保健福祉の現場から

感じるままに

運転免許と認知症施策

2016年12月13日 | Weblog
M3「2017年春、改正道交法でさらに変わる認知症の取扱い◆Vol. 2」(https://www.m3.com/clinical/news/484712)。<以下引用>
<医師や患者家族が認知症患者に運転中止や運転免許の返納を説得する機会は、今後ますます増えていくと見られる。大阪大学大学院医学系研究科精神医学講座教授の池田学氏は、国立長寿医療研究センター長寿政策科学研究部長の荒井由美子氏の研究班に参加し、2010年に「認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための支援マニュアル」を作成。2016年4月には第2版を公開した。患者の支援には、もちろん医師の関わりも重視されるが、認知症患者や家族に繰り返し丁寧に運転中止を説得してきた池田氏による自験例の「成果」とは。第35回日本認知症学会学術集会(JSDR 2016、12月1-3日)の池田氏によるプレナリーセッションと、独自取材による認知症と自動車運転の最新動向を紹介する。全3回。運転中止、最大のきっかけは…社会的関心が高まる以前から認知症患者の自動車運転の問題に取り組んできた池田氏。「運転を続けようとする認知症患者やその家族にかなりの時間をかけて、運転を早く中止するよう、繰り返し丁寧に説明していた」と振り返る。しかし、2004年3月に自身が愛媛大学在籍中にまとめた認知症と自動車運転に関する班研究で自験例の一部の運転状況を追跡したところ、13例中8例が自動車運転を中止していたものの、運転中止のきっかけは8例すべてが「医師の説得」ではなく「運転事故の反復」。中には自損事故を2-3回繰り返し、運転中に迷走、最終的に人身事故を起こしてようやく中止に至ったケースも含まれていた。さらに残りの5例は事故歴がなく、まだ運転を続けていた。「正直、研究当初は、自分の説得もある程度効果があるだろうと思っていたが、こういう結果だった」と池田氏。「しかし、これにより、公共交通機関の乏しい地域では、いかに運転中止の説得のみでは対応が難しいかが分かった」と述べた。一方、池田氏らの班研究では認知症のない高齢者1500人以上への聞き取り調査で「認知症高齢者の自動車運転はすぐ中止すべき」との意見が90%超と圧倒的多数を占めており、「わが身のことでなければ高齢者もこの問題を冷静に捉えており、何らかの対策が必要というコンセンサスはあるものと考えてよいだろう」との考えを示す。法改正後の「認知症の恐れあり」の人への臨時適性検査の内容は? 現在、改正法に合わせた診断書試案の作成が進行中だ。「自動車運転に影響を及ぼす診断書でかなり詳細な記載が求められる」と池田氏。現行法でも診断書にはHDS-RやMMSEなどの認知機能検査、神経心理学的検査や臨床検査、画像検査を記載する多数の項目があるが、改正後はさらに「どのような日常生活上の変化がいつごろから見られたか」「診断書作成時の状態」「日常生活自立度」などの記載が求められる予定だ。記載の追加に伴い、診断書の様式決定と同時にその記載方法に関する詳しい解説が付記される見通しだという。また、現行法では「各検査は、原則として全て行う」との項目の記載が、改正後には「未実施の場合、その理由の記載を求める」よう強化される。「かかりつけ医からは、『これほど詳細な診断書は書けない』との意見もある。また、かかりつけ医が認知症と診断して、専門医にセカンドオピニオンを求めてきた場合の対応や、診断書作成のために実施した各種検査の保険診療上の取り扱い、抗認知症薬を使用している軽度認知機能障害(MCI)の人の自動車運転能力をどう考えるのかなど、さまざまな質問も寄せられている」と池田氏。「MCIやごく初期の認知症の人の運転能力が一般高齢者に比べ、危険とのエビデンスはほとんどない。ごく初期の認知症やMCIの人に関しては医学的な認知症の診断ではなく、実際の運転技能を実車テストなどで運転の専門家が判断する必要があると考えている」とのことだ。池田氏らは現在、関連学会で寄せられた意見を集約し、厚生労働省や警察庁への問い合わせを行っていく見通し。「その回答を基に医師のためのQ&A集を作成し、関連学会の公式サイトに掲載するなどして、法改正後の混乱を少しでも避けたい」との意向を示している。>

m3「免許更新で「要認知症診断」100倍に?!【JSDR 2016】2017年春、改正道交法でさらに変わる認知症の取扱い◆Vol. 1」(https://www.m3.com/clinical/news/484673)。<以下引用>
<高齢運転者による交通死亡事故のニュースが連日のように報道され、高齢者の自動車運転への関心が高まっている。そんな中、2017年3月に施行予定の改正道路交通法では高齢者の認知機能検査の要件が強化される。全交通事故件数 が減少し続ける中、高齢運転者による事故件数は相対的に増加しており、高齢者の運転に関する規制強化は避けられない情勢だが、それに伴う課題も多いようだ。特に法改正により、運転免許更新時に認知症に関する診断書が必要となる人の数が、現在の年平均で数百人から4万-5万人と100倍近くに増えるのではとの見方を示す専門家もいる。東京都で開催された第35回日本認知症学会学術集会(JSDR 2016、12月1-3日)での大阪大学大学院医学系研究科精神医学講座教授の池田学氏のプレナリーセッションと、独自取材による認知症と自動車運転の最新動向を紹介する。道交法上の認知症、これまでの取り扱いは? 池田氏によると、道交法に認知症に関する条項が初めて記載されたのは2001年。当時の改正では精神病とてんかんが絶対的欠格事由から相対的欠格事由に要件が緩和され、新たに認知症と睡眠障害が運転に支障を来す恐れのある疾患や病状として個別の判断を求め、免許更新時の病状申告書の提出を義務付けた。2009年改正の現行法では70-74歳で運転免許更新時の高齢者講習受講、ならびに75歳以上の運転者への認知機能スクリーニング(講習予備検査)を義務化。ここで「認知症の恐れがある者」に分類され、なおかつ一定期間内に信号無視などの一定の違反行為があった場合、医師の診断(臨時適性検査)を義務付けた。この違反行為は75歳以上の高齢運転者約1600人を対象とした検討で「認知症の恐れがあると考えられた人の運転行動の主要な5つの特徴(信号無視、交差点走行不適、道路変更不適、一時不停止、加速不良)」に基づき選定された15の「基準行為」として示されている(2008年日本認知症学会「警察庁からのお知らせとお願いについて」)。その後、2013年には病状申告書の虚偽記載への罰則規定が、2014年には医師の任意通報制度に関する規定が新たに追加された。2017年3月の改正法では、75歳以降の免許更新時のスクリーニングで「認知症の恐れあり」と判定された人の全てが違反や事故の有無に関わらず、医師の「臨時適性検査」の対象となる。認知症に関する記載が強化されてきた背景として池田氏は「他の疾患と異なり、病識が乏しくなっている認知症患者は、本人に悪意がなくても、自ら病状を申告することが困難なことがある」と話す。法改正による実地臨床への影響は 今回の法改正に伴い、免許更新時に医師による「臨時適性検査」の対象となる75歳以上の運転者の数は現在の年間平均200-300件から、4万-5万件以上に増加するのではとも考えられている(警察庁交通局運転免許課2015年10月13日都道府県・指定都市認知症施策担当者会議「道交法の一部改正について」)。国内の認知症専門医の数は約2000人。法改正により専門医への受診が激増する可能性もある。これにより、池田氏をはじめ、実地臨床医が懸念するのは「認知症診療における患者と医師の信頼関係構築が困難になること」だ。「認知症診療の基本は早期診断・早期治療。診断書を公安委員会に提出することで、初期の段階で運転免許という日常生活の手段が奪われることは適切な認知症治療そのものを危うくする」との指摘もある。さらに「認知症が進行した場合、運転は不可能になることは自明。しかし、実はごく軽度の認知症と自動車運転能力の関連は明らかでなく、認知症治療薬使用と自動車運転に関するエビデンスもほとんどない」と池田氏。認知症と一口に言っても、背景疾患や運転に与える影響はさまざまだ。道交法上の医師の診断書は、認知症に該当するか否かの判断に関する意見を公安委員会に提供する位置付けで、最終的な免許更新の可否は公安委員会が判定する仕組みとなっている。また、一部の認知症について医師が「6カ月以内に回復の見込みあり」と診断した場合には、この間に免許の保留・停止を行い適性検査や診断書の提出を再度行うことなどを求める但し書きもある。しかし、実際は個別の認知症の状態はあまり考慮されず、認知症の診断書のみで免許停止の判断が行われているとの指摘もある。池田氏は「一部の認知症専門医は、こうした診断書を作成した経験もある程度あり、患者や家族からの不満を受け止める立場からは逃れられないことを承知していると思う。しかし、地域医療を担う医師にとっては、臨時適性検査のために患者や家族との信頼関係が築けなくなることは大変な事態と考えている」と話す。>
 
平成29年3月12日施行の改正道路交通法(https://www.pref.shizuoka.jp/police/anzen/jiko/kotsuho/documents/koreitaisaku.pdf)の普及徹底が急務と感じる。認知症診断で運転免許がなくなる高齢者の支援充実や介護予防の充実も不可欠であろう。全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000115521.html)の「若年性認知症施策総合推進事業実施状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115513.pdf)、「都道府県別認知症疾患医療センターの整備状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115512.pdf)、「平成27年度認知症初期集中支援チーム配置予定市町村一覧」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115503.pdf)、「平成26年度認知症カフェ設置市町村一覧」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115506.pdf)、「平成26年度市民後見推進事業実施市町村一覧」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115509.pdf)、「平成27年度権利擁護人材育成事業実施予定市町村一覧」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115510.pdf)、「各都道府県における「成年後見制度利用支援事業」実施状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115511.pdf)、「平成27年度認知症地域支援推進員配置予定市町村一覧」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115504.pdf)、「都道府県別キャラバン・メイト数、認知症サポーター数(自治体型)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115507.pdf)をみれば、認知症対策の取組格差が非常に大きいことがわかる。例えば、「保険者データヘルス全数調査」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/dhcs28/)の結果が日本健康会議データマッピング(http://kenkokaigi-data.jp/datamap/)に、介護保険でも同様の見える化(都道府県や市町村ごとの実施状況の公表)があってもよいように感じる。地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)では、「総合事業による週1回以上の通いの場の参加率」「在宅医療・介護連携推進事業の実施状況」が市町村ごとに出ているが、認知症施策の実施状況も公表すべきと感じる。全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000115521.html)の資料「介護サービス情報公表制度の活用等について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115405_1.pdf)にあるように、介護保険法改正で「市町村は地域包括支援センターと生活支援等サービスの情報を公表するよう努めなければならない」と規定され、昨年10月から、介護サービス情報公表システムを活用して公表できるようになった。厚労省の介護事業所・生活関連情報検索(http://www.kaigokensaku.jp/)による生活関連情報の公表項目(http://www.kaigokensaku.jp/publish_seikatsu/)には、見守り・安否確認、配食(+見守り)、家事援助、交流の場・通いの場、介護者支援、外出支援、多機能型拠点などがあり、市町村ごとに取り組み状況が公表されていることになっているが、入力されていない自治体が少なくない。いくら法律を改正し、国が莫大な予算で全国レベルの公表システムを構築しても、各自治体で取り組み・入力されなければ全く意味がない。それぞれの地域において、「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138618.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138620.pdf)によるそれぞれの地域における生活支援リスク、フレイルリスクの評価はどれほど行われているであろうか。地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)に「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138618.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138620.pdf)が再び組み込まれる意義は大きい。
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