走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

医療ミスを減らす為に

2017年08月30日 | 仕事
医療ミスについて最近書いていないのでもう一度。

患者にとって聞くには恐ろしい事実ですが、医者もナースも薬剤師も医療者全員人間ですからミスをするのは当然です。2009年に参加した研修で学んだのは医療ミスはどの先進国も軒並み同じ比率でした。医療ミスによって死亡もしくは重度の障害が起こる確率は14人に1人と言う恐ろしい数字です (ニアミスや軽傷の害は含まれていません)。

パイロットに自分はミスをすると思いますか?と質問すると全員がハイと答えるのに対し医師は40%、看護師は72%に留まります。つまりパイロットに比べ医療者は自分が絶対ミスをしないと信じているのです。

飛行機事故は大惨事につながります。飛行機事故の発生率は?かなり低いですよね。航空産業は人間がミスを起こす事を前提にシステムを構築し、医療界はミスをしない事を前提にしている。これが発生率の差を生んでいると学者は指摘しています。人間はミスをすると言う事実を受け止めて、ミスが発生する事を前提でシステム的な安全ネットを作らない限り、ミスは永遠に続くというわけ。

体調の不調、他の患者の急変で忙しくなって、読み間違い、聞き間違い、検査検体のすり替え、レントゲンの左右間違い、オペカウントの間違い、同姓同名の患者間でのミス、、、

もっと気をつけていれば、集中していれば、防げた、、、では解決ではないのです。慌てン坊のナースがいてもミスが起こらないシステムを作る。

例えばインスリンが入った静注のスピードを変える時にナース2人で確認しあう事で1人が慌てん坊でも2人目が気づくようなりますよね。

非常に似ている名前の薬剤を書き間違え、読み間違えしないようにするには?二重三重にチェックポイントを作ったり、アラートが出るようなシステムにしたりと。

インシデントリポートはシステム見直しのためで個人を責めるためではありません。医療の風習を変えれるのは当事者だけです。新人さんに、人間はミスをするのは当然だからそれを防ぐためには、、、と指導できるようになってください。ニアミスを正直に同僚に伝えケースを見直せるような病棟作りに励んでください。

カナダには患者団体があり、先の統計はここから発表されたものです。最近の統計はどうなのかな?



緑の絨毯 (苔ですよ)

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