保健福祉の現場から

感じるままに

糖尿病性腎症重症化予防とガバナンス

2017年07月10日 | Weblog
メディウォッチ「糖尿病性腎症の重症化予防、市町村と医師会などとの連携が特に重要—厚労省」(http://www.medwatch.jp/?p=14746)。<以下引用>
<人工透析患者の原疾患の半数近くを占める糖尿病性腎症の重症化予防に向けて、市町村などにおいて計画策定→対策の実施→事業評価→次年度計画の修正というPDCAサイクルを回すことが重要となり、とりわけ地域医師会などの関係者と密接に連携することが求められる—。厚生労働省は10日、省内に設置した「重症化予防(国保・後期広域)ワーキンググループ」(以下、ワーキング)が行った取りまとめを公表し、このような提言を行っています。継続的な指導のためには、かかりつけ医との連携が不可欠 OECD Health Statistics 2015によれば、我が国は、先進諸国の中でもっとも「人口当たりの人口透析患者数」が多いとされています。また日本透析学会によれば、透析の医療費は年間で約1兆5700億円に上り、「透析の予防」が極めて重要な課題となっています。さらに日本透析学会は、透析患者では「原疾患が糖尿病性腎症である者」が43.7%と最多を占めている状況も明らかにしており、糖尿病性腎症の重症化予防が、透析患者の抑制に大きな効果を与えると推測できます。厚労省は昨年(2016年)4月に「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を作成、あわせて日本医師会・日本闘病対策推進会議と重症化予防をかかる連携協定を締結しています(関連記事はこちら)。今般、ワーキングでは、こうした取り組みをさらに推進・展開するために、(1)市町村(2)広域連合(3)都道府県(4)糖尿病対策推進会議(5)関係団体(6)国民健康保険団体連合会—の各団体に向けて提言を行っています。まず(1)の市町村に対しては、何よりも「糖尿病性腎症の重症化予防」に向けた高い意識を持つことが重要とし、首長・幹部に「施策の優先順位を上げる」よう求めています。さらに▼担当課(健康増進担当と国民健康保険担当)の縦割り排除▼指導対象者の抽出基準の明確化―などの重要性も指摘しています。こうした前提に立って、▼重症化予防の計画策定→▼対策の実施→▼事業評価→▼次年度計画の修正―というPDCAサイクルを回すことが重要ですが、そこでは、とりわけ「地域医師会」などの関係者と密接に連携することが必要です。重症化予防に向けては、対象患者への継続的な指導を行いますが、▼受療中断者▼治療中の患者―を対象とする場合は、個別にかかりつけ医に連携を求め、協力を得ることが必要となります。ワーキングでは、「計画の企画段階から医師会などと協議し、実施体制の構築に向けた合意形成を得る」よう求めています。さらに、計画を稼働させる中では、「かかりつけ医・専門医などの連携が円滑に進むよう、地域の連携体制の整備が必要」とも訴えています。(2)の広域連合は、75歳以上の高齢者が加入する後期高齢者医療制度の運営主体であり、健診・医療情報を市町村に積極的に提供することなどが求められます。医師会との連携に向けたノウハウ提供や仲介など、都道府県が市町村の支援を また(3)の都道府県に対しては、何よりも「市町村への支援」が求められます。規模の小さな町や村では、人材不足・財源不足に陥っているところもあり、人的・財政的支援を積極的に行うことが期待されます。さらに医療施策は、従前から「都道府県の所管」であるため、市町村には「地域医師会との連携」に向けたノウハウが不足しているケースもあります。そこでワーキングでは、▼市町村単独では対応が困難な都道府県医師会や都道府県糖尿病対策推進会議等と市町村との連携を仲介する▼糖尿病対策推進会議などの地域の実情に応じた組織を柔軟に活用して連携の枠組みを作り、市町村に具体的な連携方法などを情報提供する▼都道府県医師会・糖尿病対策推進会議等などと連携協定を締結する—よう具体的な要請を行っています。さらに、都道府県版の重症化予防プログラムを策定することを求め、これは国民健康保険における保険者努力支援制度(医療費適正化に積極的な自治体に経済的インセンティブを付与する仕組み)で評価されることを強調しています。また(4)の糖尿病対策推進会議は、都道府県(行政)・医師会・学会・栄養士会・薬剤師会など地域の関係者が集う、糖尿病対策(発症予防、合併症防止など)を一層推進することを目的とした会議体です。ワーキングでは、推進会議に対して▼市町村とのさらなる連携(市町村担当者が直接相談できる一元的な窓口の提示など)▼かかりつけ医や専門医などを含めた構成員の拡大―を行うよう要望しています。重症化予防に向けた取り組みの「診療報酬での評価」にも言及 さらにワーキングは国に対して、▼重症化予防に向けた研究の推進▼先進的事例の収集と横展開▼各地域での取り組みの支援▼保険者努力支援制度などの進化▼関係施策との連携―などを行うことも指示しました。また、医療機関と市町村の情報共有、薬局における薬剤情報の一元管理、医療機関と地域包括支援センターの連携体制構築等、医療機関・薬局が地域と連携した取組が、「診療報酬の充実」などで評価される仕組みが期待されるとも指摘。中央社会保険医療協議会でも「かかりつけ医機能の充実」や「生活習慣病対策の充実」が重要論点の1つとして掲げられており、今後の改定論議にも注目が集まります。ところで、重症化予防は医師を初めとする専門家だけで行うものではなく、患者・家族はもとより住民の積極的な参画が必要となります。そこで、▼対象者(患者)・家族、近隣住民、地域の企業などへの周知徹底▼対象者(患者)自身が自主的に取り組むような個人インセンティブの併用▼健康な街づくり(保健指導員や健康づくり推進員の養成、催しの開催、要望の吸い上げなど)―も重要であると提言しています。>

キャリアブレイン「糖尿病性腎症の受療中断、医師会と連携し対応を 厚労省がWG報告書を公表」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20170710195538)。<以下引用>
<厚生労働省は10日、重症化予防ワーキンググループ(WG)が取りまとめた報告書を公表した。糖尿病性腎症の重症化予防にスポットを当て、都道府県や市町村、後期高齢者医療広域連合、かかりつけ医、医師会などの役割や方向性などを提示。特に受療中断者に対しては、市町村と医師会、かかりつけ医らが連携する必要性を挙げている。糖尿病を主な傷病として継続的に医療を受けている国内の患者は300万人以上で、人口当たりの人工透析患者数は先進主要国の中で日本が最も多い。医科診療医療費(約29.3兆円)のうち、糖尿病による医療費は約1.2兆円を占めているほか、人工透析の年間医療費は約1.57兆円に達しており、医療費全体から見ても大きな課題となっている。こうした状況を改善しようと、厚労省と日本医師会、日本糖尿病対策推進会議が昨年4月、糖尿病性腎症の重症化予防プログラムを策定。重症化するリスクの高い人が腎不全や人工透析に移行するのを防ぐため、対象者を選定する際の考え方や介入方法などを示していた。WGの報告書は、これを後押しして取り組みを広げる狙いがある。例えば、市町村と医師会、かかりつけ医の連携が不十分な地域では、市町村のみで単独事業を行うのではなく、地域の医師会やかかりつけ医と事業の枠組みの問題意識を共有し、合意形成を図ることが重要との見解を示し、「個々の患者の状況に応じた対応を確保しつつ進める連携体制の下で取り組むことが必要」としている。その上で、かかりつけ医との連携の枠組みができた場合でも、かかりつけ医が連携することに意義を見いだせなかったり、連携につながるような関係づくりができていなかったりする地域もあると指摘。道府県などが市町村の担当者や医師会に連携の具体的な効果や連携に必要な調整の方法などを伝えるよう促している。また、人工透析導入者の減少といった分かりやすい指標を用いて、成果が見えるようにしなければ、取り組みの動機付けや見直しにつながらないと説明。「重症化予防の目的は、腎不全、人工透析への移行の防止であることを考慮すると、その成果である新規透析導入者数または腎機能を評価するeGFRの変化も合わせて評価することが望ましい」としている。>

重症化予防(国保・後期広域)ワ-キンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=318630)のとりまとめ(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000170308.html)が公表された。課題(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000170683.pdf)に列挙されている「幹部等のリーダーシップの不足」「組織の縦割りの弊害」「医師会・かかりつけ医等との連携不足」「保険者保有データの未活用」「保健・医療・福祉等との連携不足」はそう感じる方が少なくないであろう。中医協「外来医療(その2)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000158415.pdf)p52~56に示す「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)は保険者とかかりつけ医との連携が絶対条件である。すなわち、かかりつけ医にとっては、①医療連携による「糖尿病透析予防指導管理料」「腎不全期患者指導加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1_27/b001_27.html)で対応する患者と、②保険者との連携による「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)で対応する患者がある。「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000121902.pdf)p9「図表3」では、第2期・3期は「かかりつけ医と連携した糖尿病性腎症保健指導」、第4期は「かかりつけ医と専門医との連携、地域での支援」と異なる対応が示されている。第4期は「外来医療(その2)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000158415.pdf)p47「腎不全期患者指導加算」があることも認識したい。今後、特に第2期・3期について、保険者とかかりつけ医との連携による「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)を推進するためには、例えば、「外来医療(その2)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000158415.pdf)p44「生活習慣病管理料」や医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p36・p37「地域包括診療料・地域包括診療加算」にインセンティブがあった方が良いように感じる。「外来医療(その1)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000154055.pdf)p42「紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入」では、質を確保した「かかりつけ医」の普及推進につながらないであろう。「糖尿病性腎症重症化予防に係る連携協定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000117513.html)も踏まえたい。まさに、受診抑制ではなく、受診勧奨による医療費適正化が求められているが、外来医療の役割分担と連携が不可欠であろう。今年度策定の第7次医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)における「糖尿病医療体制」をもっと重視すべきである。医療計画と医療費適正化計画の一体的推進が図られなければならないが、医療計画で重要な役割が期待される保健所では、保険局「国保データベース(KDB)システム」の分析データすら閲覧できないでいる。これではいけない。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の資料「予防・健康・医療・介護のガバナンス改革」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0412/shiryo_04.pdf)p3「地域における『予防・健康・医療・介護』は、それぞれ密接に関連するが、制度がバラバラ。都道府県の役割は限定的。」には全く同感であるが、改善すべき点が少なくないように感じる。平成30年度からの国保の都道府県運営化を踏まえたガバナンスがほしいところである。「市町村の仕事」「国保の仕事」といっているようではいけない。
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