保健福祉の現場から

感じるままに

病院も在宅医療の一翼

2017年01月30日 | Weblog
M3「病院による在宅医療提供、設立母体で可否を定めることは問題―日病協・神野議長」(http://www.medwatch.jp/?p=12155)。<以下引用>
<公立病院による在宅医療提供の是非が厚生労働省の審議会などで議論されつつあるが、「地域医療構想調整会議」で地域の実情を踏まえて決めるべきであり、公的病院・民間病院といった設立母体で可否を決めることには多少問題があるのではないか―。全日本病院協会や全国公私病院連名、日本病院会など13の病院団体で構成される日本病院団体協議会の神野正博議長(全日病副会長)は、27日に開いた代表者会議後の記者会見で、このような見解を示しました。ただし「特定機能病院や地域医療支援病院、3次救急医療機関などの医療機関で在宅医療を提供することが適切か」という機能による切り口は検討に値するとの考えも述べています。各都道府県では地域医療構想(構想)の策定が進められており、次の注目ポイントは「構想の実現に向けて、地域医療構想調整会議(調整会議)でどのような議論が進められるか」という点に移りつつあります。厚労省の「医療計画の見直し等に関する検討会」が昨年(2016年)末にまとめた意見にも、「調整会での議論の進め方」の一例が盛り込まれており、そこでは2016年度中に改革プラン策定が義務付けられている公立病院などの機能をまず明確にすることとされています。ところで、改革プランのベースとなる新公立病院改革ガイドラインでは、「特に、中小規模の公立病院にあっては、介護保険事業との整合性を確保しつつ、例えば、在宅医療に関する当該公立病院の役割を示す(中略)など、地域包括ケアシステムの構築に向けて果たすべき役割を明らかにすべき」とされています。この記述をめぐり、1月18日の社会保障審議会・医療部会で中川俊男委員(日本医師会副会長)から、「民間医療機関が在宅医療を担うことができないなどの地域を除き、公的病院による在宅医療提供や地域包括ケア病棟設置の動きを積極的に行うことは避けるべき旨を明確にしてはどうか」との指摘が出されるなど、公立病院・公的病院の機能に関する議論が俄に熱を帯びてきています。この点について神野議長と原澤茂副議長(全国公私病院連盟常務理事)は、地域によって医療提供体制の状況は異なる(公立病院しかない地域では在宅医療も提供すべきであるし、逆に大都会では公立病院は在宅医療を担う必要性は少ない)ため、「本来は調整会議で議論すべき」という点を強調。さらに神野議長は、「公立病院・公的病院か、民間病院かなど、設立母体で(在宅医療提供の可否を)決めるのは多少問題があるのではないか」と述べた上で、「特定機能病院や地域医療支援病院、3次救急を担っている医療機関が在宅医療提供を担うことが適切か、という切り口はあるのではないか」との見解も示しています。また、仮に在宅医療提供のガイドラインなどが検討される場合には、「社保審の医療部会で議論することが適切ではないか」との考えも付言しました。なお神野議長は、「在宅医療提供には費用がかかることが分かっている。その点も覚悟した上で、費用の配分(例えば2018年度改定における財源配分)を議論してほしい」ともコメントしています。2018年度改定に向けて、「病棟群の恒久化」を論理的に主張する また2018年度の診療報酬・介護報酬改定に向けた議論が前倒しで進められることを踏まえ、原澤副議長は ▼4-5月に大枠、総論的な第1弾の改定要望 ▼10-11月に各論に関する第2弾の改定要望―を示す考えを明らかにしました。その際、2016年度の前回改定に向けた要望に盛り込まれた「病棟群単位の入院基本料」の扱いが気になります。日病協では「恒久的な病棟群」を認めよと求めたのに対し、厚労省は「7対1から10対1に移行する際のワンクッション」として、時限的な病棟群を認めるに止めています。この点について神野議長は、▼地域包括ケア病棟との役割分担 ▼傾斜配置(1つの入院基本料の中で看護配置に傾斜を付ける)と比べた病棟群のメリット ▼病棟間の患者移動 ▼患者像―などについて日病協の中で議論を踏まえ、「論理的に」病棟群を推し進めていく考えを強調しています。また原澤副議長は、「内科系の病院では、重症患者割合25%以上をクリアすることは難しい。私見であるが、『病棟群』の群はカッコ書きにしてもよいのではないかと考えている」と述べ、院内での機能分化を正面から進めるべきとの見解も披露しています。なお、27日の総合部会では、来年度、つまり2017年4月1日から、新議長に原澤茂・現副議長が、実務者委員長に池端幸彦氏(日本慢性期医療協会副会長)が就任することも了承されています。>

M3「「病院の在宅医療にガイドラインを」、日病協 神野氏「在宅医療は費用覚悟で議論すべき」」(https://www.m3.com/news/iryoishin/497825)。<以下引用>
<日本病院団体協議会代表者会議の議長を務める神野正博氏(日本社会医療法人協会副会長)は1月26日、同会議後の会見で、病院が在宅医療に乗り出すことについて、地域医療構想調整会議で議論する際に用いる「在宅をやる病院はこうあるべしという、何らかのガイドラインが必要ということで一致した 」と報告した。1月18日に開催された社会保障審議会医療部会で、日本医師会副会長の中川俊男氏が「医療機能の役割分担」「在宅医療」に関する議論の中で、「大学病院あるいはその分院、地域の基幹となる公立病院等が、在宅医療をやる動きが出てきている。医療の機能分化と連携を考えると、役割が違う。“草刈り場”のように、在宅医療に取り組むことは、地域包括ケアシステムの構築と逆行する」と指摘。神野氏は「公立病院がやっていいか悪いかは、本来ならば調整会議で議論すべき。地域の事情があり、公だから、私だからと決めるのは多少問題がある」と指摘。同会議の議論は「三次救急医療病院ではどうか、地域医療支援病院はどうか、特定機能病院はどうか、その分院はどうかという切り口はあるだろう段階」と説明した。2017年度から議長に就任することが公表された同会議副議長の原澤茂氏(全国公私病院連盟常務理事)は、ガイドラインは必要としつつも「地域によって違うことを念頭に置くべき。金太郎飴みたいになるのはおかしい。大きな病院の中でやらざるを得ない地域もあるし、大都会の大病院がやるのはおかしいということになるかもしれない。地域による差があって当たり前で、地域の調整会議で担うべき」と述べた。2018年度の医療・介護報酬同時改定に向けて神野氏は、「多くのデータが出ているように、施設に比べて在宅医療が金銭的に安いわけではない。今後決められた診療報酬の中で、入院医療と増え続けていく在宅医療をどういう割合にするかが大きな関心事になり、それは介護保険の在宅との絡みもある。在宅医療にはそれなりにお金がかかることを覚悟の上で、議論を進めてもらいたい」と主張した。>
 
以前、M3「超急性期病院、「地域ケア科」設置のわけ◆Vol.2 病院経営、地域医療、患者ニーズへの対応」(https://www.m3.com/news/iryoishin/492237?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170116&dcf_doctor=true&mc.l=201194518&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e)が出ていた。在宅医療は在宅療養支援診療所だけで考える時代ではないように感じる。「在宅医療適応患者」といっても様々である。例えば、無菌調剤や腹膜透析などでは病院資源が期待されるであろう。「平成28年度診療報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106421.html)説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112857.html)医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p46「退院直後の在宅療養支援に関する評価;退院後訪問指導料、訪問看護同行加算」も認識したい。地域では診療所による在宅医療と病院による在宅医療の役割分担と連携も必要であろう。中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)で「在宅医療(その1)」が出ているが、地域によって大きく異なる。中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「入院医療(その1)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000149651.pdf)p51をみれば、地域包括ケア病棟入院料1が急増していることがわかり、p50に示す3機能について、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)や地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)の推進の観点からは、特に「②緊急時の受け入れ、③在宅・生活復帰支援」を重視すべきで、病院も在宅医療の一翼を担うのはいうまでもない。「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=370580)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000132232.pdf)p2「在宅医療に必要な医療機能;①退院支援、②日常の療養支援、③急変時の対応、④看取り」がそれぞれの地域でどうなのか評価しながら進めるべきであろう。しかし、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000132232.pdf)p3~4「医療計画に記載することが求められる指標(在宅医療関係)」に示すように、都道府県単位に留まる指標が少なくない。一応、厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」では市町村別の居宅死亡割合や施設死亡割合をはじめ、在宅医療に関する市町村別の各種データが出ているのであるが、なぜかレセプト分析データは除外されている。また、第1回NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)には在宅医療関連のレセプト分析データが出ているのであるが、都道府県単位どまりである。これではいけない。全国の保健所が3年ごとに実施している「医療施設静態調査」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/14/)(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/index.html#00450021)の一般診療所票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_ippan.pdf)、病院票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_byouin.pdf)をみれば、医療保険・介護保険での在宅医療の取り組み状況と実績の詳細(往診、訪問診療、訪問看護・指示書交付、訪問リハビリ、在宅看取り等の実施件数)が把握でき、歯科診療所票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_shika.pdf)には、在宅医療サービスの実施状況;訪問診療(居宅、施設)、訪問歯科衛生指導、居宅療養管理指導(歯科医師による、歯科衛生士による)等もあることは知っておきたい。さて、「退院支援加算1」について、通知「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335825&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114881.pdf)第26の5「退院支援加算1に関する施設基準」では「連携する保険医療機関又は介護保険法に定める居宅サービス事業者、地域密着型サービス事業者、居宅介護支援事業者若しくは施設サービス事業者等(以下「連携保険医療機関等」という。)(特別の関係にあるものを除く。)の数が20以上であること」とされていることも認識したい。とにかく、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)・地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)による「在宅医療等」と、介護保険事業(支援)計画による「医療介護連携」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000060713.html)や「地域包括ケアシステム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/)が、それぞれの地域において一体的に推進されなければならない。地域支援事業の在宅医療・介護連携推進事業の実施主体は市町村であるが、医療政策上、一般的な入院・退院は二次医療圏単位で進めており、「関係者による協議の場」は二次医療圏ごとに必要であろう。その際、医療計画に関する厚労省医政局通知(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_keikaku.pdf)p36「圏域連携会議は、各医療機能を担う関係者が、相互の信頼を醸成し、円滑な連携が推進されるよう実施するものである。その際保健所は、地域医師会等と連携して当会議を主催し、医療機関相互または医療機関と介護サービス事業所との調整を行うなど、積極的な役割を果たすものとする。」とあり、圏域連携会議(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000066602.pdf)での保健所の役割を重視したい。改正「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針(総合確保方針)」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000146721.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000146722.pdf)p4「特に、在宅医療体制の整備、医療及び介護の連携に向けた取組等はこれまで市町村になじみが薄かったことから、都道府県がより広域的な立場から、保健所の活用等により、市町村の後方支援等を積極的に行うことが重要である。」も踏まえたい。
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