベルでそんなこといえないのは心から分かりますが、大局的な議論ではレベル感が違う話だと思っております。
>完成車メーカーが持つ根本的なジレンマ、シェアを上げるための設備投資と稼働率の維持、をどのようにしてミニマムにして行くか
これをもし電気自動車を含めて言ってるなら、私もずっと同じこといってるんです。
これって旧来のガソリン車の成功の鍵であって、
私は生産局面においては、ガソリン車も電気自動車も成功の鍵は同じコストと品質管理だと言ってます。
コストの根本にあるのは当然稼働率調整と投資のバランスですから、同じことを言ってますよね?
そこに日本車メーカーの強みはあるのか、と言うことですが、「他業界に比べれば全然強みはある。何とかなるはず」というスタンスで私はモノを言っております。
ちょっと乱暴な言い方に見えるかもしれませんが・・・。
来週、デトロイトオートショー見学してきます。電気自動車も数多く展示されているとの事なので、ローアングルから覗き込んで、どんなふうに組み立ててあるかじっくり見る予定です。
又,コメントさせて貰うと思いますが,今後とも宜しくお願いします。
>日系のサプライヤーも系列を超えて、EVへ向けて独自の強みを身につける
まさに水平分業化ってことですね。
自動車業界もEVで大分変わりますね
>YsJournalさま
楽しんできてくださいね。私もデトロイト行ってみたかった・・・フォードが頑張ってるそうですね。
今後ともよろしくお願いします
(3)について
部品メーカーが利益を持って行くかもしれないという根拠は何ですか?利益を持っていくのであれば、自動車作りにおける根幹技術を、電機部品メーカーが持つことですよね。
あと、(1)と(2)とかは、(3)が起きた時に必然的に起こりうるはずです。(3)が起こらなきゃ、そう簡単には起こらないとも言えそう。
そう考えると、やっぱ(3)は、とても重要ですよね。で、どんな部品技術の分野で、こんなことが起こりうるのですか?具体的に何かあるんですか?
素人目では自動車会社は、次世代の根幹技術になりそうなモーターとか燃料電池、バッテリー関連技術は、既に専業メーカーと一緒になって開発していそうな気がしますが、どうですかね?(自動車業界って、セットメーカーとサプライヤーのつながりは、今でも強力ですよねえ)
(3)が起こるとしたら、トヨタや日産が見捨てている分野で強力なイノベーションが起きる時だけって気がしますが、、、、
>3.本当の脅威は部品メーカーに価値の源泉が移り、業界構造が変わること
脅威ということでは基本的にはそれはそうですね。だから電気自動車でも電池とモーターを基幹部品として自動車メーカーが電機メーカーの力を借りて内製化をすすめているのでしょう。
>チップとソフトウェアが実質業界の方向性を決める立場になったこと。
これはそうですね。でも例外的な要因と偶然でこうなってしまったともいえますね。
>液晶テレビの登場で、テレビ組み立てメーカーからパネルメーカーに価値の源泉が移り、パネルメーカーが実質業界の方向性を決めるような立場になったこと。
「ような」を入れて薄めておられますが、これはまだ起きていませんね(起きるかどうかもわかりませんね。パネルメーカーも中間の製品メーカーですから更なる部品、原材料メーカーがあるから)。今はまだテレビメーカーが力を持っています。テレビ供給1位のサムスンも台湾のパネルメーカーの供給を受けているようですが台湾メーカーに影響を受けているなんて噂すらありませんよね。
(ところでサムスンはシャープの特許を侵害していることが認定され、オランダでは既にサムスンのテレビとディスプレイの輸入は禁止されたようだし、アメリカでも輸入差し止めが決まってオバマ大統領の最終決断を待っているようです。実際にはロビー活動で回避するでしょうが。為替マジックによる価格競争力で攻勢をかけているがパクリ技術では限界がありますね。)(今ソニーが低価格攻勢をかけていて市場で品薄になっているのは今後の展開が面白いところですね。)
>液晶テレビで組み立てメーカが儲からなくなり、パネルメーカーが高利益を出しているのも似た構造だろう。
日本のパネルメーカーは儲からないから既に合従連衡をはじめており、半導体DRAM産業のようなことにならなければよいと危惧されている状況ですよね(シャープやパナソニックは自社生産なので例外ですね(どこの部分で利益を得ているかわからない))。テレビは低価格化で儲からなくなり、パネルメーカーは競争で儲からなくなっています。部品メーカーが利益を持って行ったとはいえないでしょう。ここでは最終消費者が利益を得たということでしょう。
韓国、台湾勢も部品、原材料、製造装置の70%以上は日本製であることが知られているので日本勢と大差はないでしょう。今は数量がでるので台湾のパネルメーカーが若干潤っているという程度でしょう。パネルメーカーにこそ半導体のようなことが起きつつあります。
>これらの基幹部品の主導権を、新興含め電機部品のメーカーに握られてしまうことが、一番の脅威ではないか、と思う。
部品メーカー同士の競争があり必ずしもそうはならないのではないでしょうか。テレビの場合のパネルメーカーがその例ですね。
任天堂はハードもソフトも自社ではほとんど作っていないが、力を持っていますね。部品メーカーが力を持っているわけではないし、組み立てメーカーが力を持っているわけでもないということがよくわかる例ですね。それらをいかにコントロールするかをどこが持っているかということですよ。トヨタが車を組み立てているからといっても組み立てメーカーなので力を持っているということではないのです。
湯之上隆氏の本を読まれたようですが、技術者出身の湯之上氏は藤本隆宏氏のこの本を例に出して
「“半導体は擦り合わせ型ではなく組み合わせ型産業だ”と誤解してしまう。自動車産業と同様に、半導体は、高度な“擦り合わせ型”の産業なのである」「著名大学に在籍する著名な社会科学者ですら、その著作の中で、堂々と、このような論説を主張している。半導体の開発や生産現場を良く知っている人達からすれば、到底、信じがたい論説であろう」
と社会学者の詰めの甘さを批判されていますね。
お返事遅くなりました。
>利益を持っていくのであれば、自動車作りにおける根幹技術を、電機部品メーカーが持つことですよね。
そうです。
自動車作りにおける根幹技術を電気部品メーカーが持つから、利益や技術的主導権も持っていかれるという主張です。
ちょうど、パソコンにおいて、OSやチップメーカーに根幹技術を持っていかれて、利益や技術主導権を持っていかれたのと同じ論理です。
>(1)と(2)とかは、(3)が起きた時に必然的に起こりうるはずです。(3)が起こらなきゃ、そう簡単には起こらないとも言えそう。
そうではなく、(1)がおこる→2、3がおこりやすくなる、という論理です。
まずはモジュール化が起きるのです。
2は3とは別の話です。
私は、「そうは言っても自動車の組み立て技術には難しいところが残るから、組み立てへの新規参入は難しい」といってます。
これはこの前のコメントで私とYsJournalさんが議論してたところの焦点です。
でも、前よりも組み立て部分のブラックボックス性が失われ、切り出される技術が出てくるのは確か。
切り出される一部の技術は根幹技術であって、そういうところでは技術的主導権が奪われるだろう、ということです。
(完全に奪われる、とは言ってません。一部は現在のOEMに残るはず)
>素人目では自動車会社は、次世代の根幹技術になりそうなモーターとか燃料電池、バッテリー関連技術は、既に専業メーカーと一緒になって開発していそうな気がしますが、どうですかね?
完成車メーカーもそのことがわかってるから、一緒に開発してます。
しかし、実際にはそれ以外のベンチャー企業などから次々とイノベーションが起こっており、それが今日異なわけです。
>「ような」を入れて薄めておられますが、これはまだ起きていませんね(起きるかどうかもわかりませんね。パネルメーカーも中間の製品メーカーですから更なる部品、原材料メーカーがあるから)。今はまだテレビメーカーが力を持っています。テレビ供給1位のサムスンも台湾のパネルメーカーの供給を受けているようですが台湾メーカーに影響を受けているなんて噂すらありませんよね。
どうでしょう。
まず、パネルは半導体と同じゼロサムの装置産業ですから、トップ2,3社以外は儲からないでしょう。
だから台湾や日本の弱小メーカーが儲からないことは何の不思議でもありません。
サムスンとシャープは儲かってるのではないでしょうか?
(この業界は機密性が高く、どこが儲かってるかはインサイダーでも無い限り分からない話−Display Search見てもわからないんじゃ無いでしょうか−なので、私もわからんですが)
>部品メーカー同士の競争があり必ずしもそうはならないのではないでしょうか。テレビの場合のパネルメーカーがその例ですね。
任天堂はハードもソフトも自社ではほとんど作っていないが、力を持っていますね。それらをいかにコントロールするかをどこが持っているかということですよ。トヨタが車を組み立てているからといっても組み立てメーカーなので力を持っているということではないのです。
これはもちろんそうです。
けれど、一般的には技術が移れば技術主導権は移ります。
そういう脅威があることを念頭に、どうすればいいか、は別の話です。
任天堂はうまく行っている特殊なケースで、米国でも何故そういうことが出来たか、ということがよく研究されてますね。
>湯之上隆氏の本を読まれたようですが、技術者出身の湯之上氏は藤本隆宏氏のこの本を例に出して
「“半導体は擦り合わせ型ではなく組み合わせ型産業だ”と誤解してしまう。自動車産業と同様に、半導体は、高度な“擦り合わせ型”の産業なのである」「著名大学に在籍する著名な社会科学者ですら、その著作の中で、堂々と、このような論説を主張している。半導体の開発や生産現場を良く知っている人達からすれば、到底、信じがたい論説であろう」
と社会学者の詰めの甘さを批判されていますね。
この本の感想についてはそのうち書きますが、事例は非常に面白かったですが、あまりにも他人の論を勉強せずに批判してる態度はどうかと思いましたね。
この批判もどこを読んでそれが出てきたのか不思議です。Freedomさんも藤本さんのこの本はお読みになった上でこういうコメントを書かれてるんでしょうか?
藤本さんは、工程設計では(他分野に比べて)組み合わせの度合いが高いが、製品設計ではかなりすり合わせの度合いが高い、とはっきり書いてます。
更に「最近半導体の集積度が上がって、後工程が論理設計に影響するようになっており、かなりすり合わせの度合いが高まっている」とも書いています。
どの部分がすりあわせで、どの部分が組みあわせか、ということも細かく議論してます。
藤本さんの味方をするつもりは無いですが、藤本さんがあのように議論を展開しているのに対して、あんなに簡単に罵倒できるのかが疑問ではあります。