河野美砂子の「モーツァルト練習日記」+短歌+京都の日々の暮らし

9/28(土)13時30分 NHK文化センター京都「マズルカ⑪」Op.63、バラード第1番他 

練習日記番外編・めちゃおもしろかった演奏会

2006-12-01 22:41:06 | モーツァルト関連
フォルテピアノ・コンサート「鬼才ロバート・レヴィン Robert Levin モーツァルトを弾く」という演奏会。11月30日東京文化会館小ホール・日本モーツァルト研究所と日本モーツァルト協会主催。

たまたま前日、文化会館の前を通ってこの演奏会を知り、4500円という値段だったにもかかわらず聞きに行ってきました。というのも、プログラミングがけっこうマニアックだったので。

昼・夜入れ替え(各4500円)で、私は京都に帰る都合もあり、昼の部しか聞けなかったのですが、以下の曲目です。

・ソナタ ヘ長調 K.533K+K.494
・転調するプレリュード K.deest
・プレリュードとフーガ ハ長調 Kd.394
***
・ロンド イ短調 K.511
・小曲 ハ長調 K.42 より
・アレグロ ト長調 K.72a
・ソナタ ニ長調「デュルニッツ」K.284の破棄された第1楽章
・ソナタ ニ長調「デュルニッツ」K.284 

夜は、一部重なる曲があり(ソナタ ヘ長調と、プレリュードとフーガ ハ長調)、他に、ソナタ楽章アレグロ ト短調 K.312、ソナタ楽章アレグロ 変ロ長調K.400、「転調するプレリュード」より、昼の部と違う部分+即興でロ短調へ、続いて アダージォ ロ短調 K.540、ソナタ ト長調 K.283 というプログラム。

レヴィンさんという人は、アメリカ人(たぶん)。
見るからにエネルギッシュで、若く見えるけど、たぶん50歳代?

私は、彼のキャリアも知らず、プログラムだけ見て聞きに行ったのだけど、ものすごい刺激を受けて帰ってきました。
書くとキリがないので、今日はその中からひとつだけ一番印象的だったことを。

プログラム最後の曲が終わり、アンコール、ということになった時。
彼は、「もう1曲、モーツァルトの曲を弾くか、あるいは即興演奏をするか、どちらがいい?」と、客席に向かって聞くのです(もち英語)。
会場は、お年寄りが多く(何しろ権威ある海老澤敏先生率いる日本モーツァルト協会ですから)、反応がもう1歩鈍いのですが、
「もう1曲?」 No! 
「即興?」 Yes! と、部外者であるワタクシメが、大いに拍手したこともあってか(???)、即興演奏してくださることに。
で、レヴィンさん、再びおっしゃるには、
「じゃあ、なんでもいいからテーマをください。あなた方が知ってるメロディでも、モーツァルトのメロディでも。」
……って言われてもねぇ。
会場に座ってるのに、大声出すわけにもいかへんし……。
と、もぞもぞしていたら、私のすぐ後ろの、「招待席」なる場所にでんと座っておられた、見るからにモーツァルト研究者という風貌のヨーロッパ紳士が、
「フィガロの、********(聞き取れない)!」
レヴィン氏「え?」
紳士「*******!」
L氏「聞き取れないよ。」
紳士「(ドイツ語で)+++++++++!(原語の「Non piu andrai farfallone amoroso」)もおっしゃってたはずですが私も聞き取れなかった。)
L氏「(ドイツ語で)××××!」
L氏「(今度は英語で)これはメンデルスゾーンもやってんだけどね。」とかなんとか。

で、結局フィガロの「もう飛ぶまいぞこの蝶々」を、やおら弾き出したL氏、その後はもう、すっごい、の一言に尽きるのですが、ホントに延々と、あのテーマをダシに次々と転調、またテーマ、華麗なるスケールや速いパッセージによるブリッジ、カデンツァ、今度は低音域でのテーマ……と繰り返し、およそ何分?……数分以上は弾いておられました。
もう、ブラヴィッシモとしか言いようなかったです~。
(でも他のお客さんはけっこう冷静でしたね。たぶん、音楽家ならあんなことくらいできてアッタリマエ、と思ったはったのかも。)

おうちでよぉ~く考えてから練習、その後に弾くのなら私にだってまぁあれに近いことはできるかもしれないけど。
やっぱり、そういうヒトって世の中にいるのね。

バッハやモーツァルト、ベートーヴェンが即興で何時間も弾いた、というお話、マユツバでもなんでもなかったのね。

レヴィン氏は、ニューヨークでピアノと作曲を勉強、高校時代にパリでナディア・ブーランジェに学び、その後ハーバード大学(何を勉強したの?)。
その後もすごいキャリアがあるのだけど、モーツァルト研究者としても知られ、数々の未完の曲の補筆、装飾音やカデンツァの即興演奏復活など、とてもここでは書ききれません。
モーツァルト以外にもベートーヴェンなどレパートリー多数。
フライブルク(ドイツ)でピアノ科の教授を務めた後、今はハーバードの先生(音楽学?)とのこと。

まだまだあるのですが、続きはあした。♪

コメント
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