保健福祉の現場から

感じるままに

新型インフル法案と公共の福祉

2012年03月07日 | Weblog
NHK「新型インフル法案まとまる」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120306/k10013530291000.html)。<以下引用>
<政府は、今の国会に提出する新型インフルエンザ対策の特別措置法案をまとめ、緊急事態のときは、国の対策本部が予防接種の対象者や接種する時期を定めるとして、法律上、すべての国民を予防接種の対象とすることを可能にしています。政府は、毒性や感染力の強い新型インフルエンザが大流行した場合、最悪のケースで64万人が死亡すると推計していて、去年9月には、すべての国民が予防接種を受けることができる体制の準備を進めることを盛り込んだ行動計画をまとめました。これを受けて、政府は、新型インフルエンザ対策の特別措置法案を今の国会に提出するため、医療関係者などからも意見を聞いて内容をまとめ、6日に開かれた民主党の部門会議に示しました。それによりますと、新型インフルエンザが流行したときには、総理大臣が本部長を務める国の対策本部を設置し、国民の生命や健康に著しく重大な被害を与えると判断した場合には「緊急事態」を宣言するとしています。そのうえで対策本部は、予防接種の対象者や接種する時期を定めるとしており、法律上、すべての国民を予防接種の対象とすることを可能にしています。また、予防接種は市町村が実施し、費用の半分から9割を国が負担するなどとしています。政府は、今月9日に法案を閣議決定したうえで国会に提出し、成立を目指すことにしています。政府がすべての国民を予防接種の対象とすることを可能にする法案をまとめた背景には、毒性や感染力の強い新型インフルエンザが大流行した場合でも、社会的な影響を最小限にとどめようというねらいがあります。国は、去年9月にまとめた「新型インフルエンザ対策行動計画」で、毒性や感染力の強い新型インフルエンザが大流行した場合、死亡者は最大で64万人に上り、ピーク時には、1日当たりの入院患者がおよそ40万人、企業などの欠勤は従業員の40%程度に上るという試算をまとめています。こうした状況では、医療態勢がひっ迫したり、流通が滞って食料品や生活必需品が不足したりするなど、生活のあらゆる面に支障が出ると予想されています。行動計画では、社会的な影響を最小限にとどめる対策として、発病や重症化を防ぐワクチンの活用を挙げています。しかし、実際に日本の全人口を対象に接種を進めるには多くの課題があります。まずワクチンの供給です。インフルエンザのワクチンは、鶏の卵でウイルスを培養して作るため、全人口分を製造するまでに1年半から2年ほどかかります。国は、国内のワクチンメーカーに交付金を配って、新たな製造方法の開発と施設の整備を進めていて、平成25年度までに製造期間を6か月に短縮することを目指しています。しかし、3年前、当時の新型インフルエンザが国内で流行入りしたのは、メキシコで発生が確認されてから僅か4か月後だったことから、6か月後に全人口分のワクチンを準備できたとしても、効果は限定的ではないか、とする見方もあります。さらに別の課題もあります。ワクチンを確保したあと、どのような順番で接種を進めるかという問題です。優先順位の決定には、重症者や死亡者をできるかぎり抑えるため持病のある人たちを最優先する、国の将来を守るために子どもを最優先するなど、さまざまな考え方があります。こうした考え方を十分に検討し、ウイルスの性質が分かった段階で速やかに優先順位を決定できるようにしておく必要があります。>

そういえば、新型インフルエンザの発生時に集会の禁止を可能にする法整備が進められていることについて、法律の専門家から「憲法違反の疑いがある」との批判が出ていると報道(厚生福祉3月2日号)されている。日本国憲法(http://www.ron.gr.jp/law/law/jp_kenpo.htm)第12条では、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」、13条では、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」とされている。ウィキペディア(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E3%81%AE%E7%A6%8F%E7%A5%89)では「公共の福祉とは、人権相互の矛盾衝突を調整するために認められる衡平の原理のことをいう(一元的内在制約説)」とされ、少々難しいが、個人的には「社会や他人に迷惑をかけないこと」と理解している。とにかく、以前の映画「感染列島」(http://cinematoday.jp/page/N0013505)の情景が全く「想定外」ではいけない。国民保護(http://www.kokuminhogo.go.jp/pc-index.html)は武力攻撃事態だけではない。例えば、痘瘡は1975年までわが国で種痘が行われていたが、1980年5月にWHOが「天然痘世界根絶宣言」が出されている。その後、平成15年11月の感染症法改正で、一類感染症に位置づけられるとともに、予防接種法の政令改正で法に基づく臨時接種がされることになっている。世界根絶宣言されている天然痘が法律で規定されるのは、起こりうる可能性が否定できないからである。 既に天然痘対応指針は第5版(http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/j-terr/2004/0514-1/index.html)が出されているが、普及しているようには感じられない。感染症指定医療機関(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou15/02-02.html)について、昨年4月1日現在の特定感染症指定医療機関は3医療機関(8床)、第一種感染症指定医療機関は37医療機関(71床)であるが、平成18年7月の総務省勧告(http://www.soumu.go.jp/kanku/okinawa/pdf/060905_02.pdf)では、第一種感染症指定医療機関の整備が進んでいないことが問題視されている。しかし、ある程度の患者が発生すれば、専用病床だけでは対応できないであろう。患者移送の問題もある。感染症法(http://www.ron.gr.jp/law/law/kansensy.htm)第三十二条による建物封鎖、第三十三条による交通遮断も必要になるはずである。この際、「公共の福祉」の認識を徹底する必要性を感じる。自由や権利を強調するだけではいけないであろう。新型インフルエンザ対策のための法制のたたき台案(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/dai48/siryou.pdf)では、「新型インフルエンザと同様の影響を持つ未知の新感染症にも適用」とされるが、一類感染症にも適用したいところである。
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