保健福祉の現場から

感じるままに

保健医療2035と国民皆保険

2016年09月15日 | Weblog
キャリアブレイン「リーンヘルスケアは報酬のあり方も変える-保健医療2035を読み解く(1)」(http://www.cabrain.net/management/article/49610.html)。<以下一部引用>
<約800万人と言われる団塊の世代(1947-49年生まれ)が75歳(後期高齢者)を迎えるのが2025年、そのさらに10年先、地域包括ケアシステムが展開されている2035年の日本はどのような世界になっているのでしょうか。昨年6月、厚生労働省は日本の保健医療システムの在り方について「保健医療2035」という提言書をまとめました。提言書をまとめた懇談会は、急激な少子高齢化や医療技術の進歩など医療を取り巻く環境が大きく変化する中で、2035年を見据えた保健医療政策のビジョンとその道筋を示すため、国民の健康増進、保健医療システムの持続可能性の確保、保健医療分野における国際的な貢献、地域づくりなどの分野における戦略的な取り組みを検討しました。懇談会メンバーによる検討だけではなく、アイデアを募るためにパブリックコメントを求めていたのも話題になっていました。「2035年、日本は健康先進国へ」というキャッチフレーズの下、国民の健康意識に着目したり、死生観に基づいて最後まで自分らしい人生を全うするための仕組みづくりなど、保健医療の在り方についてのビジョンが掲げられています。そのビジョンとは、「リーンヘルスケア(保健医療の価値を高める)」「ライフデザイン(主体的選択を社会で支える)」「グローバルヘルスリーダー(日本が世界の保健医療を牽引する)」の3つです。保健医療2035の全体像  保健医療2035提言書より 保健医療2035のサイトには、全体像やコンパクトに解説したプレゼンテーションも掲載されています。全体像では、目指すべきゴールが示され、考え方の基本理念がしっかりと記されています。注目すべきは基本理念の一つにある「公平・公正(フェアネス)」です。「平等」ではなく「公正」なのです。つまり、一律に同じサービスを提供するのではなく、「正しいサービス提供とはどのような状態か」を考えていくということです。そして、その公正さを受け止める一人一人の「自律」も基本理念に位置付けられています。3つのビジョンを達成するための基盤となるのが「イノベーション環境」「情報基盤の整理と活用」「安定した保健医療財源」「次世代型の保健医療人材」「世界をリードする厚生労働省」の5つです。これはBSC(バランストスコアカード)の展開方法と同じなので、それぞれの重要成功要因と目標値、評価指標も定められていくことでしょう。2025年問題と言われますが、その対処方法は2035年を見据える必要があります。■「早い、安い、上手い」医療が評価される>

「保健医療2035」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/hokeniryou2035/)は地域保健関係者も理解しておきたい。この理念は素晴らしい。しかし、保健医療政策だけでは厳しい感じがする。例えば、内閣府「子供・若者白書」(http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/hakusho.html)の各種データ(http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h28honpen/sanko_10.html)の巻末5-4「非正規雇用者比率」の増加傾向(平成27年の25~34歳の非正規雇用者比率は37.5%;男性16.6%、女性40.9%)である。以前、キャリアブレイン「非正規雇用で生活保護20兆円-シンクタンク試算」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15814.html)も出ていた。貧困ビジネス(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9)はますます盛んにならないとも限らない。なお、理念にある「公平・公正」や「報酬のあり方も変える」はいうまでもないが、現実には、地域によって、保険種別によって、レセプト審査基準が異なっている。健康保険組合連合会から社会保険診療報酬支払基金への要請(http://www.ssk.or.jp/pressrelease/pressrelease_h28/press_280408_2.files/pressrelease_2804082_10.pdf)では、審査の充実強化として「健康保険組合からの指摘により確認された審査結果の異なる事例については、要因を分析し、その分析結果を情報開示するなど、健康保険組合が納得できる審査基準の統一化への対応に取り組んでいただきたい」「審査における支部独自の取決め事項(査定基準等)や取扱い(返戻等)については、その有無や内容を開示し、是正・統一化を図っていただきたい」「審査情報提供検討委員会で検討する事例については、検討対象を広げることで、審査格差の是正に努めていただきたい」とある。また、「次世代型の保健医療人材」も必要であるが、例えば、平成27年7月28日医政局地域医療計画課事務連絡「地域医療構想策定支援ツール等から得られる情報の関係者間での共有等について」では、医療計画作成支援データブックのNDB分析データの活用は医療計画・地域医療構想関係者、保険者協議会に限定され、NDB分析データ(生データではない!)の活用には誓約書による厳格な規制がかかっている。健康増進や地域包括ケアを担当する行政職員すら、医療計画作成支援データブックの分析データを閲覧できないでいる。ところで、全国保険医新聞(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/shinbun/160905.pdf)や「TPP 24のギモン」(http://www.parc-jp.org/teigen/2016/tpp-q&a.pdf)では「後発品の製造困難、医薬品高騰のおそれ」とあるが、国民皆保険に影響しないのであろうか。公的医療保険による報酬のあり方も変わるかもしれないが、まさかそれが「保健医療分野における国際的な貢献」というわけではないであろう。
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