さくらの魔法

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北方領土と麻生さん

2013-02-07 | それ以外の国際関係
北方領土を考える上で、ずっと気になっていたことがあります。

それは、麻生太郎副首相が外務大臣時代に発表したと言われている、いわゆる「麻生私案」です。
ネットを見ていると、いわゆる保守系の方でも「麻生は3島返還論者」「北方領土をロシアに売り渡した」とおっしゃる方が多く、麻生さんの正確な発言内容を知りたいと思っていました。

検索すると、こんなページがヒットしました。
【政治】 「北方領土、4島の面積2等分で解決も」 麻生外相が私案…民主・前原氏の意見に対し
・麻生外相は13日の衆院外務委員会で、北方領土問題について、北方4島(択捉、国後、色丹、歯舞)全体の面積を2等分する境界線を日露両国の国境とする新たな解決案を示した。
民主党の前原誠司・前代表が「4島を(二つに)分けても、4島とも日本の領土に入るという認識が必要だ」と指摘したのに対し、外相は「北方領土を半分にしようとすると、択捉島の約25%と、残り3島をくっつけることになる。面積も考えず2島だ、3島だ、4島だというのでは話にならない。現実問題を踏まえて交渉にあたらなければならない」と述べた。
外相はさらに、「ロシアのプーチン大統領は強い権力を持ち、領土問題を解決したい意欲もある。この人のいる間に決着を付けなければならない」と語り、大統領の任期が切れる2008年5月までに解決の道筋を付ける意向を強調した。


日付が分かればこっちのものです。
国会の議事録を見れば、麻生さんが何と言ったか分かります。

↓ここが、そのページです。
第7号 平成18年12月13日(水曜日)
が…
どうみても、麻生さんは「3島は半分じゃないって知ってるか?」という前原さんの質問に「知ってる」と答えているだけです。それに前原さんがしつこく「半分だったらこうでね?」という仮定の話を続けていて、麻生さんが「半分だったらこうだな」と答えているだけで、麻生さんは一言も「3島でいい」なんて言っていません。

この記事、どうやら読売新聞らしいです。
同じ国会で、鈴木宗男さんがこの記事について質問していました。
北方領土問題についての二〇〇六年十二月十四日付読売新聞朝刊の報道に関する質問主意書

まさかの読売新聞か…

偶然にも、もう一つの鈴木宗男さんの質問から、前原さんの言う「ある新聞」がどこかも分かりました。
『三島返還論』についての麻生太郎外務大臣の発言に関する質問主意書

二〇〇六年九月二十八日付毎日新聞朝刊は、麻生太郎外務大臣のインタビューを掲載し、その中で、記者による「北方領土問題の解決策として、四島を面積で分割する案はどうですか。」という質問に対して、麻生外務大臣は、「一つの考え方ですね。二島じゃこっちがだめで、四島じゃ向こうがだめ。間をとって三島とかいう話だろ。それで双方が納得するかどうかですよ。これは役人で決めることはできません。どこかで政治的な決断を下ろさない限り、下から積み上げてどうにかなる話ではない。この問題への解決(への意欲)は、プーチン露大統領の頭の中にすごくあるように見えますけどね。」(以下、「麻生発言」という。)と応答している

また変態新聞か!

毎日新聞、図書館で見てきました。変態新聞を見るなんて嫌だったけど。
このインタビューを見る限り、麻生さんは3島返還論なんて主張していません。
単に、毎日新聞記者が提示した3島返還論の是非について、役人ではなく政治家が決めるべき問題である、と答えているだけです。

これでは「麻生私案」ではなく「毎日新聞案」だ!と思わさるのは私だけでしょうか。
さすが変態新聞。

さらに調べてゆくと、3島返還論と言うのは、元々北大の岩下明裕と言う教授が書いた『北方領土問題―4でも0でも、2でもなく』と言う本で主張されていた考えなのだそうです。
調べてみると、この本が発売されたのは2005年12月でした。
で、2006年12月に大仏次郎論壇賞を受賞しています。この賞を主催しているのは朝日新聞です。
ちょうど、麻生さんが言ってもいない3島返還論で盛り上がっていた頃ですね。
田久保忠衛と言う方も、『北方領土は泣いている―国を売る平成の「国賊」を糺す』と言う本の対談で、「麻生さん、この本を読んだんじゃね?」的なことを言っています。対談相手の上坂冬子さんも、「外務大臣の立場にありながら、そんなのに影響される麻生ははんかくさい」と言う感じです。
マスコミの「麻生私案」は、よほど岩下教授の言っていることそのままだったんでしょうね。って言うか、この人たち二人とも議事録確かめなかったんですね…

えーと…
「麻生私案」と言ってマスコミが大騒ぎしたのって、もしかして岩下教授の本のステマですか?

ステマならステマでもいいんですが、いや、本当はよくないけど、マスコミが「麻生は3島でいいと言った!」と騒いだせいで、ロシアにはもちろん、国際社会全体に「日本は領土問題に弱腰」という印象を与えてしまったと思います。最近の中国や韓国の強気な態度も、実はこの時の様子を見て「日本は強気に出れば折れる」と思ってしまったからなんじゃないでしょうか?
マスコミは日本に大変な損害を与えたことになります。
実際、こう言っている政治家もいます。
一部の自民党政治家と外交官僚が二島先行返還論を画策し、いわゆる二元外交が行われているのは残念です。四島一括返還のみにこだわるつもりはありませんが、二島先行返還がロシアに間違ったメッセージを与えている可能性は大です。

んだんだ。その通りだと思います。どなたがおっしゃっているのでしょう?

衆議院議員 前原誠司

( ゜д゜)

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゜д゜)

(つд⊂)ゴシゴシ
  _, ._
(;゜ Д゜)


2島だと間違ったメッセージを与えるけど、3島ならいいんでしょうか?
そう言えばこの人、外務大臣だったんですよね。
尖閣諸島で中国の漁船が海上保安庁の船に体当たりしてきたのを、「ただの事故」と言ってあっさり船長を中国へ帰してしまった時の。して、韓国人から献金を受けて辞任したんですよね。
もしかして、わざと麻生さんから「3島」とか「半分」という言葉を引き出そうとしたのか…と疑わさるのは私だけでしょうか。

まずは、麻生さんは3島返還でいいなんて言ってない、と言うことが分かって、安心しました。
このことを確かめたかったのは、麻生さんの「4島にこだわらない」という態度は、実はマスコミの報道とはまったく逆に「4島だけとは言ってない」と言う意味だったのではないかと思うからです。
首相として、戦後初めて樺太の地を踏んでくれた麻生さん。
これを「サハリンのロシア領有を認めた!麻生は売国奴!」と言う人もいます。当時民主党の幹事長だった鳩山元首相も麻生さんを批判していましたね。民主党の古本伸一郎と言う人も「鳩山首相だったらしなかった」と言ったそうですし。
私は、それは違うんじゃないかと思っていました。今は、違うと確信しています。
このことはまたいつか書くかもしれません。