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【週刊】企業理念 Vol.275 トヨタ自動車さまから学ぶ
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経営の先輩達が悩みぬいて確立した企業理念をいろいろな
視点から読み解き、企業理念育成・経営のヒントを学びます。
──────────────【今号の所感】───────────────
昨年度のトヨタの利益構造は、興味深い。
儲けは、「金融事業」。
クレジット・ローン販売 とレンタカー・リース事業による利益。
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「トヨタ:急加速問題 電子制御「シロ」判定」
http://mainichi.jp/enta/car/news/20110210ddm008020098000c.html
”リコール問題が過熱した昨年2月に
「トヨタ車を運転すべきでない」とまで批判していた
ラフード米運輸長官だが、
今回は「トヨタ車は安全。(私の)末娘も買った」と安全性にお墨付きを与えた。”
とのこと。
この「トヨタ車を運転すべきでない」という発言に対する責任はどうなるのだろうか。
トヨタは、このことを見過ごす器量をもっているのかもしれない。
ただ、日本人の毅然とした外交姿勢に対して期待を持っている人も少なくないだろう。
今週は、トヨタ自動車さまの有価証券報告書から学ばせていただきます。
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◆トヨタ自動車の企業理念
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【トヨタ基本理念】
1.内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、
国際社会から信頼される企業市民をめざす
2.各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、
経済・社会の発展に貢献する
3.クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、
住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
4.様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望
にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
5.労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを
最大限に高める企業風土をつくる
6.グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
7.開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、
長期安定的な成長と共存共栄を実現する
(出所:http://www2.toyota.co.jp/jp/vision/philosophy/index.html 2011/02/13)
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◆有価証券報告書からの学び
参考・出所:平成22年3月期有価証券報告書 平成21年4月1日~平成22年3月31日
http://www.toyota.co.jp/jp/ir/library/negotiable/2010_3/all.pdf
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【事業の内容】
●自動車事業を中心に、金融事業およびその他の事業を行っている。
●自動車事業においては、セダン、ミニバン、2BOX、スポーツユーティリティビークル、
トラック等の自動車とその関連部品・用品の設計、製造および販売を行っている。
●金融事業においては、主として自社および自社の関係会社が製造する
自動車および他の製品の販売を補完するための金融ならびに車両および機器の
リース事業を行っている。
●その他 その他の事業では、住宅の設計、製造および販売、
情報通信事業等を行っています。住宅は、主に自社が製造し、
トヨタホーム㈱および国内販売店を通じて販売している。
【業績等の概要】
●日本、海外を合わせた自動車の連結販売台数は、723万7千台と、
前年度に比 33万台 (4.4%) の減少。
●日本での販売台数については、216万3千台と、前年度比21万8千台(11.2%) 増加。
●軽自動車を除く販売シェアは48.2%、軽自動車を含む販売シェア は44.3%。
●売上高は18兆9,509億円、前年度比1兆5,786億円 (7.7%) の減収
営業利益は1,475億円、前年度比6,085億円の増益
当期純利益は2,094億円、前年度比6,464億円の増益
【業績等の概要】
●事業の種類別セグメントの業績は、次のとおり。
(1)自動車事業 売上高は17兆1,974億円、営業損失は863億円。
(2)金融事業 売上高は1兆2,454億円、営業利益は2,469億円。
(3)その他の事業 売上高は9,476億円、営業損失は、89億円。
●所在地別セグメントの業績は、次のとおり。
(1)日本 売上高は11兆2,203億円、営業損失は2,252億円。
(2)北米 売上高は5兆6,705億円、営業利益は854億円。
(3)欧州 売上高は2兆1,470億円、営業損失は330億円。
(4)アジア 売上高は2兆6,554億円、営業利益は2,036億円。
(5)その他の地域 (中南米、オセアニア、アフリカ)
売上高は1兆6,738億円、営業利益は1,155億円。
【対処すべき課題】
●トヨタは、環境の変化に着実に対応し、さらなる成長を遂げるため、
グループの力を結集し、総力をあげて以下の課題に取り組んでいる。
●第一に、いま一度「お客様第一」を原点に戻って考え、お客様の声に
「謙虚」に耳を傾け、国内外の全役員・従業員が、クルマの安全性と
品質を何よりも優先し、「安全・安心なクルマづくり」に全力で取り組む。
●第二に、製品安全・品質を確実につくりこむ開発プロセスの構築や、
新興国を含め各地域のお客様のニーズを的確にとらえた商品企画・ライン
アップの再構築など、お客様の安全・安心に関わる品質を何よりも優先し、
価格・デザインを重視したお客様目線の商品づくりに取り組むとともに、
お客様・地域社会に認められる身の丈に応じた地域戦略を推進する。
●第三に、ハイブリッドシステムの本格普及に向けた低コストハイブリッド
システムの開発や、電気自動車・プラグインハイブリッド車の拡大に備えた
事業戦略の推進など、社会の発展に貢献する次世代環境・エネルギー技術開発を進める。
●第四に、各地域完結と自立化を支える人材育成を推進し、
「いいクルマづくり」への挑戦を続けていく。
●第五に、厳しい経営環境下においても、こうした業務改革と人材育成を通じて、
持続的かつ安定的な収益基盤を構築していく。
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◆豆計算:事業セグメント別 【売上高営業利益率】
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売上高営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高
<売上高営業利益率は、企業の本業の利益獲得能力や収益力を示すもの>
●事業の種類別セグメントの売上高営業利益率は、業績データより計算すると
(1)自動車事業 売上高は17兆1,974億円、営業損失は863億円。
⇒ 売上高営業利益率 = -863/171,974 = -0.5%
(2)金融事業 売上高は1兆2,454億円、営業利益は2,469億円。
⇒ 売上高営業利益率 = 2,469/12,454 = +20.0%
(3)その他の事業 売上高は9,476億円、営業損失は、89億円。
⇒ 売上高営業利益率 = -89/9,476 = -0.9%
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◆今号の所感
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昨年度のトヨタの利益構造は、興味深い。
儲けは、「金融事業」。
クレジット/ローン販売(自動車の販売を補完するための金融)
とレンタカー・リース事業。(車両および機器のリース事業)
自動車事業があるから、金融事業が活きる。
ものづくり技術に加えて金融工学が求められる。
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◆参考資料・書籍
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□トヨタ自動車―なぜ今、「豊田章男社長」なのか
http://ameblo.jp/zaikai2008/entry-10203426725.html
□トヨタファイナンス株式会社
http://www.toyota-finance.co.jp/
□トヨタレンタリース
http://rent.toyota.co.jp/top.asp
□カーライフのためのクレジットカード TS CUBIC CARD
http://ts3card.com/
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*株式会社等の敬称は省略させて頂いております。
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