保健福祉の現場から

感じるままに

療養病床の行方

2014年09月12日 | Weblog
キャリアブレイン「病院から療養の概念がなくなる- 日慢協・武久会長」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/43767.html)。<以下引用>
<日本慢性期医療協会は11日、東京都内で定例記者会見を開いた。武久洋三会長は今後、一般病床と療養病床という垣根が取り払われ、治療のための病床に統一されていくとの見方を示した。武久氏は、2014年度の診療報酬改定を通じて、病院から療養という概念をなくそうとする厚生労働省の考え方が見えてくるとし、今後、療養病床は一般病床と同じく治療のための病床に統一されていくとの見方を示した。武久氏はそのように考える理由として、病床面積の基準に、一般病床においても療養病床と同じ6.4平方メートルが採用され、ハード面での違いがなくなってきたほか、データ提出加算についても、試行的に療養病床に拡大されることを挙げた。日慢協としても、データ提出を前向きにとらえ、加算取得のための講習会を行っていくとした。武久氏はまた、病棟別の医師、看護師、介護職の配置基準について、将来的に5対1と7対1が急性期とされ、10対1、13対1が「地域包括期」になるとみている。慢性期についても、15対1と20対1になると予想し、25対1からは「介護期」になるとみている。また、地域包括ケア病棟についても、中小病院で整形や白内障の手術などを行っていることから、一部を7対1として残さなければならない状況があるとし、在宅復帰率の要件などをクリアできないことが危惧されるとした。武久氏は、16年度の報酬改定には地域包括ケア病棟の手術点数を別建てで盛り込んでほしいと訴えた。記者会見ではこのほか、池端幸彦事務局長が介護療養病床の今後の方向性について述べた。池端氏は、介護療養病床にある機能はこれからも絶対に必要になってくるとし、医師の24時間対応や100床に対して医師3人の配置基準は守られる必要があるとした。さらに、介護療養病床には、どのような状態の患者が入院するのか、具体例を示していく必要があるとし、例として、がん末期で麻薬などを使用していないが、医療管理が必要な患者や身体合併症のある認知症患者などを挙げた。>

一口に「療養病床」といってもピンキリである。中医協資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000031001.pdf)p65では、回復期リハビリテーション病棟入院料算定の49.5%が療養病床で、一般病床よりも多いことが出ていた。また、平成26年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000032996.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000039891.pdf)p38の地域包括ケア病棟入院料は、「療養病床については、1病棟に限り届出することができる」とされ、地域包括ケア病棟を考える療養病床も出てくる。とにかく、平成26年度診療報酬改定資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000039891.pdf)のp30「7対1入院基本料における自宅等退院割合75%要件」、p39「地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)1の在宅復帰率70%要件」ができたことは大きく、療養病床を有する病院が、7対1一般病棟入院基本料や地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)1の算定病棟を有する病院から、従来どおり患者を受け入れるには、療養病床を有する病院がp37の「在宅復帰機能強化加算」をとれるようにするか、「回復期リハビリテーション病棟入院料」の届出を出せるようにするか、あるいは、「老人保健施設」に転換するか、等を真剣に検討しないといけなくなった。今年10月からの病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)において、療養病床を有する各医療機関の実態とどのような方向性が打ち出されるか、注目である。なお、既に将来の医療需要については、「日医総研 日医総研ワーキングペーパー 地域の医療提供体制の現状と将来- 都道府県別・二次医療圏別データ集」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/no_553.html)、病院情報局「入院患者数の将来予測値と既存病床数とのギャップ試算」(http://hospia.jp/wp/archives/244)が出ている。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000052610_1.pdf)p26に出ているように、平成27年3月に出る地域医療構想策定ガイドラインでも同様の推計が打ち出されるかもしれない。そういえば、8月7日の介護給付費分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000053841.html)の「平成27年度介護報酬改定に向けて(介護老人保健施設、介護療養型医療施設について)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000053838.pdf)p54では、介護療養型医療施設について「介護療養型医療施設は、他の介護保険施設と比較して、要介護高齢者の看取りやターミナルケアを中心とした長期療養を担っているとともに、喀痰吸引、経管栄養、排尿時の処置及び持続点滴を高頻度で実施している。今後、医療ニーズの高い中重度要介護者の増大、特に慢性疾患や認知症を有する高齢者の増加が見込まれる中で、現在の介護療養型医療施設が担っているこれらの機能については、今後とも確保していくことが必要ではないか。介護療養型医療施設が担っている看取りやターミナルケアの機能を引き続き確保するためには、どのような体制や取組が重要と考えるか。また、医療保険適用病床での看取りやターミナルケアへの対応と比較して、介護療養型医療施設における看取りやターミナルケアの提供にはどのような特徴や違いがあるか。」とされており、療養病床の行方も地域医療ビジョンで重点的に協議されるように感じる。
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