走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

メタンフェタミンと言う薬

2017年02月09日 | 仕事
こんなに雪がまだ残っているのに、またもや大雪警報。そしてそれはフリージング雨と言われる凍結寸前の冷たい雨に変わり、朝方に向かって気温が上がり大雨が予測されるので洪水警報。なんてこったい。おかげで予約はキャンセルが相次ぎ、出勤時間はたった2時間半で帰宅 (と言っても家から仕事を続行ですが)。大学や高校は昼から休校になり、ハイウエイも公共のバスも電車も大荒れです。明日の朝が怖いわ、、、、。



カナダで注意欠陥 (欠如) 多動性障害の治療薬は4種類(商品4種類ではなく薬学的に違う4種類)認められています。日本では2種類(2商品)だけと最近知りました。

日本では認められていない一つの薬剤は俗称ヒロポンで知られているメタンフェタミン。

日本での他の俗称がシャブ。

第二次世界大戦中に兵士を喚起さすために使ったとか、昭和の映画で覚醒剤中毒といえばこれが出てきていましたね。

え?覚醒剤が治療薬?と驚かれる方がいるかもしれませんが、薬は誰かが発明して製法を確立しなければなりません。それをするのはヤクザでもなければ末端で市民に売っている人ではありません。この薬は日本で発明され日本の薬品会社で製造されていたれっきとした治療を目的とした薬物製剤です。

しかし、薬物耐性で依存する人が多くなり劇薬指定となり、覚醒剤取締法で製造が中止されました。

では、カナダやアメリカでは覚醒剤として認めていないのか?

もちろん認めています。闇で製造されて市場に出ていることも十分知られています。それに関しては司法が動きます。

では医療では?治療薬として使われます。もちろん薬物法の分類で管理が厳しい薬の分野に属しています。薬物依存を防止するためです。悪用されなければ治療薬としての効果を認めているのです。

この薬が発見された頃は短期長期の副作用や相互作用がわからないまま人間に使用していました。現在はそんな事は許されません。厳しい検査、審査を経て新薬は市場へ出てきます。メタンフェタミンも同様です。

現在カナダで認可されているメタンフェタミン商品は3種類。悪用されないように形状が工夫されています(イタチごっこですが)。

全く同様の作用があるが薬学的には異なる薬はメチルフェニデート(カナダでは3商品認可)と言い、日本でも認可されています(1商品のみ)。

注意欠陥(欠如)多動性障害の治療で薬物治療が必要になった時、メチルフェニデート系をまずトライします。これが合わなかっ時メタンフェタミンに切り替えてみます。治療の選択肢があるのです。患者にとっては嬉しい事です。

難しい事を長々と書いてしまいましたが、薬に限らず、政治も、社会現象も日本では振り子があっという間に反対側に振れてしまうのは何故だろうと思ってしまいました。

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