保健福祉の現場から

感じるままに

パラダイムシフトの行方

2017年01月25日 | Weblog
日経メディカル「医師ヘッドハンティングの舞台裏 病床機能再編で医師の大移動が始まる?」(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/clinic/scout/201701/549853.html)。<以下引用>
<年末はギリギリまでインタビューのお約束が入っていました。例年以上に、この時期でも、「会って話したい」と言ってくださるエグゼクティブサーチ(ヘッドハンティング)の候補者の先生が多かったからです。実際、昨年お目にかかった先生の数は過去最高となりました。時代が変わりつつあることを敏感に感じ取り、危機感を持たれているようです。「今後の医療界の動向について知りたい」「今すぐというわけではないが、今後の身の振り方を考えるうえで中長期的に備えておきたい」という先生が目立った気がします。では2017年、医療提供体制はどう変わっていくのでしょうか。医療分野のヘッドハンティングを手掛ける立場で医療界を見ている者として、個人的な見立てを述べさせていただきたいと思います。今、医療界では医療提供体制を巡るパラダイムシフトが起きています。これまでの改革は厚生労働省主導で実施されてきており、改革の焦点は、増大する医療費をいかに抑制するかなどが中心でした。しかし、これからはさらに大きな枠組みでの改革が進められるのは間違いありません。なぜなら21世紀、医療産業は経済成長の有力なエンジンと目されているからです。安倍政権が掲げる「成長戦略」の柱の1つとしても、医療が掲げられています。労働政策研究・研修機構の「平成27年労働力需給の推計」によれば、2014年から2030年にかけての産業別就業者数の増加数が最も大きい産業は医療・福祉で、163万~215万人増えるとされています。つまり、これだけの雇用が創出されると見込まれているということです。2番目に増加数が多い情報通信業は14万~36万人ですから、あらゆる産業の中でどれだけ際立った成長分野であるか、ご理解いただけると思います。地域活性化やまちづくりの一翼を担う存在にでは、医療をいかに経済成長のエンジンにしていくのか。これは高齢社会や人口減少に対抗する国家戦略でもあり、財政問題とも大きく関係しています。(臨床研究中核病院や治験中核病院などを除く)医療機関が単に利益を上げるだけではなく、医療事業収入を地域に還元し、雇用を生み出し、それに付帯する事業を立ち上げる。地域活性化やまちづくりの中で医療が一翼を担う存在となっていく。こうした社会を支える産業へと進化させようとしているように感じます。中には既にそうした環境が表れているところもあります。さらに医療界は、輸出産業として日本経済をけん引することも期待されています。日本の医療技術、臨床力はそれだけの素地を持っていて、まさに今がチャンスといえます。医療が「経済のエンジン」「まちづくりの中心」「新たな輸出財」などの役割を担う。このような壮大な目標に向かって大改革が進めば、当然、現場にも大きな地殻変動が起こります。ではこうした動きが医師の転職にどう影響を与え、具体的にどんな求人が増えるのでしょうか。医療界がそれだけ大きな役割を担うには、一つひとつの医療機関が担うべき機能を明確化し、実践していくことが当然必要です。そう考えれば、既に始まった、医療機関として(あるいは地域で連携して)患者を急性期から看取りまで一元的に管理する体制づくりや急性期医療の機能強化、急性期以降のステージを担う病床や在宅医療、健康増進の取り組みの拡充といった動きが加速するのは間違いありません。そうなると、現時点で急性期医療に携わっている先生が今後も、そのままの立ち位置でいられるかどうかは非常に不透明になります。現状維持でいられる勤務医の先生方と、別のステージに転換する方の割合はどの程度なのか。大げさかもしれませんが、私はそれが「半々」となるくらいインパクトのある動きになると考えています。現実に、私どものクライアントにも、病床機能再編により急性期後のステージまで担う方針を打ち出す施設が増えており、それに伴い、回復期や慢性期、さらには在宅医療において「専門領域を持ちつつ、ジェネラルに対応できる」医師のニーズが急速に高まっています。この傾向はますます顕著になっていくはずです。こうした改革が現場にもたらす影響の大小、とりわけ医師流動化は関東・甲信越を境に東日本と西日本、都道府県別、そして都市部か地方かで傾向は全く異なります。病院数が多い都市部であれば「ブティック型経営」、つまりカバーする分野を限定してブランド力を高めるという運営も可能なので、医師も自分の専門領域の中だけで生きていくことが可能かもしれません。ただそれでも、急性期病床に関しては、病床機能再編の影響から減っていくことは避けられません。もし、今の勤務先で望むような働き方やポジションが見当たらなければ、他の病院に移ることも選択肢となるでしょう。一方、地方の病院の中には「百貨店型経営」として多様な領域をカバーしているところが多く、医師1人でより幅広い範囲をカバーしないといけません。過疎地に行けば行くほど、医療機関としてジェネラルな方向性が不可欠になります。しかも今後は、まちづくり(地域包括ケアシステム)への関与を背景として、在宅医療・介護の強化、さらには地域医療連携推進法人制度による法人間連携など、病院によっては業務がさらに多様化するでしょう。実際、弊社のクライアントにも、まちづくりを意識して医療・介護に付随する公益性の高い事業に着手するところが幾つか現れています。それに合わせ、働く人材も地域との接点が必要とされ、とりわけ調整力やコミュニケーションスキルは重要になると思われます。一連の再編は、2018年の診療報酬と介護報酬のダブル改定を受け、より活発化するでしょう。各都道府県の「地域医療構想」策定の動きなども見ていれば、勤務先の病院が担うポジション、病院統廃合など今後の方向性がある程度見えてくるはずです。となれば、先生方も「このまま今の病院にいて自分の能力を発揮し続けられるか否か」の判断がつくので、これから医療界全体で医師の流動化が進むとみています。病院側も、今後の事業展開をにらみ様々な領域、ポジションの求人を行うでしょう。ただ、魅力あるポジションは一連の人材流動化を背景にこの1~2年で確保が進み、その後は徐々に減少すると予測しています。これだけの地殻変動は医療業界で初めてのことかもしれません。激動の時代で生き残っていけるのは、先を見据えた明確な経営ビジョンを描き、成長軌道に乗れる病院だと思います。先生方が、自分がやりたい医療を続けるためには、ぜひこの点を知っておいていただきたいと思います。こうした病院は人を大切にし自由度が高く、持てる能力を存分に発揮できるはずです。医療界のパラダイムシフトをプラス思考で捉え、自らのキャリアアップに結びつけていただきたいと願っています。>
 
「患者を急性期から看取りまで一元的に管理する体制づくりや急性期医療の機能強化、急性期以降のステージを担う病床や在宅医療、健康増進の取り組みの拡充といった動き」はまさに地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)のテーマでもある。平成29年度には、平成30年度からの第7次医療計画(6年間)、第3期医療費適正化計画(6年間)、第7期介護保険事業計画(3年間)、第5期障害福祉計画が一斉に策定され、平成30年度は診療報酬・介護報酬の同時改定がある。平成30年度からの国保の都道府県運営化も大きいであろう。まさにパラダイムシフトといえるかもしれない。一つの機関だけで対応できる課題ではないことは認識したい。情報分析がカギを握るように感じる。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の経済・財政一体改革推進委員会(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/index.html)の見える化ポータルサイト(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/mieruka/index.html)データ集(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/mieruka/data/index.html)では、地方財政分野、社会保障分野、社会基盤分野、文教分野、暮らしの指標、人口指標、経済指標が市町村単位、都道府県単位でCSV形式で公開されているが、「見える化」というからには、データウエアハウス(http://www.bbreak.co.jp/maeyes/column/column7.html)のような活用しやすい仕掛けがあっても良いように感じる。また、厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」では市町村別の居宅死亡割合や施設死亡割合をはじめ、在宅医療に関する市町村別の各種データが出ているのであるが、なぜかレセプト分析データは除外されている。第1回NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)にはレセプト分析データや特定健診分析データが出ているのであるが、都道府県単位どまりである。一方で、医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)の分析データは二次医療圏、市町村単位で詳細に出ているが、平成27年7月28日医政局地域医療計画課事務連絡「地域医療構想策定支援ツール等から得られる情報の関係者間での共有等について」、平成28年9月14日医政局地域医療計画課事務連絡「医療計画作成支援データブック【平成27年度版】の利用について」では、医療計画作成支援データブックのNDB分析データの活用は医療計画・地域医療構想関係者に限定され、NDB分析データ(生データではない!)の活用には「国が定める誓約書」による厳格な規制がかかっており、地域包括ケアを担当する行政職員すら閲覧できないでいる。まずは、厚労省が、医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)の分析データを、少なくとも行政職員に直ちに開放すべきである。そして、関係機関・団体・住民と分析データを共有できるように規制緩和すべきである。これはまさにパラダイムシフトに向かう国の姿勢が問われるように感じる。ところで、エグゼクティブサーチ(ヘッドハンティング)は医師だけではないであろう。
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