保健福祉の現場から

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医師・看護師の需給見通しと偏在対策

2017年01月30日 | Weblog
M3「「強力な医師偏在対策を」、四病協神野氏が要望 日看協、四病協、現場の医師4人にヒアリング」(https://www.m3.com/news/iryoishin/497766)。<以下引用>
<厚生労働省「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(座長:渋谷健司・東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授)は、1月26日の第9回会議でヒアリングを行い、四病院団体協議会の神野正博氏(全日本病院協会副会長)は、「医師の偏在対策なくして、需給の議論はない。強力な偏在対策によって、初めて需給調整が可能」とし、保険医定数制や開業規制、総合診療医のアイデンティーの早期確立と臓器別専門医の抑制などの検討が必要だとし、偏在対策ができないのであれば医師の総数を増やすべきと主張した。神野氏が挙げた医師の偏在対策は、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」の中間取りまとめで検討課題として挙がっている事項だ。ビジョン検討会の第8回会議でプレゼンテーションした日本医師会副会長の今村聡氏も、医師の偏在対策の重要性を強調し、この点では日医と四病協の意見は一致しているが、四病協の場合、「偏在対策ができなければ医師増が必要」と打ち出している点が異なる。神野氏は、医師偏在の現状をデータを用いながら提示、「地方では医師不足に拍車がかかっている」とした。例示した一つが、国際医療福祉大学医療福祉・マネジメント学科教授の高橋泰氏の研究データ。例えば、2004年から2014年までの間に、東京都区中央部は人口当たりの医師数が32%増加した一方、僻地などでは減少した地域が少なくない。神野氏は、医師の需給をバケツの水にたとえ、偏在対策が的確になされれば、「小さなバケツ」で済み、少ない医師数でも、地方や全ての診療科に医師が行き渡るものの、「乏しい偏在対策」であれば、「大きなバケツ」(多数の医師)が必要であると主張した。総合診療に従事する医師の必要性を訴えたのが、亀田総合病院(千葉県鴨川市)総合内科部長の八重樫牧人氏。医療のニーズは、「日本で1000人が1カ月生活している」との想定の場合、外来受診者は307人である一方、入院する患者数は7.2人、大学病院に入院する患者数は0.3人にすぎないという研究結果などを踏まえ、「99.9%はコモンな病気であり、コモンな病気を診る専門医が数多く必要。それがプライマリ・ケア医」と主張。プライマリ・ケア医の増加効果として、予後改善効果、コスト削減効果などを挙げ、「医療の質も専門医に比べ劣らない」と説明。その上で、八重樫氏は、「私見」と断りつつ、「総合医(総合内科医、総合診療医、小児科医)が、少なくとも全医師の30%必要」と提案。この目標達成には、政策誘導が必要だとし、(1)今後開業するなら、総合医の資格取得を必須とする、(2)グループ開業を誘導する(かかりつけ医でも、オン・オフがはっきりする)、(3)地域ごとの必要医師数算定と調整、(4)かかりつけ医制度の導入、(5)出来高制ではなく、Pay-for-performance――などを挙げた。ビジョン検討会の次回(第10回会議)は、2月上旬の開催で、第8、9回のヒアリングを踏まえたフリーディスカッションの予定。その議論を踏まえ、最終的な取りまとめに入る見通し。ビジョン検討会の議論の重要なデータとなる、約10万人の医師を対象に実施した「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」の結果が注目されるが、非公開で行われた第9回会議後のブリーフィングで、厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、「2月に向けて、データクリーニングや詳細な分析を行っており、2月に公表できるように、急ぎ準備をしている状況」と説明、第10回会議後に公表されるか否かは現時点では未定だ。看護師の働き方改革、総合診療、AI 第9回会議では、神野氏と八重樫氏のほか、日本看護協会会長の坂本すが氏、佐賀県の唐津市民病院きたはたの大野毎子氏、東京慈恵会医科大学脳神経学講座の高尾洋之氏、東京大学医科学研究所付属病院血液腫瘍内科の横山和明氏の4人へのヒアリングを行った。検討会後の厚労省ブリーフィングによると、日看協の坂本氏は、看護師の役割が現在大きく変わりつつあることから、今後の看護師に求められる資質、働き方、教育内容について説明。その中で、「夜勤回数が多いほど、離職率が高い」「夜勤のできる看護職の勤務負担が増大」などと指摘し、夜勤・交代制勤務改革の必要性を訴えた。また教育を充実する必要性を訴え、基礎教育を4年制に変えていくことが重要だとした。唐津市民病院の大野氏は、人口12.5万人、高齢化率29.3%(2015年)における唐津市における僻地診療、家庭医療の現状について説明。唐津市民病院は、56床の医療療養病床として運営している。常勤医5人のうち、3人が総合診療医(家庭医療専門医、もしくは総合内科医)。療養病床と総合外来を持ち、「地域密着型ハブ病院」として機能をしている。病診連携では、急性期病院とは紹介・逆紹介を行うほか、僻地を含む開業医の入院適応患者を受け入れ、療養病棟であっても、高齢者の急性期入院は頻繁だという。佐賀大学の総合診療部と連携し、医師のキャリアデベロップメントを考えながら、地域医療に貢献できる体制を構築しているのも特徴で、大野氏自身、研修日には大学の外来カンファレンスなどに参加している。慈恵医大の高尾氏は、病院におけるICT導入の現状を紹介。例として挙げた一つが、高尾氏らが開発した「Join」だ。これは、遠隔地にいる専門医が、スマートフォンを使ってMRIなどの医用画像の診断支援などを行うシステム。旭川医科大学での実証研究では、大動脈解離などの患者で、連携病院からの救急搬送の時間が短縮でき、予後改善や医療費削減につながる早期治療を実現できた。医療機器プログラムとして認証され、2016年度診療報酬改定では、「Join」を活用した場合に、「脳卒中ケアユニット入院医療管理料」の常勤医要件が緩和された。病院でICT化が進まない問題点として、(1)導入費に対する費用対効果、(2)業務内容の効率化を見える化できるか、(3)新しいことをやることへの抵抗感――を挙げる一方、ICTの活用で、仕事の効率化が可能であり、患者中心の医療につながると説明。東大医科研の横山氏は、同研究所で、臨床シークエンスを実施し、急性骨髄性白血病患者の治療法を見いだした実例などを紹介(『そうだ!Watson君に聞いてみよう!』を参照)。AIの使い方として、多数の情報の中から関連データ(論文や遺伝子変異など)を収集することは特異だが、それを臨床に適用していくのは医師の仕事であり、「できること」と「できないこと」を踏まえて、活用していく大切さを説いた。>
 
西日本新聞「常勤医、早急に確保を 平戸市の市立2病院改革、検討委が答申 [長崎県]」(http://www.nishinippon.co.jp/nnp/nagasaki/article/304101)。<以下引用>
<平戸市に二つある市立病院のあり方について協議してきた市立病院新改革プラン検討委員会(委員長・調漸長崎大副学長、6人)は26日、常勤医の早急な確保を求める答申書を黒田成彦市長に提出した。 答申によると、患者数に対し必要な医師数は平戸市民病院は9・2人、生月病院は5・5人。現在、常勤医はそれぞれ7人、4人と不足しており、それぞれ非常勤医2人、1人を雇ってやりくりしている。常勤医の高齢化も進み、当直勤務などで中堅や若手の負担が増しているという。答申では「このままの体制ではさらなる常勤医の流出も懸念され、病院自体の存続が危ぶまれる」と指摘。「県や長崎大病院に積極的な支援策を呼び掛けるなど、あらゆる方策を駆使して、全力で医師確保を図っていく必要がある」と強く要請している。人口10万人当たりに換算した医師数(推計)は、県平均は約300人。平戸市は152人と大きく下回っており、市立病院が地域医療に果たす役割は大きい。また、答申は国の在宅医療の推進を受けて、平戸市民病院の一般病床58床、療養42床、生月病院の一般60床の病床数は維持しつつ、その中で回復期病床を増やす一方、休止中の訪問看護ステーションを再開するよう求めた。積極的な経営戦略の構築のため、外部登用を含め専門職員の確保も求めた。答申を踏まえ、市は2月までに、新改革プラン(2020年度まで)を策定し、実現を目指す。>
 
M3「福岡、メディカルモール開設の医療法人が破産、負債16億円」(https://www.m3.com/news/general/497786)。<以下引用>
<(医)大郁会(福岡県福津市日蒔野5、設立2001年11月20日、代表者:大原郁一氏)は1月24日、福岡地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。申請代理人は森豊弁護士ほか2名(伊達法律事務所)。監督委員には吉岡隆典弁護士(けやき通り法律事務所)が選任された。負債総額は申請時点で約16億円。2001年11月設立の医療法人で「福津中央クリニック」を運営。人工透析や内科・循環器科を手掛けていたが、赤字が慢性化していた。2015年12月期では営業収入が5523万円に対して当期純損失5273万円を計上し、債務超過となった。これらの状況を打開するべく、2015年11月以降、産婦人科の「福津中央ウィメンズクリニック」、小児科の「キッズクリニック福津中央」からなるメディカルモールを本社近隣に開設。他社が運営する調剤薬局なども入居し、来院客の増加が見込まれた。しかし、メディカルモールは軌道に乗らず、2016年9月10月にはキッズクリニック福津中央を閉鎖し、今年に入り福津中央ウィメンズクリニックが診療を停止していた。メディカルモールへの投資負担の他、さらに内部にて資金面のトラブルも発生し、資金繰りに行き詰まり今回の事態に至った。なお、福津中央クリニックは2月1日に診療を再開する予定と聞く。>
 
「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=384675)ではヒアリングが続けられている。平成28年度全国厚生労働関係部局長会議(http://www.mhlw.go.jp/topics/2017/01/tp0117-1.html)の医政局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2017/01/dl/tp0117-k01-02-02p.pdf)p22「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」で「今後、医師の働き方・勤務状況に関する全国的な調査研究も実施し、1月頃の議論に提供。(研究班代表者:井元構成員) ◆ この調査結果も踏まえ、本年度中を目途にとりまとめ予定」、p23「「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」の概要」で「平成29年1月~2月頃 ビジョン検討会に報告予定」とあったが、「1月頃の議論に提供」から遅れているようである。医師需給分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=318654)の中間とりまとめ(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000120207_6.pdf)に続いて、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=384675)から中間的な議論の整理(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000146856.html)が出されているが、医師需給分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=318654)の最終とりまとめはどうなるのであろうか。しかし、需給分科会は医師だけではない。看護職員需給分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=338805)では平成28年6月10日に「看護職員の需給推計方法(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000126968.pdf)が示され、当初の厚労省スケジュール(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000117664.pdf)では平成28年8月第3回会合「需給推計方法を確定後、都道府県の需給推計ツールを策定し、各都道府県で需給推計を実施。」、平成28年10月第4回会合「都道府県推計の集約」とあったが、スケジュールが大幅に遅れている。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138746.pdf)p9「2025年の医療機能別必要病床数の推計結果(全国ベースの積上げ)」は看護師の需給推計に大きく影響するのは間違いないであろう。一体いつになれば、医師・看護師の需給見通しと偏在対策が正式に打ち出されるのであろうか。「医療計画の見直し」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000149030.pdf)は平成29年度であるが、医師・看護師の需給見通しと偏在対策は反映されないのであろうか。医療部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126719)にも注目である。
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