保健福祉の現場から

感じるままに

外来医療の機能分化と重症化予防

2017年12月09日 | Weblog
キャリアブレイン「診療報酬改定の基本方針、重症化予防に力点 医療保険部会が厚労省案で大筋合意」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20171207195232)。<以下引用>
<厚生労働省は7日、社会保障審議会医療保険部会に対し、次期診療報酬改定の基本方針案を示し、大筋で合意を得た。糖尿病などの重症化予防に取り組むため、「予防・健康づくり」や「セルフケア」を推進する方向性を強く打ち出した。今後、委員らの意見を基に加筆・修正し、来週をめどに公表する見通しだ。前回の会合で示された基本方針の骨子案に、委員らの意見を反映させた。「予防・健康づくり」と「セルフケア」に関しては、▽医療関係者▽保険者▽地方自治体▽企業-などが「一体となって国民一人一人を支援する」とした。また、「地域包括ケアシステム構築のための取り組みの強化」の項目では、患者が安心して入退院し、住み慣れた地域での療養や生活を続ける際、「救急時の対応」が重要な役割を果たすことを明記した。門前薬局・同一敷地内薬局の評価の適正化を推進するとした「効率性等に応じた薬局の評価の推進」の項目に関しては、「服薬情報の一元的・継続的な把握」といった薬局の本来の役割が期待されていることを書き加えた。「質の高い医療の実現・充実」の項目では、医療の中で重点的な対応が求められる分野を診療報酬で適切に評価することを明記。認知症の人に対する適切な医療の評価や小児医療、周産期医療などを充実させる方向性が盛り込まれた。>
 
医療保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126706)の「平成30年度診療報酬改定の基本方針(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000187189.pdf)p3、p6「○外来医療の機能分化、重症化予防の取組の推進 ・大病院受診時定額負担の見直しを含め、大病院と中小病院・診療所の機能分化を推進。・生活習慣病の増加等に対応できるよう、情報通信技術(ICT)の有効活用や、かかりつけ医と専門医療機関等との連携、医療機関と保険者、地方公共団体等との連携等を含め、質の高い医学管理や、効果的・効率的な重症化予防の取組を評価するなど、疾患の進展の阻止や合併症の予防、早期治療の取組を推進。」が具体的にどう報酬に反映されるか、注目である。現在、「外来時の負担等について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000179591.pdf)p4「紹介状なしで大病院を受診する場合等の定額負担」は、特定機能病院及び一般病床500床以上の地域医療支援病院が対象である。中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「横断的事項(その4)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000183841.pdf)p113「紹介状なしで大病院を受診する場合等の定額負担」につて、p130「診療報酬における病床数に係る要件の見直しや検証調査の結果等を踏まえ、対象医療機関の範囲の拡大についてどう考えるか。」とあるが、p114「紹介状なしの大病院受診時に係る選定療養 (200床以上の選定療養取扱い)」を勘案すべきで、特定機能病院や地域医療支援病院に限定すべきではないように感じる。また、「外来医療(その3)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000183042.pdf)p43「生活習慣病の重症化予防の推進のため、効果的・効率的な指導管理の取組みを促す観点から、①療養計画の内容(検査値の目標、特定健診・特定保健指導の受診勧奨等)や、②ガイドラインやデータに基づく診療支援等といった視点から、生活習慣病管理料の見直しを検討してはどうか。」とあったが、これは大病院ではなく、かかりつけ医で推進すべきである。「外来医療(その2)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000158415.pdf)p52~56に示す「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)は保険者とかかりつけ医との連携が絶対条件である。平成29年1月17日国民健康保険課事務連絡「平成28年度保険者努力支援制度前倒し分に係るQ&Aの送付について その2」の問3では「(答)「かかりつけ医との連携」とは・事業実施にあたり、事業内容について医師会に情報提供すること。・事業実施過程で、事業内容について医師会から助言を受けること。・事業実施にあたり、個々の取組についてかかりつけ医に情報提供すること。・事業実施過程で、個々の取組についてかかりつけ医から助言を受けること等を指す」とされたことは認識したい。もはや生活習慣病対策は大病院の専門医中心の時代ではない。すなわち、かかりつけ医にとっては、①医療連携による「糖尿病透析予防指導管理料」「腎不全期患者指導加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1_27/b001_27.html)で対応する患者と、②保険者との連携による「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)で対応する患者がある。「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000121902.pdf)p9「図表3」では、第2期・3期は「かかりつけ医と連携した糖尿病性腎症保健指導」、第4期は「かかりつけ医と専門医との連携、地域での支援」と異なる対応が示されている。第4期は「外来医療(その2)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000158415.pdf)p47「腎不全期患者指導加算」があることも認識したい。今後、特に第2期・3期について、保険者とかかりつけ医との連携による「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)を推進するためには、特に「外来医療(その2)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000158415.pdf)p44「生活習慣病管理料」が注目される。「糖尿病性腎症重症化予防に係る連携協定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000117513.html)も踏まえるべきで、まさに、受診抑制ではなく、受診勧奨による医療費適正化が求められており、外来医療の役割分担と連携が不可欠であろう。なお、厚労省の国民健康保険課事務連絡(平成29年1月17日)で要請している「かかりつけ医から市町村への助言」について、照会先(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000108574.pdf)で異なる見解を示さないよう、大至急、「診療情報提供料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b009.html)の算定の可否について、診療報酬の疑義解釈(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106421.html)として出すべきである。なお、「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000121902.pdf)p7「特定健診では尿蛋白が必須項目であり、糖尿病に加えて尿蛋白(+)以上であれば第3期と考えられる。(±)は微量アルブミン尿の可能性が高いため、医療機関では積極的に尿アルブミン測定を行うことが推奨されている。尿アルブミンは健診項目にはないが、糖尿病で受診勧奨判定値以上の場合、医療機関への受診勧奨がなされ医療機関において尿アルブミンが測定され、第2期の把握が可能となる。」とある。社会保険診療報酬支払基金「157 アルブミン定量(尿)(糖尿病性早期腎症)」(http://www.ssk.or.jp/shinryohoshu/teikyojirei/ika/kensa/jirei157.html)の「糖尿病性早期腎症(第1期又は第2期の記載がないもの。)に対してのアルブミン定量(尿)の算定を認める。」の取り扱いは周知したい。気になるのは、医療機関において糖尿病患者に「157 アルブミン定量(尿)(糖尿病性早期腎症)」(http://www.ssk.or.jp/shinryohoshu/teikyojirei/ika/kensa/jirei157.html)が積極的になされるようになり、各医療保険者に対して、「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)が依頼できる状況になっているかどうか、である。重症化予防(国保・後期広域)ワ-キンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=318630)のとりまとめ(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000170308.html)を参考に、戦略的に「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)を進める必要がある。NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)では、特定健診結果について都道府県別の性・年齢階級別のデータが出ており、数値がかなり悪い勤務世代が少なくない。この際、社会全体で、勤務世代の健康管理の取組如何が、国保、後期高齢者医療、介護保険に影響する認識を持ちたいものである。「外来医療の機能分化と重症化予防」は最重点施策といえるかもしれない。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 予防接種と感染症対策 | トップ | 周術期口腔管理 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Weblog」カテゴリの最新記事