保健福祉の現場から

感じるままに

高額薬剤の薬価の行方

2017年05月18日 | Weblog
メディウォッチ「製薬メーカーが新薬創出等加算の継続を強く要望―中医協・薬価専門部会」(http://www.medwatch.jp/?p=13715)。<以下引用>
<一定の要件を満たした新薬について、薬価を下支えする機能を持つ「新薬創出・未承認薬解消等促進加算」は、医療の質の向上に資する革新的新薬の創出のためには不可欠であり、制度化する必要がある—。中央社会保険医療協議会の薬価専門部会が18日に実施した、関係業界からのヒアリングの席で、製薬メーカー代表はこのように強調しました。一方、中医協委員からは加算の在り方に疑問も出されており、年末に向けた薬価制度改革論議がさらに熱を帯びそうです。製薬メーカー、新薬創出等加算の存続などを強く要望 昨年(2016年)末に「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」が取りまとめられ、次のような項目があげられています。(1) 市場拡大に速やかに対応するための薬価見直し(2)毎年の薬価調査と、乖離の大きな品目の薬価改定(3)新薬創出・適応外薬解消等促進加算(新薬創出等加算)の抜本的見直しや費用対効果評価の本格的導入(4)薬価算定方式の正確性・透明性の徹底や、外国価格調整方法の改善(5)革新的バイオ医薬品およびバイオシミラー(バイオ後続品)の研究開発支援方策など(6)安定的な医薬品流通の確保(7)費用対効果を踏まえた、新たな医療技術の迅速な保険導入 薬価専門部会では、これらについて具体的な改革方策を議論しており、17日には関係業界(製薬メーカー、卸業者)から意見聴取を行いました。意見を述べたのは、▼日本製薬団体連合会(日薬連)▼米国研究製薬工業協会(PhRMA)▼欧州製薬団体連合会(efpia)▼日本医薬品卸売業連合会(卸連)―の4団体です。日薬連の多田正世会長は、医療の質向上に貢献する「革新的な新薬」の創出を後押しする薬価制度であるべきとし、「(3)の新薬創出等加算のコンセプトをもとに『特許期間中の新薬』の薬価を維持する仕組みの制度化」を強く要望したほか、▼中間年薬価改定の対象の限定▼特例拡大再算定の廃止も含めた見直し▼外国平均価格調整の限定的な適用▼後発品であっても「銘柄」に着目した薬価制度―などを求めています。また、PhRMA在日執行委員会のパトリック・ジョンソン委員長も、(3)の新薬創出等加算によって医薬品開発が活性化した点を強調し、「新薬の特許期間中は原則として薬価が維持される仕組みが引き続き必要であり、現行の新薬創出等加算から対象品目を縮小すべきではない」と指摘。このほか、▼中間年薬価改定の対象の限定▼特例を含めた、市場拡大再算定の在り方の見直し▼外国平均価格調整から米国価格を除外しない―点を要望しました。Efpiaのオーレ・ムルスコウ・ベック会長も、多田会長やジョンソン委員長と同様に(3)の新薬創出等加算の継続を求めたほか、中間年の薬価改定(2)においては「乖離率の大きな長期収載品と後発品のみを対象とすること」、効能効果追加による市場拡大への対応(薬価引き下げ(1))においては「売り上げの大きな製品で、効能追加によって市場が大きく拡大する例外的事例のみを対象とすること」などを要望しています。一方、卸連の鈴木賢会長は、(2)の「中間年の薬価調査・改定」に関して「範囲を極力限定すべき」(例えば調査客体数の絞り込み)と強く求めたほか、▼公表事項の維持(拡大は、価格交渉に重大な影響を及ぼす)▼単品単価契約が推進されるような施策▼9月までの妥結価格が年度後半で大きく変動しない仕組み—も要望しています。支払側委員は新薬創出等加算の見直しを求める このように製薬メーカーは「新薬創出等加算の維持」(あるいはさらに発展的な仕組みの創設)を求めていますが、中医協・支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、この点に疑問を呈しています。新薬創出等加算は、いわゆるドラッグ・ラグ(諸外国で承認されているが、日本では承認・保険収載されていない医薬品の存在)を解消するために、「特許期間中は、薬価乖離率が平均以上である医薬品(後発品のないもの)について、改定前薬価の一定割合を維持する」ことで、未承認薬や適応外薬などの開発原資(財源)をメーカーに付与する仕組みと言えます。幸野委員は、「薬価は『医薬品の価値』に基づいて設定されるべきである」とし、類似薬効比較方式(新薬の薬価を決めるに当たっては、最も類似した既収載薬の薬価に合わせることが基本となる)において「新薬創出等加算も含めた薬価」が新薬の価格設定のベースとなっている点が問題ではないかと指摘したのです。これに対し、日薬連の多田会長らは「ルールに則って新薬の薬価が設定され、その後は市場実勢価格をベースに薬価が見直される。これをベースに類似する新薬の薬価が決まる仕組みは適切である」と述べ、幸野委員の指摘は「問題点には当たらない」との見解を示しました。なお、同じく支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)も「患者側からすれば、将来の新薬開発へのインセンティブを負担するのは納得しかねる」と指摘し、「新薬創出等加算の要件を見直していくべき」との見解を示しています。今後、新薬創出等加算の「抜本的見直し」を議論する際に、改めて論点となりそうです。原価計算方式、営業利益率などについて中医協委員と製薬メーカーが舌戦 類似薬がない新薬の薬価については、原価(原材料費や営業利益、販売管理費など)を積み上げる「原価計算方式」によって設定されます。このうち営業利益率や一般販売管理費について、「設定値が高すぎるのではないか」と幸野委員はかねてから指摘しています。営業利益率を見てみると、「14.6%」(2017年度は14.7%になる)を基準に、革新性などに応じて「マイナス50%からプラス100%」の範囲で補正が行われますが、幸野委員は「一般企業であれば、営業利益率が2桁に乗ったらお祭り騒ぎになるくらいである」と問題視しているのです。17日の薬価専門部会でも、幸野委員はこの点を指摘。製薬メーカーサイドと次のような舌戦が繰り広げられました。幸野委員:営業利益率などの高さが、医薬品価格が高くなる要因の1つではないか。他産業を見て補正する必要があると思う 日薬連:他産業との比較であれば研究開発費(18-19%程度にのぼる)を見てほしい。幸野委員:それだけ投資しても高い利益を得られているのであれば、営業利益率などの付け方を変えてもよいと考えられる日薬連:利益は、税金や医薬品産業に特殊な内部留保に充てる。訴訟による巨額の損害賠償や新薬開発の失敗などのリスクがあり、相応の内部留保が必要となる 幸野委員:リスクはどの産業にもつきものである。製薬産業は景気に左右されないという特殊性があることを考慮しなければならない いずれの意見にも頷ける部分があり、今後の議論をさらに注目していく必要があります。なお、吉森委員は「薬価算定組織(非公開)に、製薬メーカーがどのようなデータを出しているのか。生データを開示できないことは理解できるが、テータ提出のひな型などを示してもらえば、我々の理解も進む」と要望しています。米国の医薬品価格、外国価格調整の対象とすべきか否か ところで(4)の外国価格調整において、薬価専門部会では「米国価格は、価格参照の対象から除外すべきではないか」との指摘が数多く出ています。現在、米国価格はAWP(Average Wholesale Price)というメーカー希望小売価格が用いられていますが、「市場での取引価格と大きな乖離がある」と指摘されています。PhRMAのジョンソン委員長もこの指摘に理解を示し、米国の公的医療保険制度であるメディケア(高齢者、障害者向け)とメディケイド(低所得者向け)において医薬品の償還価格算定基準に用いられているASP(Average Sales Price)やNADAC(National Average Drug Acquisition Cost)の価格を参照してはどうかと提案しました。この提案について中川俊男委員(日本医師会副会長)らは謝意を示したものの、「ASPやNADACではカバーしている医薬品がごくわずかとの報告もある。市場実勢価格のリストがない以上、米国を価格調整の対象国とするのは難しいのではないかと改めて感じた」とコメントしています。>
 
薬価専門部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128157)で、薬価制度の抜本改革について協議されている。医療費適正化の観点から、「高額薬剤判定」の運用(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000150899.pdf)に関心が高まるであろうが、情報公開の徹底が欠かせないであろう。全国保険医新聞(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/shinbun/160905.pdf)では「「オプジーボ」の薬価は英国に比べて日本は約5倍に上る」とあったが、そもそも市場規模予測(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000138872.pdf)で大きく異なるデータが出ているのはおかしい。同じ薬で日本だけ極端に薬価が高いのは変であろう。ところで、東京新聞「高齢者の抗がん剤治療指針を作成 延命効果を調査 厚労省方針」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201704/CK2017042802000115.html)では「肺がんでは、七十五歳未満で抗がん剤治療による明らかな延命効果が見られたが、七十五歳以上は抗がん剤治療を受けた患者と受けていない患者の生存期間に大きな差はなかった。(中略)胃がん、大腸がん、乳がん、肝がんでも調べたが、統計的に意味のある結果は出なかった。」と出ていた。肝炎治療費公費助成(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/080328_josei.html)では超高齢者の方々が少なくない。肝炎医療費助成対象者数調(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/pdf/h26josei_taisyou.pdf)で年齢階級別の情報公開がされれば、80歳代、90歳代、100歳代への高額薬剤使用の実態がうかがわれるであろう。なぜ、多額の予算が組まれる公費助成で年齢階級別のデータが公表されないのであろうか。この際、超高齢者に対する高額薬剤投与で「将来の医療費削減効果」がどれほど期待できるか、エビデンスが知りたいところかもしれない。
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